見出し画像

【短歌】3月を迎える

 最近、海を見に出かけた。ぼやけて霞む空や拡散される陽気に春っぽくなったなって思ってたら、まだちゃんと冬で、その最後の意地のような寒さに負けて風邪を引いた。2日間海を眺めて、3日間くらい寝込んだ。そんなスピード感で生活をしている。熱に浮かされている間はずっと煮込みうどんを食べていたから、元気になった今は噛みごたえがある分厚いお肉が食べたい。冬の終わりには季節との別れを惜しむ儀式として、コートのポケットの中の缶コーヒーで暖をとりながら街を歩く。春になったらお気に入りのシャツを着る予定だから、それに合わせた靴を買ってもいいかなとも思っている。

ハミングに憧れをのせ国道を走るオープンカーに陽だまり

体温と同じ温度の砂浜と同じ温度の缶コーヒー

寒色の風吹いて舞うマフラーが空に差し込むタータンチェック

真四角に切り取った海 手のひらで潮騒だけが自由に響く

三月の海の色彩そのままを鍋で煮詰めて春を待つ夜

 なんの脈絡もない話なのだけれど、この記事を書いてる間に自販機にカフェオレを買いに行った。投入した数枚の十円玉が一枚だけ弾かれて、そういえばこの十円玉、コンビニのセルフレジでも弾かれていたと気づく。特に汚れているわけでもないし、なんでだろう?と見ればギザ十だ。ギザ十自体は別段珍しいものでもないけど、なかにはとんでもなく高値で売れるものもあるという。製造年をもとに調べてみると…なんと一万円台の価値があるやつだった!別に古銭マニアでもないし喜んで手放す。売って得たお金で分厚いお肉を食べる。だけど十円玉一枚なんてどこに売ればいいのだろうね。


この記事が参加している募集

今月の振り返り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?