マーケティングにおいても「メタ認知」と「素直さ」が大切

遅ればせながら読みました。

この本、本当におもしろい。

周りの同僚のみなさんが「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」「おもしろい」と言っていたので、期待に胸高鳴っていましたが、本当でした。

マーケティングに少しでも関わっている方、興味のある方はぜひ読んでください。

何がおもしろいかというと、時代の流れとともにマーケティングがどう変遷してきたので、これからのテーマは何なのか、つまるところ「マーケティング」の「ィング」のところがしっかりつながりをもって書かれているからなんですね。

一般的な書籍はわりとスタティックな「マーケティングかくあるべし」が語られがちで、本当にそうなの?とか、なるほどそう捉えるんだとか考えていくうちに、で、何が言いたいんだっけ?ってなるんですけど、この本はそんなことがなかった。

以下、そんなこの書籍からぐっと来た箇所を引用しつつ、マーケティングにいても「メタ認知」と「素直さ」が重要だよねという話です。


「メタ認知」とは

「自己の認知活動(知覚、情動、記憶、思考など)を客観的に捉え評価した上で制御することである。
出典:脳科学辞典より

簡単に言うと、ある事象に遭遇し、なんらかの思考や行動を起こしたときに、自分に対して、「そう思ったのはなんでだろう」「そうしたのはなんでだろう」という問いを向けて答えを出していくことです。

本文でもメタ認知の必要性が語られています。

手段 と 目的 の 関係 を 俯瞰 的 に 構造 化 し て 見 て いく と、 当事者 が 思っ て いる こと は 単なる 手段 に すぎ ない という 構造 を 把握 する こと が でき ます。これ を 一般に「 メタ 認知」 と いっ たり も し ます

逆に言うと、世の中にすでに存在しているもので最低限必要なことはできてしまう(それも低コスト・高次元で)ので、メタ認知ができないと、コモディティ化から抜け出すマーケティングを行うことはできない、というわけです。

自分の行動をメタ認知することで、目的と手段の構造を理解し、そこからまだ存在していないが必要なものを提案することができれば、それは模倣困難性が高いといえそうです。

「メタ認知」に関して、おもしろい記述がありました。

「プロモーション と リサーチ の バランス」の項目より。

日本 の マーケット 全体 の 予算 配分 は、 現在 では、 プロモーション 予算 が 年間 約 6 兆 円 くらい あり、 リサーチ 予算 が 2000 億 円 くらいの 規模、 つまり リサーチ が プロモーション の 30 分の 1 ほど、 という 試算 も あり ます。 費用対効果 を 考える とき には、 用途 の 特性 にもより ます ので、 金額 ベース だけでは なんとも 言え ない 面 も あり ます が、 企業 と 顧客 の コミュニケーション の バランス として おおまか に 見れ ば、「 顧客 に 言う」 ほう が「 顧客 から 聞く」 よりも はるか に 多い 状態、 という こと が できる かも しれ ませ ん。

プロモーション予算とリサーチ予算が均衡するはずは当然ないのですが、考え方としておもしろいなと。

一方的に自分が話すだけで、相手の話を聞いてないんじゃないの?っていうことですね。

「メタ認知」という観点から言うと、顧客や市場のことを知らなければ、まだないけど必要とされるべきものがわかるはずはありません。

変化が激しい世の中においては、環境がどうであるか、顧客がどうであるか、相対的なポジションとして自分たちがどこにいるのか、常に把握する必要があり。「メタ認知」への意識は必須といえます。

「素直さ」とは

「素直さ」を端的に表現した故事成語として、「君子豹変す」という言葉があります。

《「易経」革卦から》君子は過ちを改め、善に移ることが際だってはっきりしている。俗に、態度や考えが急変するたとえにもいう。
出典:デジタル大辞泉より

つまり、間違っていると思ったら速攻で行動を変えるっていうことですね。

自分の過ちに自分だけで気づくのは限界があるので、どうしても他者から意見を聞く必要があります。それも「メタ認知」に対する意識によってできることです。

そのなかで、「メタ認知」能力が高く、過ちに気づいたとしても、それを直そうとする動きがなければ、早くなければ意味はありません。

つまり、「メタ認知」とセットで価値を発揮するのが「素直さ」といえます。

まとめ

昨今のような変化の激しい時代。さまざまなテクノロジーにより、前時代的なものは置き換わり、新製品はすぐに模倣されていきます。

そんな市場環境において、より模倣困難な価値を創造して提供していくにあたって、特に「メタ認知」とそれを行動に反映させる「素直さ」が競争力の源泉になりうるのだと思いました。

とはいえ、基礎知識が前提ですが。

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