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記事一覧
キクチホナミVS JUDY AND MARY
1998年師走の話。
排気口(劇団の名前)の菊地穂波さんから連絡が来た。手紙で。
「ゴテンバサノバザール、参加者増えていますか?よかったら、12月26日にツイキャスやるんですがそこでゴテンバサノバザールの告知しますよ。」
【ゴテンバサノバザール】というのは私が23年後つまり2021年の5月にその第二回の参加者を募ることになる朗読配信企画である。
私が手紙を受け取ったその日のうちに、「’98
排気口ワークショップ、前/後
排気口(劇団の名前)のワークショップに呼んで貰ったので行った。楽しかった。主催した菊地穂波──以下、人称代名詞を「Dear(ディア)」と表すことにしますが──におかれましては三十分尺の新作を毎月一本計三本も書き下ろす作業は、胃の内容物を全て出し尽くしたのに吐瀉し続けた果てにあふれた涙をおよびじゃねえと叩かれた末にようやく血を吐くような作業だったらしい。直筆で書かれたDearの台本はインクの代わり
もっとみる渚にまつわるA面B面
A面 二次郎は11歳であった。
11歳であったが、周りの人間はみんな二次郎のことを21歳くらいだと思っていたし、実際彼は21歳くらいの風貌をしていた。
二次郎は思っていた。僕は知っている。
この世界に大人なんてものはなくすべて社会という大きな鍋に生まれた瞬間からぶち込まれて高温でグツグツ煮込まれただけの子供でしかないということ。そもそも大人/子供という境目は誰も決められないのにいつのまにか体の
ぶらんニューMORNING
なんでもいいからまんが本を開いてみましょう。テニスのシーン、ラリーの描写では「パコッ、パコッ、パコン」と擬音されているでしょう。
これはテニスボールをラケットが打ち付ける擬音ですが、テニスのシーン、ラリーの描写には、打ち放たれたボールが地面に跳ねる音が省略されています。
壁にピン留めしたテニスのシーンにピストルを構え、架空の怒りを遊びに込めれば発射の際に「ないがしろにされているジャン」と音が鳴
意味なし人生ちゃん、宇宙へ①
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横浜駅が長きに、本当に長きにわたる改修工事を終えたその日、その長い期間が始まる前の横浜駅の姿を正確に思い出せた者は一人もいなかった。
その場に居合わせたわけではないものの、そんな話を聞いたとき、思い出したことがある。
横浜駅相鉄西口を出て、マクドナルドを左手に見る通りを直進すると緑色の河を渡る橋がある。
橋を渡ってファーストキッチンの店の前を横切ると、ドンキホーテがあって、すしざんまいがある。
立教大学社会学部4年・縁田緑太の卒業論文と蚊
縁田緑太(えにしだりょうた)は立教大学社会学部の4年生である。残す単位も卒業論文だけとなり、毎日マックのバイトに勤しんだり、趣味で書いている小説を書いてみたり内定先のCM制作会社の、同じく内定者たちと内定者呑みをしたりして過ごしている。緑太はなかなかの男前で、「将来は映画監督めざしているんだ」という現実離れしつつもCM制作会社にディレクター職で内定をもらうという、着実なキャリアプランを持っているこ
もっとみる一世一代の告白(がんばれ男のコ)
凡矢理大学ボランティアサークル【かぼちゃ】の面々は奥多摩の渓流にやってきた。バーベキューをするのだ。
【かぼちゃ】盛り上げ隊長の凡田勇人(ぼんだ はやと)は並々ならぬ想いをそのうすい胸板の奥に秘めていた。今日こそ、同期の佐奈村恵子ちゅわんマイラブに告白をするのだ。数々の飲み会でオレの気さくでノリの良いおちゃらけキャラをアピールしておいた。これでさ、めーーっちゃ真剣(マジ)にコクればそのギャップたる