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七味さやのフォトエッセイ

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現在地を記録するために、写真とともに日々考えていることを綴っていきます。
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#写真家

写真が撮れなくなってしまった話

写真が撮れなくなった。 正確には撮れるんだけど、撮りたいと思わなくなってしまった。 フィルム代と現像代をかけてまで写真を撮ることに意味はあるのかな。誰かに評価されるわけでもないのに。と思うようになっていたのだけど、久々にまとめて現像に出したら、ああこんなところに行ったなぁとかこんな写真撮ったなぁとか思い出して、フィルムで撮っておいて良かったなぁと思った。 今は日常でもいつか振り返った時に必ず特別なものになるので、その時のために記録しておこうと思ったんだった。フィルムを始

あなたなら、どんなポートレートを撮りますか?〜福岡在住フリーモデル・圭子さんの撮影を通して感じたこと

写真が大好きで4年半ほど撮り続けているのだけれど、特に人間を撮ることがずっと好きだった。美術部だった高校生時代、油絵に描いていたのはいつも人だった。友達だったり弟だったり自分だったり。なんとなく、人を描くってことだけはポリシーみたいに決めていた。その時は理由なんて考えたことなかったけど、それくらいに人に興味のある私がポートレート撮影をするようになったのは自然なことだったように思う。 先日初めてお会いするモデルさんとポートレート撮影を行った。 福岡県を中心にフリーモデル活動

追悼とフォトブック。「写真を記録する」ということ

この世からいなくなった瞬間に永遠になる。 * 親戚の犬が亡くなった。 おじいちゃんとおばあちゃんが落ち込んでいるとのことだったので顔を出した。その時に、しまうまプリントで簡単なフォトブックを作って渡してみた。あまり写真が無かったので、過去に撮影したものをなんとか引っ張り出して構成した。 これを作ろうと思ったのは、入籍の時に撮影した家族の写真を贈ったらとても喜んでもらえたからだ。「暇な時はつい何度も読んでるよ」と言ってもらえて、情緒的な写真を撮るねと何度も褒めてもら