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「それでも生きなくちゃ」(3)
君のプライベートの携帯番号を教えてもらったのは、知り合ってから1年後だった。
きっかけは帰り道、違う部署の男の子に2日連続で声を掛けられたこと。
真っ暗な帰り道、駅まで30分の道をアタシは毎日歩いて帰っていた。
知らない人にいきなり声を掛けられる事は、アタシにとってはものすごくストレスになる事だったから、上司のM君に「怖くて歩いて帰れなくなるから何とかならない?」って相談した時に、君はたまたまうちの部署に遊びに来ていた。
「なんかあってからぢゃ、ダメでしょ?M今日送ってやれよ」M君は少し面倒くさそうに返事した。
誰も、アタシが過去にどんな経験をしてきたかなんて知らないから。
「たかがそれくらいの事で」って思うのも理解出来る。
だから、M君の態度にも別に腹はたたない。
だって、誰にも言えないよ。
アタシだって忘れてしまいたいのに。
意外だったのは、君が1番心配してくれたこと。
「俺が時間合えば送ってやるから、携帯番号教えておくよ」
そして、アタシと君は初めてお互いの携帯番号を知ることになった。
まさか、その日のうちに君に泣きながら電話をするなんて、アタシも予想してなかったんだけど……
君がほかの女の子の誰にも、携帯番号教えてないなんて、アタシ知らなかった。
アタシに携帯番号を教えてくれたのは、なんで?
ただ心配してくれただけなの?
君はただちょっとエッチで優しい男の人なの?
あれからアタシ、君のことがますます分からなくなっちゃった。
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