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SHIFT Game Producer Meetup #15 ファンに刺さるIPマーケティング戦略とは?~スマホゲーム『ゆるキャン△』編~

はじめに

こんにちは★SHIFTエンターテインメント業界ウェビナー担当の高木です!

今回で15回目となる、ウェビナー「SHIFT Game Producer Meetup #15 」では、enish 真田 氏、大谷 氏をお招きし、1LDK 朝岡 氏をファシリテーターに対談を行いました。

一部分ではございますが、その様子をぎゅっとまとめてお届けします!

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テーマ「IPタイトルに注力する理由」

enish 大谷 氏(以下、enish 大谷):大きく言うと、コストの適正化がメインの理由でございまして。状況としてはアプリの業界って結構レッドオーシャンというか、まず開発費がすごく上がりましたよね。あと、出るタイトル数がとにかく増えたことで、とにかく広告市場が荒れて。マーケティングのコストがすごく上がったという流れに、更に外資がやってきて「札束の殴り合い」のような状態になってしまったということがあります。

そんな中で自分たちの強みを活かしてどうやって戦うの、というところで見つけた戦略が、IPタイトルに注力することだったんです。

一つきっかけというか、enishにその素養があったこととしては、今まで結構コラボをいっぱいやって来たんですよね。そのためIPに触れる機会がすごく早かったというか、ネイティブアプリが流行る前からIPコラボをやっていたので、IPに触ってきた経験が結構長かったというのが一つありますね。

転機になったのは、ネイティブアプリで『欅のキセキ』というゲームタイトルを手掛けたんですが、その時にプロモーションのやり方が全然違うので四苦八苦したんですけれども、結構良い結果が出せたというところがあって。
「IPを使って何のコストが下がるの?」というと、マーケティングのコストが下がるという点は結構大きいんです。そのため全体としてコスト構造が自分たちの身の丈に合ったところで戦える形に持って来ることができる、というのが一つ大きな理由かなと思います。

1LDK 朝岡 氏(以下、1LDK 朝岡): スマホゲーム『ゆるキャン△』におけるUSPなど、ビジネス観点での分析をお伺いしてよろしいですか?

enish 真田 氏(以下、enish 真田):弊社でやっているのはパネル調査ですね。

enish 大谷:5万人に声かけてスクリーニングして。5千人くらいに絞り込んで、その人達にヒアリングする感じです。

enish 真田:スマートフォンでゲームをする5万人のお客さんや一般の人に対して「『ゆるキャン△』って知っていますか?」というアンケートをして。「知っています」という人に対して「スマートフォンゲームが出たらやる?やらない?」みたいなアンケートを取りました。それと「あなたが大事にしている要素って何?」とか「『ゆるキャン△』が好きなあなた、どういうところを一番魅力的に感じていますか?」というアンケートを取って。定性的にそのIPの魅力を判断するというのが弊社の「パネル調査」と呼ばれているものです。

パネル調査をした結果で、社内の定性的な意見だけじゃなくて定性的ではあるがパイがあるので定量的になって。そのパネル調査の意見を元にUSPというのを作るというのが一番初めの取っ掛かりでした。

『ゆるキャン△』以外の作品では「どの作品の何が魅力ですか?」とユーザーに聞くと、大体が「このキャラクターが好き」なんですよね。なので『ゆるキャン△』の魅力的な点もキャラクターによるものなのかなと思ったんですけど、かなり特殊な例でファンが作品で一番大事にしている魅力的に感じるポイントって「平和で穏やかな世界観」だったんです。

2番目のポイントもキャラクターじゃなくて綺麗な風景描写、背景描写だったんですね。 ちなみにキャンプに至ってはかなり下の方でした。確かにキャンプって面白いから、それをゲーム化しそれを軸にゲーム化するのは良いねと思ったんですけど。そのアンケートを見て「このIPはキャラクターでもなくキャンプの部分でもないんだな」と。

このアニメって「風景はもう一人の主人公」というコンセプトで作られている。めちゃくちゃ背景描写が綺麗なんですよね。ご存知かもしれませんけど、やっぱりその辺を踏まえて世界観が一番ファンの魅力的に感じるところなんだなと。それがパネル調査で分かりました。
今回のUSPは、この3つをこの順番で決めました。

1つ目は豊富なモーションとフルボイスで再現される『ゆるキャン△』の世界と書いてありますけど、お客様が平和で穏やかな『ゆるキャン△』の世界、 あの雰囲気が好きというならもう『ゆるキャン△』全てのコンテンツの中で最も豊富にモーションを用意してやろうと思いました。

モーションとフルボイスでキャラクター同士の掛け合いというのを、今市場にあるゲームの中で最も用意してやろうという風に考えて。

2つ目にキャンプのところ。3つ目にアニメも大事にしている背景美術のところ。この3つを設定してゲームを作ろう、プロモーションを始めようという風に今回決めました。

enish 大谷:情報初出する時に「何を情報として出して、ゲームの存在を皆さんにお伝えしたら良いかな」というのを真田と相談をして決めたんですけど、ずっと眺めていたくなるような動画を出そうと。ずっと眺めていたくなる要素としてこの3つが入ってなくちゃいけなくて。

例えば光源豊かな風景というのはゲームじゃないとできないですよね。動的に動く光源で焚き火のふらふらした光がキャラの顔に投影されて陰影が付くとか、そういうものが良いんじゃない?ということで。

左下にあるようなこの画像の動画のバージョンを出したんですよね。そしたらやっぱりお客様からの声としては「ずっと眺めたくなる」のようなコメントがすごく多かったり「もうこれだけで良い」という声だったりを頂いたので「これ間違ってないな」と、そこで気付きとしてありました。

これからプロモーションとしてはそこを押して行くべきだし、ゲームとしてもそこをしっかり深掘りして行くべきだと社内で再確認しましたね。

テーマ「ファンに刺さるIP戦略について」

enish 大谷:そのずっと眺めていたい動画を、一つの武器にしてやっていこうと真田と最初に方針としていったん決めて。駄目だったらちょっと違う打ち手もあるよね、というのはもちろん考えていたんですが。

一旦それで行きつつ地道にIPに関すること、例えばプレゼントキャンペーンはやっぱりあった方が皆さん楽しいから良いかなと、そういうものも織り交ぜていったりして、コアなお客さんをしっかり取ろうということをやってきました。

最初は、アニメの場面写を出しながらそこに該当するゲーム画面を出して、連続性を持たせてアニメがゲームになるというのを強烈にお客様にアピールしたいと思っていました。

+α、ロケ写真も入れてお楽しみコンテンツみたいな感じで、ファンの人たちに「あ、あのシーンあったな」と思い出してもらいながら「あ、こういう風にゲームになるのか」のように思っていただきたくて。

連想させていくというか関連付けて行って、興味を持ってもらうことを考えていたんですが、それより結局ずっと眺めていたい動画でUSPを間接的に伝えていく方が良かったんですね。それがうまく行ったので、もうそっちに完全シフトしたということがあります。

『ゆるキャン△』は多分別に皆さんゲームがしたいわけじゃないんですよね。すごく分かったことは、僕らが決めたUSPで動画出してみて「ずっと眺めていたい」というお客様のニーズを聞き出せたことなんですよね。

そこに寄り添ったゲームにしていきつつ「こういうゲームですよ」をこれから情報公開していって、お客様の理想とゲームを近付けていくような作業が必要なのかなと思っています。

テーマ「失敗事例について」

1LDK 朝岡:僕の失敗事例になっちゃうんですけど「このやり方は成功するけど、僕は熱が持てない」みたいなこと結構あるじゃないですか。例えばもし僕が『ゆるキャン△』のリーダーだったら多分失敗すると思うんですよ。「なぜなら僕はキャンプがそんな好きじゃないから」みたいなね。

そういう風に「キャンプが好き」とかそういう熱量側もすごく重要ですよね。熱量がない人が責任者にいるとお客さんの当て勘みたいのがなさすぎて、何だか良く分からない作品になるってことが多分ありますよね。

enish 真田:僕がキャンプに行ったりすることもそうですけど、アニメもずっと流して見ていて。やっぱりファンの皆様に物を届けるにあたって、元々ファンじゃない人間がゲームを作るのって若干失礼かなと思う部分があるんです。

なので、どこか失礼に当たらないようにずっと朝から晩まで『ゆるキャン△』のアニメを流して見ていますし。

キャンプにできるだけ行って、少なくともそのファンの皆様に申し訳立つぐらいは、『ゆるキャン△』のことが好きになるように今努力しています。実際に好きになっているという自負があるくらいのことはやっているんですよ。

質疑応答

―ここで視聴者からの質問にご回答いただきました。

「コラボ相手を選ぶときにファンの数よりも熱狂度が大事なのではないかと思うのですが、熱狂度や熱量を測る方法はありますか?」

enish 大谷:それなりに相関性があると思ったのが、テレビアニメが放映されてから3か月間のお客様のTwitter上での発言量を見ること。要は、Twitterのフォロワーの数よりも話題にしている人がどれだけいるかという指標です。

特にアニメが終わってからの声を比較すると如実に出たりします。そういう比較の仕方は面白いかなと思います。マーケティングのツールで「ソーシャルインサイト」というものがあるんですが、そういうものを使って数字を抜いて、自分で加工して見てみるとかはやりましたね。

enish 真田:その調べ方、実際のダウンロード数と比較しても全然ずれてなくて一番良かったですよね。

1LDK 朝岡:今後の展望についてのお話もお伺いしてもよろしいでしょうか?

enish 大谷:IPタイトルは今後も絶対に続けていきたいと思っています。僕たちの身の丈に合った戦い方というところや、ある程度コツやツボがなんとなく掴めつつあるなというところ、社内がそれに慣れてきて、ちゃんとワークするようになったというところがありますので。プロダクト側とマーケティング側がちゃんと足並み揃えていけるようになったと思います。

もう一つはNFTゲーム。ブロックチェーンゲームはやっていきたく、できればその掛け算もやりたいと思っています。

―最後にゲストのお2人に一言頂きました。

enish 大谷:『ゆるキャン△』は鋭意開発中ですので、ぜひ遊んでいただきたいのと、マーケティングメンバーは本当に募集していますので、興味を持ってくださった方はカジュアルな面接からでも全然構わないので、お声掛けいただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。

enish 真田:一緒に働くメンバー、働いてくれるメンバー募集していますので、是非お気軽にお声掛けください。よろしくお願いします。本日はありがとうございました。

―ここでトークセッションも終了。

いかがでしたでしょうか?今後も「SHIFT Game Producer Meetup」を開催してまいります。ご期待ください!

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執筆者プロフィール:高木 真愛
WEB広告代理店で営業・広告運用を経験し、その後はしばらく接客業にて奮闘。現在はSHIFTにてセミナー運営・集客、バックオフィス業務、SHIFTnoteのライターを担当。

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