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「新型コロナ 対策奮闘記」第2回 2月28日(木) 会社として何をするか

■第2回 2月28日(金)


早速、翌日の2月28日(金)に対策会議を役員と主要メンバーで行った。


「会社として今何をするべきか?」

「これは核問題なんかとは違う、人間社会を破壊する程じゃないし、経済活動を抑えてまで自粛するものでは無いと思うんだよね。」

「でも、社員が不安に思うだろうから、一部在宅は許す。」




当時、僕が社内に向けて発信したメッセージは以下だった。

(SHIFTの社内向けブログ 一部を抜粋)
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新型コロナウイルス対策に関して



SHIFTの皆さん

連日のコロナウイルス関連の報道で本当に心配かと思います。

今まで体験もした事のないウイルスにどう対応したら良いのか、
多くの会社、政府、学校が悩んでおります。

ただし、皆さんもご存知のように、例年のインフルエンザの方が死亡者は多いですし、致死率もまだ高いと思います。ただ、今後もっと検査をすると新型コロナウイルスの感染者が増えるかも知れませんし、今は何とも言えないのが実態です。

実際にお亡くなりになっている方もいる一方で、今後も経済を前に進めて
いかないといけないという現実に会社としても難しい対応が迫られます。

答えはありませんが、僕としても最善を尽くすというのは当然やっていきたいと思いますし、SHIFTという会社では、リーダーである僕が多くの意思決定をして、会社を最善の方向に運営しておりますので、僕の基本思想がオペレーションに反映されるのも事実です。

今回は僕が決めないと誰も責任が取れないという事で、僕の中のフィロソフィーと照らし合わせ基本ポリシーを決定しました。



<基本ポリシー>
まず、新型コロナウイルスの対策に関する問題は、「セキュリティを高めること」と「利便性」とが相反する課題と同じだと考えています。
今回の件も、「経済活動」と「致命的な危険」というものと、

①トレードオフで考えて良いのかどうか?

②もしトレードオフの場合はどうするのか?

③もしトレードオフじゃ無い場合はどうするのか?



非常に難しい問題だと思います。
僕の考え方を先に伝えます。基本的には、②であると思っています。
これは僕の個人的な考え方に基づくものであり、さまざまな意見があると思います。




話は少し飛躍しますが、同じ問題かと思うので例に出します。

これらは、つまり原発の問題と一緒です。
「原発は化石燃料よりも効率的なので、当然使うべきだ」
という考えには僕は反対です。

これは、経済活動を優先するものではなく、核という技術を持つこと自体、その核技術によって安全じゃない環境に追いやられた段階では人類の存続にさえ関わるという事です。

これは、経済活動と区別して、人間が持つべきものでは無いという概念です。人類を破壊しかねない技術というものは、存在すべきでは無いですし、それに頼る経済活動なのであれば、停滞してでも使わない方が良いですし、
代替エネルギーを開発すべきだと思います。一時的に効率が落ちてもです。




大変難しい問題なのですが、コロナウイルスが根本的にこの世を脅かす問題になるのかどうか、それは可能性としてはあるにしても、人間が生きていく中で、何にしても戦わないといけない問題であり、そのためにも経済活動というものを止めてしまっては戦うものも戦えなくなるという話です。
なので、これまでは経済活動を基本優先してきました。



その中で出来る事として、

●手洗いを十分にする

●睡眠時間をとり、規則正しい生活をする事で免疫力を高める

●案件ごとに調整し、出社時間をずらす事で、電車移動での感染リスクを出来るだけ下げる

●イベントや飲み会等の参加を自粛する

●当然、不用意に多くの人が集まるところには行かない

●お客様が許可する場合は、オフサイト勤務に移行する






しかし、ここに来て、いまだに感染リスクを抱え、感染範囲がさらに広がりをみせ、収束する様子が見えないという現段階になっています。その中で、まだ会社としてやるべき事があるのではないかという考え、役員を含めSHIFTの上層部で議論をしました。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56131560X20C20A2MM8000/?fbclid=IwAR1GFM439MlpbO-IcxUtGx70h4BiYXPlXxWwWeuu6wRCofBaMWWGCUC3VFU

上のように2週間を目途とした休校の措置を政府が発表しました。


これと同じように、基本はリスクとのトレードオフではあるが、SHIFTでもメンバーによってはSHIFTや政府が用意した環境だけでは安心できない、感染リスクが心配という人もいるだろうと。

そこで、SHIFTの環境をさらに安全なものにする事と、自分でも自己管理できる環境を選択する権利を提供するという結論に至り、以下の方針を決定しました。




(当然今まで推奨していた施策は継続することを前提に)

●政府が発表しているように37.5℃以上発熱のある人をチェックし、
  在宅リモートに切り替える。

:これは、コロナウイルスか風邪なのかインフルなのか区別がつかないものは全て疑う(ゴホゴホしている人の隣では安心して働けない)


●在宅リモートは、原則お客様が許可した案件のみ適用する。
:許可されてない場合は、グループ間で調整して案件を変わってもらう。
それ以外で、どうしても在宅ワークを希望するものに関しては、本人が希望すれば許可はする。


●在宅勤務をするメンバーは、十分なセキュリティ環境と生産性を確保するため事前に特別なセキュリティの誓約書にサインをする。
:加えて、在宅ワークの心得の研修を受け、生産性を担保できるような仕事に分解し、上司に管理をしっかりとしてもらう。


●自分で感染リスクのコントロールをするためにも、
  不必要な外出はしない。





本来であれば、セキュリティリスクがあり、生産性も下がる在宅ワークを許可はしないのですが、今回を機にしっかりと管理できる体制を作ってみたいなと思ったという結論です。

因みにこの在宅ワーク許可期間は2週間で一旦終了させる事にします。

最後に、何が言いたいかと言いますと、新型コロナウイルスは皆さん一人一人が意識をし、一丸となって戦う相手であり、国や会社の方針にいちゃもんをつけるべきでは無いという事です。



引き続き、皆さんが安心に働ける環境を会社としてもしっかりと整えて行きますので、ご理解の程宜しくお願いします。


丹下
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SHIFTは、ソフトウェアの品質保証という高いセキュリティレベルを求められる仕事をしており、業務に関わるお客様のデータを個人の自宅に持ち帰るなんてことは本来有り得なかった。(その時はそう思っていた)

だから、仕事を融通しあい、本当にお客様が許可したものだけを自宅に持ち帰らせ作業をさせることにした。

そして、毎日出社時には、従業員全員に検温を徹底し、社内システムに登録してもらうようにした。37.5℃以上の人は、風邪であろうが、体調不良であろうが疑わしいので出社することはできない。

マスクと消毒



その当時、毎日の検温が義務となっていたのはSHIFTのオフィス内で働く従業員(業界では、オフサイト勤務と呼ぶ)で、2,000人近くに及んだ。彼ら全員のデータを管理するのは本当に大変だったが、毎日徹底した。

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しかし一方で、僕たちの業界ではオンサイト勤務と呼ばれるお客様のシステム環境やセキュリティポリシーの都合で、お客様オフィスで働く従業員には、その頃はまだ検温対策は実施してなかった。



その後、3連休前の3月19日(木)に、翌週3月23日(月)以降からの検温徹底の継続と申請制ではあるが在宅勤務の許可期間の延長を社内に発表した。

3連休を迎えるに当たり、どうしても社員に伝える必要があると思った。今思えば、あの3連休が日本における新型コロナウイルス問題の分かれ目になるとは、その当時は思いもよらなかった。


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