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父のカケラ

大きくて温かい手で撫でてくれるあなた
お父さんに会わせたい人が居るの
言葉と想いを乗せて
私は握り返すの
煙草の銘柄も一緒
話し方もおっとりしていて聞きやすいの

お父さんと一緒だね

幼き頃のお父さんに肩車されてもらって
太陽の歌歌って
遊んだ公園

あの日
そうあの日
13年前のあの日

お父さんが倒れて

時々会える回数も
段々と減ってきて

お母さんが私を連れ

またね

と告げてバイバイした
小さい掌思い切りバイバイして
病室内なのにお父さんはニコニコしながら
うん うん頷いてくれていた

細くなったお父さんの手を
小さな掌で握り返した

黒い煙の中

お父さんとはもう会えないんだよ
残酷な現実を告げなきゃいけない
お母さんの胸の中
心がぎゅーっとしたのを覚えている

お母さんの顔は凄く寂しそうで大泣きしていた
白いレースが付いてる小さな私のお洋服
お母さんが私を抱き寄せ
白いワンピースに涙がポタポタ零れ落ちて滲んだ

風が吹き
お父さんの香りがした

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