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「それでも生きなくちゃ」(24)
冬休みが終わって、また、いつもの仕事を淡々と繰り返す日々。
君が、前ほど遊びに来なくなった事も気づいていたけど、新しく作る外部倉庫に関するプロジェクトに君がメインで関わっている事は君から聞いていた。
久しぶりに君の姿を見つけた。事務所から出てきた君とアタシはエンカウントした。
君はおいで、とでも言うように、アタシを手招きする。
倉庫の出入口まで、アタシは、君に着いていった。
「また来る?」
君は何も言わず、アタシの胸に手を伸ばした。
「もう!会社でそういう事しないでよね?」
口では、そんな事を言ってみても、アタシの胸に軽く触れた君の手のぬくもりを感じていたくて、君の手を振りほどけなかった。
「ここは、カメラないから」
「そういう問題ぢゃなくない?」
「誰も見てないよ」
君は、倉庫の出入口のドアを開ける。
「しばらく、忙しくなるから」
「うん。知ってるよ。また、時間できたら、LINEしてくれたらいいよ?」
君は何も答えずに、そのまま背中を向ける。
「またね?」
「うん」
扉の向こうに消えた君をどれくらいアタシは見つめていただろう。
アタシは君とさよならする日が近い事を感じていた。
お別れもなにも、始まってもいないのに、君とアタシは結局なんだったのかな?
君からの「好きだよ」の一言をアタシがどれだけ欲しかったか、君は知らないよね。
君は嘘はつかない。
だからその場しのぎに「好きだよ」なんて事を言わないのも、アタシわかってたよ。
だけど、
だけどね、
アタシ、やっぱり君の口から「好きだよ」って言葉が嘘でも欲しかった。
愛される資格がない人間なのは、アタシが1番わかってる。
でも、人生で1度くらいは、誰かに「好きだよ」って言われたかったんだよ?
本当は、君ぢゃなくても、いいのかもしれない。
でも、あの頃のアタシは君からの愛の言葉が欲しかった。
君が、必要としていたのは、君の都合がいい時だけセックスさせてくれるオンナだったんだね。
結局、そういう事だって、アタシだってバカぢゃないから、わかってたよ?
それでも、アタシは君とのセックスだけは気持ちいいと感じていたんだ。
今まで、そんな風に思えた男の子は、君だけだったよ。
その後、アタシのADHDが会社にバレて、あっさりクビになった後、最初にLINEをくれたのは、キミだったんだ。
その頃にはね、アタシ決めてたの。
また、20代の頃にしていた仕事に出戻りしようって……
だから、君が忙しくなって、君からのLINEが途絶え始めた頃、もし、もう一度君からLINEが来たら、全てを話してしまおうと、そして、アタシみたいな汚いオンナの事なんて、忘れてもらいたかったんだ。
君の中の女の子になる資格なんて、初めからアタシには無かったけど、君にだけは、ありのままのアタシを知って欲しいと思ったんだ。
理由なんてわかんないけど……
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