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10-3 相性以外はどうなんですか?

 西洋占星術で見た、相性の問題ばかり書いてきたが、鑑定で聞いたのは相性だけではない。家族一人一人の人となりについても聞いた。

 何も知らない時には、「この子、何か問題があるんじゃないかしら」と思ってしまったのは、全て娘の素の性格だった。ちょっと繊細で敏感で、細かいことが気になる(靴下を新しくしただけで、縫い目が気になると怒る)。無視されるのが嫌(返事しないと怒鳴り込んでくる)。せっかち(家族でお出かけする時、一番最初に出て行く)。オレ様一番感がある(自分が家族の中心だと思っている)。五感に関する不快が耐えられない(騒音が大嫌いで泣く)。目的が達成するまでねちっこい(勘弁してほしい)。自分の要求を通すために大げさに大声で大騒ぎする(そのせいで、よく声がハスキーボイスになる)。

 普段は割と大人しいタイプのため、特に要求を押し通すために突然かなり大きな声を出してくるのには驚き、「問題行動ではないか」とかなり私も神経を参らせていたが、別にそういう性格なだけだった。娘や私に問題があるわけではなかった。

 ただ、極端に繊細で敏感で怖がりだったりする部分は、娘を妊娠中に母体(私)に非常なストレスがかかり、胎内(あるいは幼少期)の発達が上手くいかず、原始反射が残ってしまったことの影響は否めない。この点は、問題と言えば問題であり、同じく原始反射が残ってしまっている私も一緒に、今後改善の余地があると思っている。


 一方、私が西洋占星術で見るとどんなタイプかというと、娘のことを笑ってはいられないほど神経質なタイプである…。神経質ゆえに、娘の大声に耐えかねていたし、何かと作業の横やりが入って、自分のペースでは物事が進められない育児が、私にとってはかなり負担となっていた。家の中のことはコントロールしたがるタイプで、家の中が(私にとって)必要ではないおもちゃで溢れかえって散らかし放題になることも、ストレスの一つだった。

 さらに、私は一人の時間がかなり必要なタイプだった。育児本に、「お母さんも、一日5分は自分の時間を持ち、好きな本を読んだりしましょう」と書いてあるのを読んだことがあるが、5分では焼け石に水なのだ。「一日に最低1時間、できれば2~3時間、自分だけの時間が持てたほうが、精神の健康を守れるタイプ」と言われる占い師さんもいた。未就園児を抱えた母親が、毎日2時間、睡眠時間を削らずして自分の時間を持つなぞ、核家族で暮らす現代の日本社会では奇跡に近い事なので、私は実現できなかったが、それでも「保育園に早々に預けることをお勧めします。働き口も決まってないのに、保育園に預けるなんてお金がかかって贅沢なんて言ってちゃいけません。あなたのようなタイプには『贅沢』ではなくて、これは『必要経費』なんです」と言ってもらえて、とてもとても勇気が出た。そして、行きなれた子供広場でさえもスタッフの人に5分見てもらってトイレに行くことすらできないほど、神経質で母親から離れられず、勢い私も娘を自分の手から放すことができないでいたが、3歳を待たずして、「2歳になったら預けよう」と決心するきっかけとなった。

 そして、厄介なことに、私は自分一人の時間が必要なくせに、「社会から認められたい」という欲求も持っていた。仕事をして、それを他人から評価されたいのだ。「一人になりたい」と言ったり、「社会に認められたい」と言ったり、「家の中のことは自分で管理したい」と言ったり、誠贅沢なタイプだと自分でも思うが、これが素の私なのである。


 そんな素の自分を、現実社会や、一つ屋根の下で暮らす性格の違う家族とどう折り合いをつけていくのかが人生である。


 旦那は結構私と似たタイプ。気が合う。だから、二人一緒にいても阿吽の呼吸で動けるので、一緒にいても苦にならない(でも、潰れる時も、阿吽の呼吸で一緒)。「折り合いの付け方」をあまり考える必要もなく、夫婦としてはベストとも思える相性なのだが、その代わり、目新しさがなくなり、お互い「これくらいでいいよね」と小さくまとまりがちになる。

 そこに、「家族同士、素の自分をぶつけ合い、ガチンコで生きていくとはこういうことだぁぁぁ!」と殴り込みをかけてくれたのが娘である。娘のおかげで、旦那と私の世界は広がった。良く言えば。

 おかげさまで私は、「こういう生き方もあるんだな」ということをたくさん学ばせてもらっている。私は「良い子」で生きてきた(どちらかと言うと、旦那も)。親や先生の言うこともよく聞いた(と自分では思ってる。自分では)。だから、親の言う事を全く聞かず、周りの目も気にせず、頑固に自分のやりたいことを押し通し、マイペースに生きる娘が最初は信じられず、「悪い子」に思えた。でも、違った。娘は「悪い子」なわけではなく、自分をしっかり持っているタイプなだけだった。逆に言えば、私に自分がなさ過ぎたのだ。思い知らされた。他人の目を気にし、世間に流されがちな私からしてみたら、娘の「自分を持ち、今を生きる」その生き様は、我が子ながらあっぱれだ。時々、本気で尊敬する。

 そんなことを、占いは教えてくれた。親子と言えども、一人一人違うんだよ、ということ。そして、どうすれば折り合いがついていくかな、ということも。


 こうして、私は3歩進んで2歩下がるようなスローペースではあるけれども、娘の存在、性格に慣れていき、怒鳴り散らす回数が減って、産後鬱も少しずつ楽になっていった。娘が0歳代の時には、「一人でこんなに苦労しているのに、二人目なんて考えられない」と思っていたが、2歳になる頃には「二人目でも」という気分になっていた(しかし、引っ越し前という思わぬタイミングで二人目が来てしまったのだが。リス疑惑付きで)。

 それでも、どこか苦しさが私には残っていた。その苦しさは、娘のことや娘との相性のことを知るだけでは、どうにもならなかった。どこかに、まだ別の問題があると、私は感づき始めていた。

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