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しだゆいのノート

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2019年6月の記事一覧

さくらももこにおける「工夫」の概念

タイトルはなにやら立派だが、そんなたいそうな話ではない。さくらももこの『神のちからっ子新聞』にはときどき片隅に「工夫しようのコーナー」なるものが載っていることがあって、私はそれがものすごく好きだ、というただそれだけである。しかしここにこそ『神のちからっ子新聞』の――あるいはさくらももこという特異な感性のひとつの本質が光っているのだと、これは贔屓目かもしれないが、どうしても思ってしまうのもまた事実な

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こんなのメンヘラじゃない、と思うことについて

蒼木スピカ『乙女怪獣キャラメリゼ』(KADOKAWA、二〇一八―)というちょっと変わったラブコメがある。公式の表現を使うなら「感情の高ぶりに呼応して」体の一部が怪獣に変化する奇病を抱えた主人公の少女が、かっこよくてやさしい男の子と急接近したことをきっかけに、とうとうまるごと巨大な怪獣に変身するようになってしまう話だ。
一言で「感情の高ぶり」とはいわれているが、それは必ずしも単線的に測定できるもので

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