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SDGs講座が出来るまで(1)

まえがき

こんにちは!ヒンシツ大学講師の櫻井です。

Top画像は、先日、SHIFTの社内掲示板の「(社長の)丹下さんより、超貴重なベートーヴェンの「第九」を生で聴けるチャンスのご案内」というお知らせに飛びついて行ってきた東京オペラシティのクリスマスツリーです。

演奏にはベートーヴェンが作曲した19世紀初頭の楽器を使っていたそうで、今思い出しても感動がよみがえるほど素晴らしいものでした。

私はSHIFTの写真部にも所属していますので、今回の記事には本文とは関係なく東京オペラシティの写真が出てきます。あらかじめご了承ください。

さて、前回、無事SDGs検定に合格したことをお伝えした後、ヒンシツ大学の新講座として、SDGs関連の講座をご用意できないものかと構想を練りました。
そのときのお話ししたいと思います。

ヒンシツ大学的SDGs講座を考える

まず最初に、どうしたらSDGs講座が、ヒンシツ大学らしい、ヒンシツ大学ならではの講座になるのかを考えました。

ヒンシツ大学の講座は、どの講座にも、品質管理の知識を広めることで、世の中のトラブルプロジェクトを少しでも減らしたいという想いが詰まっています。

でも、SDGsは品質管理じゃないしなぁ・・と思いかけて、

あれ?でも、SDGsはPDCAサイクルを回してるよね・・?と気付いたのです。

ご存じの方も多いと思いますが、PDCAサイクルは、品質管理の父といわれるW・エドワーズ・デミング氏が提唱し、ISOにも取り入れられている改善のための管理手法です。

そこで、SDGsを品質管理仕立てで解説する講座を作ってみることにしました。

SDGsの「P:Plan(計画)」

「PDCAサイクル」では「P:計画」の段階で、目的および目標と、手段と実行手順などの達成方法を立案します(※1)。

SDGsでは、17の目標と169のターゲットが「P:計画」に該当します。

例えば、「1: 貧困を無くそう」は目標です。

そして「目標1」には

1.1
2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

などの「達成目標」と

1.a
あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。

などの「実現方法」も記載されていますし、さらに、

1.1.1
国際的な貧困ラインを下回って生活している人口の割合(性別、年齢、雇用形態、地理的ロケーション(都市/地方)別)

などの「グローバル指標」も設定されているのです。

「グローバル指標」は、品質管理の「メトリクス」と同じように、状況を定量的に把握・評価し、改善のために使われます。

SDGsの「D:Do(実施)」

「PDCAサイクル」では「D:実施」の段階で、計画で立案した内容を実行します(※1)。

SDGsでは、「D:実施」は、国連加盟国の政府に、当事者意識を持って目標達成に向けた国内枠組を確立することが期待されています(※2)。

SDGsの進捗管理には「グローバル指標」を使用しますが、それは、各国が責任をもってデータ収集し、管理することになっています。

品質管理でも、テスト計画書で指定された「メトリクス」を、現場でデータ収集しますよね?
SDGsでは、その「現場」が「各国」に相当するのです。

もちろん、日本政府も行なっていますが、それは、次回のブログでお話ししようと思います。

SDGsの「C:Check(確認)」

「PDCAサイクル」では「C:確認」の段階で、目標の達成状況を確かめるとともに、問題が発生していないかを調べます(※1)。

SDGsでは、「国連システム」が、各国から提出されたデータを基にチェックします。

「国連システム」には、

  • 世界保健機関(WHO)

  • 国連環境計画(UNEP)

  • 国連児童基金(UNICEF)

などがあります。

を見ていただくと、各国のデータを統計表にまとめている様子が分かると思います。

このように、各国連システムには、専門分野があり、それぞれの専門分野に関するデータを収集、分析します。

そして分析結果を「子ども6人に1人が極度の貧困で暮らす」などのレポートにまとめるのです。

これは、品質管理部の活動に良く似ているのではないでしょうか?

SDGsの「A:Act(処置)」

「PDCAサイクル」では、最後の「A:処置」で、目標とずれがあった場合に対処するとともに、問題現象の除去と根本原因に対する再発防止策を実行します(※1)。

SDGsには、「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」というグローバル・レベルでの「フォローアップとレビュー」の仕組みがあります。

「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」は、閣僚級では毎年、首脳級では4年に一度開催され、成功、課題、教訓など、SDGs実施にあたって得られた経験が共有され、課題克服に向けた議論が行われます。

また、翌年のテーマも「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」で設定します。

2023年の「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」のテーマは、「コロナウイルス(COVID-19)からの回復を加速し、あらゆるレベルで持続可能な開発のための2030アジェンダを完全に実施する」です。

品質管理でも、次のプロジェクトの品質が良くなるように教訓を残しますね? 特に改善したい点は重点目標を設定することもあるでしょう。

このように、SDGsは、品質管理ととても良く似ているのです。

あとがき

ここまで読んでいただきありがとうございます。
SQuBOK策定部会の「ソフトウェア品質知識体系ガイド」にはPDCAを解説するページに、

PDCAを継続的に適用することにより、効率的かつ継続的に目的を達成する

とあります。

根気よく、工夫を重ねながら継続することで目的を達成すること、これはSDGsも同じです。

SDGsは、メディアで急に取り上げられるようになったかと思うと、あまり目立たなくなったりしていますが、決して流行に左右されるものではありません。

ヒンシツ大学の「不具合分析」という講座の中では「不具合分析は誰のものでしょうか?」という問いかけをしています。
答えはすぐに思いつくのではないでしょうか?

同じように「SDGsは誰のものでしょうか?」という問いかけをしたいと思います。

次回は、日本政府のSDGs活動について触れたいと思います。
それでは、また!

※1 出典:SQuBOK策定部会「ソフトウェア品質知識体系ガイド」
※2 出典:国際連合広報局「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」


執筆者プロフィール:櫻井 寿乃
大手SIerにて、BtoBでは基幹システム構築、BtoCでは会員サービスやECサイトなどの開発に長年従事。
プロジェクトマネージャーやPMOを担当するかたわら、新人研修、PM研修により人財育成に努めた後、2018年にSHIFTに参画。
PMO、社内研修講師を経験後、ヒンシツ大学の講師に就任。PMP資格保持者。

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