淡い顔の少女

開け放たれた アイボリーの窓向こうから
庭の花々の香り 一陣にそよと吹いてきた

やがてパステルグリーンの曲線となり
ダイニングテーブルの向かい側
少女の髪房を 微かに揺らす

燦々とした日の光 光に埋まる少女の顔
淡くかき消え そよ風とともに
巡る室内へ 優しく微笑む

全てを受け入れ 歪むことのない
凛と美しい 表情であったはずなのに
記憶の水底は 淀みに深く
もはやその欠片もなく

初夏の頃 一陣と吹いた 香りの中に
少女もまた 消えていく

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