指導医とある

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”重症度”の判定

診断名を付けた場合は、その重症度を評価することが重要である。重症度により治療介入の方法やスピードが異なるためである。重症度判定は各疾患の重症度分類に基づいて行うが、ここではその概要を示す。 SOFAスコアの2点に基づいて、「肝、心、脾、肺、腎の五臓と中枢神経の6項目をについて、『1、2、3』と記憶する」ことがポイントである。 重症度の判断基準となるカットオフ値は以下の通り: 肝:ビリルビンが2以上 心:循環作動薬の使用が必要 脾:血小板数が10万未満 肺:P/F比が

    • 60歳代女性 腹痛、発熱

      意識清明、血圧133/83、脈80、SpO2 98%、呼吸数24、体温36.8 一昨日は特に症状なし。昨日から右足を挙げたときに腹痛があることを自覚した。本日になり37℃後半の発熱も出現したために受診した。 既往歴はサルコイドーシス、脂質異常症、骨粗鬆症、緑内障。 処方薬は、ビスホスホネート、スタチン、ステロイド5mg、PPI。点眼で緑内障薬。 手術歴は左卵巣腫瘍、2-3年前。 ADL自立。アレルギーなし。 やや頻呼吸があるものの、バイタルは維持されています。第一印象は感染

      • 診断のテクニック

        診断学の方法論は、医師ごとに異なるアプローチに収束します。ここでは、私自身がたどり着いた診断の方法論を紹介します。 まずは、System 1を用いて直感的に診断を行います。これは、集団における検査前確率の高い疾患や、特徴的な病歴、身体所見に基づいて診断を進めるものです。このプロセスでは、その医療環境における経験が非常に重要です。直感的に最も適した疾患を候補に挙げますが、その診断に固執することは避けるべきです。第一候補が正しい可能性が高いとはいえ、他の選択肢も慎重に考慮する必

        • 指導医とあるの診断学

          本診断学の特徴は、内科のサブスペシャリティを有するか否かに関係なく、幅広い総合診療医向けに設計されている点です。筆者は麻酔科の専門医であり、内科認定医でもあります。これは、内科医として特定の専門分野を持たないことを意味しますが、それが診断学を考察し、研修医に指導する際のデメリットにはなりません。むしろ、これは研修医にとっても利点です。 その理由の一つとして、診断が偏らないという点が挙げられます。専門領域を持つ総合内科医は、時に自分の専門分野に偏った診断をしがちです。しかし、

        ”重症度”の判定

          50歳台女性 動悸

          2-3か月前から動悸を自覚するようになった。普段ならやすんでいれば軽快する動悸が、今日は2時間以上持続するために当院受診となった。 意識清明、血圧128/85、脈拍110整、体温36.7、体温36.7℃、SpO2 98%。 既往歴:脂質異常症、メニエール病、腰椎椎間板ヘルニア、うつ病、パニック発作。 手術歴:直腸癌術後(2年前) 処方薬:ロスバスタチン、ビタミン製剤、ジフェニドール、ジフェンヒドラミン アレルギー歴:なし 参考動画:https://youtu.be/Z-U

          50歳台女性 動悸