合宿免許日記①-5 【思い描いてた合宿とのギャップ】
バスで55分掛かって宿に到着。
古くからある田舎のおばあちゃん家の延長のような宿だった。
フロントに行くと、とどめのような一言が。
「ワタナベさんの部屋は1人部屋ですね〜」
(確かに相部屋不安って思ってたけどさ、思ってたけど、いや思ってたけどさ…?)
これで噂に聞いていた楽しい合宿免許の要素は何一つ無くなった。
他の合宿生は自分の到着より随分と前に帰宅していたらしく、大きな食堂でたった1人の夕飯と風呂も1人で済ませた。
部屋に戻り改めて他人の合宿免許体験談を調べてみると、
・ある程度街が栄えている
・途中で中抜けできる等、そこまでルールが
厳しくない
これが楽しい合宿免許の条件らしい。
圧倒的な下調べ不足。
トイレに向かうと、ドライヤー中の窪塚愛流似のイケメンに話しかけられた。
「今日入校の人?俺窪塚(仮)って言うの。なんか不安そうな顔してっけどさ、楽しめるよう頑張ってみ。」
(もしかしたらこの人と楽しい合宿生活が始まるかもしれない)
という期待感と同時に、
(最初から馴れ馴れしかったなぁ)
という感想を持った自分が嫌になった。
さっきまであれだけ楽しい合宿免許に憧れていたくせに、いざ想定よりも他人に来られると受け入れ態勢が出来ていない。
「いつまでドライヤーしてんだよ、早く戻ってこーい!」
後ろから窪塚が呼ばれる声がした。
(やっぱ友達と来てますよね。)
既存のコミュニティに割って入り、交流を深めるのが苦手なことは自分が1番分かっている。
心の中で「明日は絶対楽しい。運転できる。」と呟いて寝た。
シャワーの水圧が信じられないくらい弱いことや、エアコンの効きがとんでもなく悪いことは、もはやそこまで気にならなかった。
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