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JR西日本最長片道切符(出発まで:その6)

前回「JR西日本の路線しか使わないことと、JR西日本の株主優待券が使えるということが必ずしも一致しない」と一見訳の分からないことを言って次回に続けたのですが、今回はその話をします。

私鉄はJRと比べると営業路線は短く、その多くはJRと接続する駅(連絡駅)があります。そのため、私鉄の駅から乗ってJRとの連絡駅に到着し、そこから日本中へ鉄道で移動することができます。この時にJRとの連絡駅でいちいち乗車券を買うのは面倒なので、私鉄の駅から連絡駅を経てJRの目的地の駅まで一枚の乗車券で行くことができたら便利です。そのため、数多くの私鉄ではJRとの通しの乗車券が作れる取り決めをしています。このような取り決めがなされていることを連絡運輸と呼びます。

この連絡運輸の特別な形態として通過連絡運輸があります。これはJR-私鉄-JRという経路の乗車券を1枚で買うことができ、JRの運賃は前後の運賃計算キロの合計で計算されます。実はこのような経路の乗車券をJR西日本の株主優待券を使って買うことができます。つまり、JR西日本の路線以外も使っていても、JR西日本の株主優待券が使えるのです。

JRが通過連絡運輸を行っている私鉄の多くは第3セクターです。元々は同じ国鉄だったから第3セクターになった途端に利便性が悪くなるのはいかがなものかと考えたのかどうかはわかりません。通過連絡運輸のために今回のJR西日本の最長片道切符の経路に含めることができる私鉄は京都丹後鉄道と智頭急行です。さっそく経路を考えてみましょう。

営業キロが最長の経路は「上越妙高-三原」であり、営業キロはJR西日本が2899.6キロ、京都丹後鉄道が89.3キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると3006.1キロとなります。ついに3000キロを超えてきました。ちなみにこの経路の運賃計算キロはJRが2984.0キロ、京都丹後鉄道が89.3キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると3090.5キロとなります。

運賃計算キロが最長の経路は「南小谷-三原」であり、運賃計算キロはJRが2985.8キロ、京都丹後鉄道が89.3キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると3092.3キロとなり、先ほどの「上越妙高-三原」より1.8キロ長くなります。ちなみにこの経路の営業キロはJR西日本が2897.9キロ、京都丹後鉄道が89.3キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると3004.4キロとなり、先ほどの「上越妙高-三原」より1.7キロ短くなります。

さて乗車券の料金ですが、どちらの最長片道切符でも同額です。株主優待を使わないときは、JR西日本の運賃が28050円、京都丹後鉄道の運賃が1500円、智頭急行の運賃が500円であり、合計は30050円となります。株主優待を使うと、JR西日本の運賃のみが半額(1の位は切り捨て)となるので、JR西日本の運賃は14020円、他の鉄道会社の運賃は変わらないので合計は16020円となります。そして面白いことに、運賃は会社ごとに別々なのに、有効期間は総営業キロに基づいて決まります。どちらの最長片道切符でも、有効期間は17日となります。

この最長片道切符を作って旅行をするかはわかりません。JR西日本だけを利用した往復乗車券が購入可能な運賃計算キロが最長となる最長片道切符の旅をして、次もまた同じようなことをしたいなと思ったらやるかもしれません。

また、この通過連絡運輸という取り決めですが、近年その取り決めをやめているケースが増えています。なので、今回紹介した乗車券が作れなくなる日が来るのかもしれません。ただ、JR西日本は智頭急行や京都丹後鉄道に直通特急を多く走らせているので、連絡運輸そのものはそう簡単には止めないような気はしておりますし、特に智頭急行は陰陽連絡線として整備したという当初の目的から考えると通過連絡運輸ありきの路線であるともいえます。なので、まあ当分は残るかなと思っています。

(2023/5/6追記)
通過連絡運輸についてこのように書いておりましたが、智頭急行と京都丹後鉄道の通過連絡運輸を同時に利用する乗車券は作れないということがわかりました。ということで、通過連絡運輸として智頭急行だけを使ったものがJR西日本の株主優待が使える最長片道切符となります。

この場合、営業キロが最長の経路は「上越妙高-三原」であり、営業キロはJR西日本が2898.5キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると2915.7キロとなります。ちなみにこの経路の運賃計算キロはJRが2982.9キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると3000.1キロとなります。

運賃計算キロが最長の経路は「南小谷-三原」であり、運賃計算キロはJRが2984.7キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると3001.9キロとなり、先ほどの「上越妙高-三原」より1.8キロ長くなります。ちなみにこの経路の営業キロはJR西日本が2896.8キロ、智頭急行が17.2キロです。合計すると2914.0キロとなり、先ほどの「上越妙高-三原」より1.7キロ短くなります。

乗車券の料金はどちらの最長片道切符でも同額です。株主優待を使わないときは、JR西日本の運賃が28050円、智頭急行の運賃が500円であり、合計は28550円となります。株主優待を使うと、JR西日本の運賃のみが半額(1の位は切り捨て)となるので、JR西日本の運賃は14020円、智頭急行の運賃は変わらないので合計は14520円となります。有効期間はどちらの最長片道切符でも16日となります。

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