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古代文明の謎  ラスコー壁画


1940年9月8日、フランスの小さな町・モンティニャックでのお話。



青年マルセルは愛犬ロボを連れ、彼の日常であるトリュフ探しに勤しんでおりました。ここヴェゼール渓谷はトリュフのメッカ。
ウサギの足跡を見つけたロボが樹々の茂った丘を駆け上がった時、勢いあまって穴の中へと転落するという事態が発生しました。

「今すぐ助け出してやるからな」呻く彼を安堵させたマルセルは、懸命に愛犬を引き上げます。ところが、ここである奇妙な感覚に襲われるのです。こいつはただの穴じゃあない、と。運命の歯車が大きな音を立てて動き出した瞬間でした。


マルセルの好奇心は止まりません。
気に留めるほどでもない僅かばかりの穴を夢中で掘り進めたところ、なんと、古城ラスコーへ通じる秘密の地下通路へと繋がっているということが判明したのです。危険を孕んだ不可解な謎を解く為、奥へまた奥へと歩を進めるマルセル。

洞穴に光を灯したこの素晴らしき瞬間を、彼は決して忘れないでしょう。強烈なエネルギーを伴って後に世界中の人々を虜にする、クロマニョン人が描いたとされる壁画が突如あらわれたのですから。

これから始まるスペクタクルの序曲が、渓谷全土を震わせるほどに響き渡りました。



———というのが遺跡発掘のあらすじ。
私の脚色を交えて物語風にしましたが、大筋はこのような内容です。
時を遡ること17000年〜19000年前。旧石器時代に描かれた壁画は謎を生みました。どのような理由で動物が描かれたのか。
《洞窟の形が動物に似ているから動物の絵を描いた》という解釈があります。なんのこっちゃ意味が分かりません。

15年あまり壁画は公開されていたのですが、見学する人々の二酸化炭素が絵を劣化させるという事情から、閉鎖に追い込まれてしまいました。最もらしい理由ですが、これって事実なのでしょうか。

もしも、別の理由で人々を遠ざけているのだとしたら。
世界を震撼させる発見があったのだとしたら。

古代、絵は呪術や人々のコミュニケーションツールとして用いられていました。文字よりも先にできたと言われています。ひょっとすると、このラスコー壁画には暗号や奇跡を起こす力が隠されているのかもしれません。非公開にしている間、学者や超能力のある専門家や謎の存在達が密かに研究を進めている可能性だってありますよね。まぁエビデンスは全くありませんが。

余談ですが、私は絵を描く時、バランスを見るために作品の向きを変えながら制作します。縦にしたり横にしたり、近寄ったり離れたり、一部分を隠してみたり。そうすると、自分の視点が変わるので思わぬ良い発見があるのです。レオナルド・ダ・ヴィンチ方式で絵の側面に鏡をあててみるのも面白いですよ。もちろん娯楽のために心を喜ばすだけも構いません。
ただ、ちょっと変わった見方をしてみよう、そう感じた時はいつもと違う視点で観てみてください。

何かがふっと浮かび上がってくるかも!? 


壁画がどんな材料で描かれているのかは、改めて後述したいと思います。
では、また。


続編はこちら → 《 ラスコー壁画 古代人の使った画材とは? 》

shiélé 

※ 商用可能な画像を使用しております

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