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アフリカゾウ、阿佐ヶ谷で死す
新年のおめでたいムードも落ち着いて、そろそろ意識をまわさずとも今年の西暦が体になじんできた頃、一月の終わり、十三時。お天気は晴れ。
愚樹谷舞(ぐじゅたにマイ)と恋人の点点崎高仁(てんてんざきタカヒト)は新宿のラブホテルでほぼ同時に目を覚ました。昨晩使ったピンクローターと牛乳と人参を律儀に片付けようとする舞に高仁は「そんなことしなくっても、片付けとかは俺らが出た後でやってくれるんだよ」と声をかけ
思い出は未来の残骸なんだよ
それで僕たちは手を繋いでATMを目指した。
引き出すお札の枚数を入力する画面で僕は一度振り返って、彼女のつらを見た。彼女──のちにマイ・スウィート・ピアノと僕に名乗ることになる、はガラス戸を開けて酒を何本か選んで小脇に抱えていた。ストロングゼロだった。そういった理由から、僕は「5」と入力して、そのあとやっぱり「3」と打ち直した。
機械から慶應の校長の顔が三枚、押し上げられて出てきた。「ディ
橋本環奈ちゃん、失恋する!
もういくつのお別れがあったことでしょう。わたしは1、2、3、4と「9」までの数字を覚えた時に、とにかく何でもいいから数えたくって、それで──それでというわけでもないんですけど、自分の身近で死人が出たらその都度指折りしようと心に決めました。
そうは言っても思いついた勢いそのまま「一、二!」と数えた幼稚園の園長先生と近所で「全滅のオジキ」と呼ばれていた昼日中でもお構いなしにわたしたちが遊んでいる公