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視覚障害者と聴覚障害者の出会いとコミュニケーション、10代からNPOのボランティアスタッフにかかわるということ

進行/小林 幸一郎さん(NPO法人 モンキーマジック代表理事)

ゲスト/松之木 礼毅さん(杉並区中途失聴・難聴者の会理事)
    水谷 理さん(NPO法人 モンキーマジック ボランティアスタッフ)
    内田 美和さん(NPO法人 モンキーマジック ボランティアスタッフ)

放送日/2016年8月16日(火)9:00-11:00 「渋谷社会部」

小林:ここからは私、NPO法人モンキーマジックの代表小林が担当させていただきます。4月からずーっと生放送でやらせてもらったんですけれども、今日は収録での放送でやらせていただいてます。8月16日に流れる放送なんですけれども、収録されているのはもうすぐ梅雨明け目前ぐらい時期の東京です。皆さん、もう記憶から遠のき始めてるんじゃないかと思うんですけども、今の東京は朝晩まだ上着があってもちょっと1枚羽織りたいかな、ぐらいの気温の夏を迎える直前の東京からお届けしております。

私たちNPO法人モンキーマジックという団体は、主に視覚障害の方をはじめとするさまざまな障害をお持ちの皆さんに、クライミング、最近2020年東京オリンピック、パラリンピックの追加種目として、スポーツクライミングというのが名前として出てくるようになって、さまざまなテレビや雑誌、新聞等にも取り上げられることが多くて、一度や二度皆さんもお聞きになったり、どこかでご覧になったりしたこともあるんじゃないかなと思うんですけども、いろんなカラフルな石が取り付けられている壁を登ったりするスポーツをスポーツクライミングと言われたりしてますけれども、そんな人工の壁だけじゃなくて、自然の岩とかも登ったりするスポーツが僕らのやっているクライミングというスポーツなんです。

このクライミングというスポーツを、障害をお持ちの皆さんに普及したり、それから、このクライミングってスポーツを障害持ってる皆さんと一緒に楽しむことで、障害のある人もない人も、もっと様々な人達、高齢者とか子供とか文化や国籍の違うような人たちも交流していけるような機会の場所を増やして、ユニバーサルな社会を実現したいというような活動をしている団体です。最近は冒頭に私たちNPO法人モンキーマジックの最近の活動のことを2、3お話をさせてもらってから、この渋谷社会部の方に移っていきます。渋谷社会部には、毎回ゲストをお迎えしていて、今日はお二人の方にお越しいただいてます。後ほど、ご紹介して進行していきたいと思います。

まずは私とモンキーマジックの活動について、お伝えしたいことが3つばかりあります。ラジオをお聞きになってくださってる皆さんには分からないと思うのですが、実は私、目が見えていない視覚障害者なんです。今、私がしゃべっているスタジオは、前面ガラス張りで明るい場所らしいんですけども、私は明るい暗いが分かるくらいの視力しかありません。そんな私ですが、クライミングをかれこれ30年以上続けていまして、一人の障害者クライマーとして大会に出たりしています。

今年9月14日から、フランスのパリでクライミングの世界選手権が行われます。その中にはパラクライミングという名前で障害者部門の競技もあり、このたび私も日本代表として大会に出ることになりました。日本山岳協会というところから代表選出されまして、実は前回の2014年、スペインのヒホンという所で開催された大会で、金メダルを取ることができたのです。

今回も1番いい色の光るメダルを期待される立場だろうと思うんですけども、私は今、申年の年男、48歳です。なので、年齢的にもちょっと大変なのですが、年齢のことは気にせず、周りの若い人たちに負けないように精一杯頑張ってきたいと思います。この世界選手権が行われるのは、ちょうどブラジルのリオではパラリンピックが開催されている時期です。ブラジルからのニュースに混じって、パリからも良いニュースをお届けできるように頑張ります。以上が一つ目のお知らせでした。

続いてのお知らせですが、11月12日の土曜日、東急田園都市線すずかけ台駅近くのクライミングジムで、私たちNPO法人モンキーマジックが主催する第2回目の参加者全員目隠しをしてのクライミングコンペが開かれます。

二人一組のチーム対抗で、一人が目隠しをして登り、パートナーが後ろから指示をする、これを交代して何点取れるかを競う、そんな競技会です。これ去年もやりまして、とっても盛り上がったので今年も開催することになりました。メインスポンサーは私たちモンキーマジックをサポートしてくれているアウトドアブランド 、THE NORTH FACEとCHUMS。何を言いたいかというと、この2社がコンペを応援してくれるということで景品が期待できるということです。

また、コンペ終了後は会場のクライミングジム内でアフターパーティーなども予定されていて、とっても楽しい時間になると思います。詳しくは8月1日以降、NPO法人モンキーマジックのホームページにて随時発表される予定です。障害のある方ない方関係なく、特に障害のない皆さんにとっては障害者の気分で一緒にクライミングコンペを楽しめる素敵な時間になると思います。めちゃくちゃ盛り上がりますので、ぜひいろんな方に参加して頂きたいと思います。

最後、3つ目のお知らせです。今年8月29、30日に福井県福井市でモンキーマジックが主催するイベントをやります。冒頭でもお話しましたが、私たちは主に視覚障害者を対象としたクライミングのイベントやスクールなどを12年に渡って開催してきました。そして今回、新たに"Blind Teenagers Climbing Camp(BTCC)" というイベントをやることになりました。これまでなかなかモンキーマジックのイベントをお届けできなかった地域に、一泊二日のイベントをお届けしようという企画です。対象は10歳から19歳までの若者で、私と2日間一緒に過ごしてもらい、運動の機会や外の人と触れ合う機会が少なかった彼らに「視覚障害でもいろんなことできるんだよ。」「なんで諦めちゃうの?」「もっと頑張ってみよう。」という、モンキーマジックのコンセプト「見えない壁だって、越えられる」を若い彼らに実感してもらえるような時間を届けたいなと思っています。多くの方にこのような企画について知っていただきたいなと思ってご案内しました。モンキーマジックでは、今後2回3回と、若い視覚障害の皆さんに世界を広げるきっかけとしてのクライミングをお届けしようと、いろいろと企画を考え、準備をしています。

私たちモンキーマジックは、東京では、ここ渋谷にあるRock&Wallというクライミングジムで月に一回金曜日の夜に、それから、高田馬場にあるエナジーというクライミングジムでも、月に一回月曜日の夜に、それぞれ障害のある人もない人も共に参加できるマンデーマジックというクライミングイベントを、5年ほど前からやってます。

以上、いつも話が長いと言われてしまうので、伝えたいトピックを3つに絞ってご案内させていただきました。この後はゲスト二人をお招きしてのお話に移っていきますが、ここで1曲入れさせていただきたいと思います。今日の1曲目は、いつか仲良くなって一緒に何かイベントやれたらいいなと思って期待を込めて毎回流してます。MONKEY MAJIKで‘ヘッドライト’。

小林:渋谷のラジオ渋谷社会部。この番組は私、NPO法人モンキーマジック代表の小林がお送りしています。ここから先は、ゲストをお招きしての時間です。当初ゲスト二人と申し上げましたが、3人おります。この放送が始まって以来、4月から月に一度登場してもらっていますが、第1回目の放送にも登場しましたモンキーマジックのボランティアが一人。それから、そのボランティアメンバーの中心人物であるメガサポートメンバーが一人。また、日頃いろいろなイベントに参加してくれている、かなり面白いゲストの方に一人来ていただいています。最初に一言ずつ自己紹介をしてもらおうかと思います。じゃあ男性ファーストでお願いします。

水谷:NPO法人モンキーマジックの水谷です。普段小林さんと一緒にここに出させてもらうことが多いんですが、本日は進行兼タイムキーパー兼音響係のマルチタスクで進行していきたいと思います。よろしくお願いします。

小林:よろしくお願いします。続いて、もう一人いきましょうかね。

内田:はい。モンキーマジックで、特にウェブ関係の更新のお手伝いをしている内田と申します。大学生の、10代の時からモンキーマジックを手伝っていて、今社会人2年目でもうすぐ24歳になるので、もう5年の付き合いになります。ちょっと長いお付き合いですね。今日はよろしくお願いします。

小林:もう5年か、長いお付き合いだよね。なんか就職先とか一生懸命探してたもんね。よろしくお願いします。

小林:そして、もうお一方。今日は、おそらくなかなかラジオっていう電波には乗ることが少ないんじゃないかなーと思う、障害をお持ちの方がゲストで参加してくれています。僕らモンキーマジックのクライミングイベントで知り合うことができた方です。自己紹介をお願いします。

松之木:なかなかラジオに出ないというか、初めて出ます。難聴者の松之木と申します。2年半くらい前にマンデーマジック初参加して、その時からお付き合いさせていただいてます。私はコバさんと同じように中途で障害を持ちまして、27歳くらいから聞こえなくなり始めて、今は補聴器していないと、全く何も聞こえません。実はスタジオの片隅に手話ができるモンキーマジックのメンバーも来てくれてるんですが、今日は敢えて手話通訳に頼らず、なんとか身振りだけで頑張ってみたいと思います。よろしくお願いいたしまーす。

小林:はい、お願いいたします。というわけで、松之木さんには後半にガッツリ登場してもらおうかなと思ってます。

水谷:そうですね、小林さん。あと、今このモンキーマジックのメンバー全員が、別に手話がうまくない。"

松之木:上手くないっていうか、ほぼできない。(笑)

内田:あははは、手厳しい。

小林:そうなんです。ちょっとその話もしておきたいなと思って。今、皆さんパチパチパチパチ...パソコン叩いている音がしたりしているんですけども…。水谷が、パソコン叩いて、一生懸命要約筆記してます。しゃべることを文字化して、松之木さんに見てもらったり。

内田:それからノートにもね、書いてますよ。横で。

小林:僕ら、内田のことはウッチーと呼んでるんですけども、ウッチーがノートに書いてみたり、それから一生懸命頑張って覚えてる手話を駆使してみたいな感じで、松之木さんとコミュニケーションしてます。ですので、ここにいるメンバーは特に普段から聴覚障害をお持ちの方と手話を使ってやりとりしているというメンバーではない中で、ラジオというものを使っての放送となりますので、後半部また楽しみにしていただきたいなと思います。

内田:ちょっと、事故る可能性もありますね(笑)

小林:今日はこんなお二人に来てもらってるんですけれども、まず前半部はモンキーマジックにかれこれ5年のお付き合いをしてもらっている、ボランティアスタッフのウッチーこと内田さん、内田美和さん。

内田:その呼び方は新鮮ですね。

小林:新鮮だね。俺も今、下の名前なんだっけ?って。

小林:内田美和さんに来てもらっているので、そのお話から入って行って、ウッチー自身のこと、ウッチーとモンキーマジックの付き合い、そして、こういった社会に広がりつながりを持っている活動の中で自分が気づいたこととか感じてることなんていうのを、お話ししてもらいたいなと思います。

特にこの渋谷のラジオを聴いている方、渋谷という街に住んでいる方、渋谷という街に足を運んでいる方の多くが、おそらくウッチーと世代が重なる方も多いと思うので、ウッチーはちょっと面白い生き方をしている1人なんじゃないかなというふうに思います。

で、後半の松之木さんにつながっていく話としては、視覚障害の人たちがいる活動だったところに、聴覚障害者の松之木さんがいらっしゃったことで、その活動の世界が「障害者」という視点に大きく広がるきっかけを与えてくれた人だったんじゃないかなと思います。ですので、後半はそういった観点でつながりの話を広げていけたらいいかなと思います。

小林:じゃ、まずはウッチーに聞いていきたいと思うんですけども。普段は学校の先生しているっていうふうにいってくれたんですけど、もうちょっと自己紹介してもらっていいですか?

内田:私は、大学は明治大学に通っていて、キャンパスにすごく大きなクライミングウォールがあるんです。クライミングはそれまで見たことも聞いたこともなかったスポーツだったんですが、体育の授業ではじめてやったのがきっかけで、まずクライミングを知りました。その体育の授業のときに、小林さんがゲストとして1回来てくれたことがあって、そのとき私ちょっとボーっと話を聞いていたりしていて、「あぁ、視覚障害の人なんだな」とか「クライマーなんだ、よく分かんないけどすごいなー」みたいな、こう、ぼんやりした感覚だったんだけど、話を聞いてたときに私いきなり名前を呼ばれたんですよ。小林さん覚えてないかもしれないんですけど。

小林:俺が?

内田:はい。その授業の間に。

小林:内田さんって呼んだの?

内田:小林さんが「ちょっと誰かに聞いてみたいな」って、質問をして。で、横にいたスタッフの方が「ちょっとウッチー」みたいな感じで声をかけてくれて。私はぼーっと聞いていたので「は?」みたいな感じで反応したんです。

水谷:やる気なかったんですか?

内田:ちょっと眠かったんです、朝イチだったので(笑)どういう質問だったかというと、モンキーマジックの事務所がある西荻窪駅の写真を見せられて「この写真の中に、視覚障害者のためのものって何が写ってますか?」って聞かれたんです。私、その話をよく聞いてなかったし、いきなり何かそういうこと言われて「なんだろう?」と。普通にエスカレーターとか、それ改札が写ってる写真だったから、放送とか?って思ったんだけど、それって写真に写ってないよなと思って、しどろもどろに「それって本当に写真に写ってますか?」みたいなこと聞いたら、小林さんが「いや僕、写真見えないから」って言われちゃって。なんて意地悪な質問なんだと思ったのが最初のインパクトでした。

小林:すげー、俺、意地悪な人っていう印象しかないんだね。

内田:そうそう(笑)でも視覚障害の方って、そういう性格とか、何かそういう人格に結びつくイメージがなかったのに対して、何かちょっとこう、面白いおじさんがいるんだなって、その印象がまずすごく強かった。私が持ってる「視覚障害者は遠い人」ってイメージが急速に近づいたのはその時でした。

明治大学のキャンパスのクライミングウォールを使って、近くの盲学校の子たちを招いてクライミングスクールをやっているから、よかったら手伝いに来ないか、みたいなことを先生が呼びかけているのを見て「とりあえず行ってみるか、小林さんにもう一回会ってみたいし」と思って行ってみたのが本当にきっかけです。

そこで小林さんに名前を覚えていただいたり、見学に行ったつもりが視覚障害の子供とペアを組まされて一緒に体操をしたり、何か体を自由に動かしたりして。私、元々吹奏楽部で全然運動にも縁がなかったんですけど、楽しいなと。子供たちと関わって慕ってくれるのもうれしいし、何かちょっと役に立ててるような気がしたのも、なんかいいなと思って。そこに関わり始めたのが本当に最初のきっかけです。

小林:あれは2年生?

内田:そうですね。2年生になる直前から行き始めて、しばらく行ってました。そこから、今さっきおっしゃっていた高田馬場とかでやっているクライミングジムでの交流イベントに参加者として行くようになって、そのうち人手が足りないときはちょっと受付やってー、みたいな。スタッフをしていくようになって、今では本当に中心的にいろいろさせていただいてますし、松之木さんがいらっしゃるようになってからは、小林さんが話したような近況報告のときに、紙芝居なんか作ったりするような、お手伝いをして情報を伝えるお手伝いをしたり、あとはホームページとかFacebook の更新なんかも徐々にしていくようになりました。そんな感じですかね、はい。

小林:ウッチーが僕らのイベントに来てくれるようになったころの印象は、「なんでこの人こんなに忙しいんだろう?」って思ってしまうくらいの人だった。で、「何をやってるの?」って聞いたら、映像か何かをやるサークルにいて、ウェブサイトを作ったりやっていて。それからイラストを書いたりとか、そういうグラフィックデザインみたいなのが好きで、音楽もやっていて?

内田:そうですね、バンドも組んでました。

小林:お兄ちゃんの影響か何かですごい音楽にはこだわりがあって、それから文学が好きで。源氏物語みたいなものの話から哲学的な書物の話から、まー。そら眠いはずだわな、そんな、授業で体育座りしてたら寝るわな、というような感じだったんだけれども。

内田:はい。

小林:昔から、例えば中学高校の頃から、今言ったいろんな多岐に渡るところに興味があったの?それとも大学に入って、大人の仲間入りじゃないけれども、自由な時間が持てて、いろんなものに一気に手を出したの?"

内田:そうですね。中学高校はもう部活に必死で行事とかもすごく頑張ってるタイプではあったんですよ。

小林:部活は何やってたの?

内田:中学、高校と吹奏楽部をやってました。あとは文化祭なんかのときに、例えばクラスで劇をやるよって言ったら衣装とか小道具作ったり、縁の下の力持ちタイプというか、表には出ないけど結構裏でなんかイキイキとしてるタイプだったんですね。ただ、大学に入るとそういう行事ってなくなるじゃないですか。

小林:うん。

内田:部活ほど活動が大変なことに参加しなくなってきて、時間をもてあますというか、何にでもこの4年間で挑戦できるはずなのに、意外と自分の周りにそういう入り口が少ない気がしていて。

で、あったとしても、例えば留学とかってなるとちょっとハードルが高い。どうしよう?みたいなことは最初の1、2年の時に葛藤としてありました。サークルにほんと2つぐらい入ってみたり、学生団体にも入ってみたり、バイトも4つぐらいしたかな?結構しました。

小林:携帯電話売ってたとか言ってたね。

内田:そうそう、いろいろ。ホントに最後はコーヒーショップとかでバイトしたりもしたんですけど。何か人とのいろんな繋がりとか、絶対出会うはずがない、こう、線が交わるみたいな瞬間をそういう中で少しずつ楽しめるようになってきたのかなと思います。

なんかしっくりくるものとか現状維持じゃなくて、変化みたいなものを求めていくようになったのは本当に大学からかなと思います。でも、モンキーマジックに関わろうと思ったときにはちょっと1つサークルを辞めて、専念できる部分を増やそうと思って、ちょっと覚悟したというか。いいなと思ってから、飛び込むまでにちょっと時間的なスパンは、実はあったんですよ。心の準備に結構時間かかりました。

本当にそういう障害がある方とかの世界に中途半端な気持ちで踏み込んでいいのかな、みたいな。そういうためらいはあったんですけど、クライミングも何も知らないし、視覚障害者がどういう人かも知らないし、小林さんしか知らないけど。「ま、いいや行っちゃえ」みたいな。

小林:うん。

内田:小林さんみたいな方ばかりじゃないことも何となく想像はつくんです。実は私の叔母が、点字図書館、日本点字図書館で昔からずっと職員をしていたり、中学時代に盲導犬の訓練所に見学に行ったこともあったり、多分どっかで興味はあったんだと思います。

小林:そうだね、うんうん。

内田:家族に実はちょっと情緒障害になる弟がいたりとか、そういう世界に何かしらの形で関わりを持てたら、例えば得意を生かして、デザインとか、そういうウェブとかの得意を生かして役に立てるのであれば、それは何かすごく楽しいんじゃないかなと。やっぱり小林さんみたいな面白い大人?とか変な人?変な人って失礼ですね(笑)。面白い大人。"

小林:いい日本語です、うんうん。

内田:(笑) そう、ちょっと変わった方にすごくやっぱり興味惹かれて、そういういろんな要素が重なって、行っちまえ!みたいな、そういう思い切りになりました。

水谷:でもまぁ、小林さんも私も、19歳の内田を知ってるわけじゃないですか。今すごく落ち着いて社会人2年目で先生やっている内田と、サークルいっぱいやってバイトいっぱいやって恋愛もいっぱいしてたであろう19歳の内田を比べて、小林さんにはどう映りますか。

小林:あのね、ウッチーはあの頃に比べると、言葉を選べるようになったな、っていう印象が一番あって。

水谷・内田:わははははは。

小林:大学生の頃のウッチーは、もう、ひたすらマシンガントークだったんだよね。もう頭に出てくることがあったら、ダーって、何でもしゃべってた印象で、あれはあれでとっても面白かったし好きだったけれども、その頃に比べるとすごく何か言葉を選ぶようになったなっていうのは思っていて。大学生の頃からそういう変化の中に我々はずっと横にいさせてもらった印象だけれども、そういう意味で行くと本当に、社会人になって落ちついていく姿というか、そういうのが横で見れてたような印象はあるんだけれども。

内田:はい。

小林:逆に言うと、ちょっとウッチーに聞きたいなと思う。モンキーマジックの活動に関わろうと思って、それまで付き合いのあったサークルを一個やめた。それは私たちのようなこの障害者との付き合いをするためには、中途半端じゃだめだと。

内田:はい。

小林:やっぱり、ちょっとそれ覚悟が必要なんだ、そのぐらいの思いじゃないとだめなんだって言ってくれたけど、実際中に飛び込んでみて関わる前と関わってから、その思いに違いはあった?

内田:はい。言い方としてはモンキーマジックのためにやめたみたいな言い方しちゃったんですけど、モンキーマジックに関わるようになる前にサークルで中心的な活動をしていたんですよ。グラフィックのデザインの勉強を独学で一生懸命して、チラシとかポスターとかを自分の力で作れるようになってきていたということで、活動としてはものすごく満足していたんですけど、例えばサークルっていうちょっとゆるい雰囲気というか、一生懸命作ったものに対してみんながあんまり興味関心を持ってくれなかったり、あるいは、普段楽しいっていう活動には参加するけど、これからこのサークルどうしていくのか、来年の新入生どうやって迎えるのかみたいな、結構大事な話し合いにはみんなだるいみたいな感じでしっかり取り組んでくれないのを見て「なんでそういうところ大事にできないのかな」とちょっと思ってしまったことがあったんですね。

多分、それは私が暑苦しかったのかな?とも思うし、今となってはいろいろ後悔していることや、私が間違ってたなと思うところもあるけど、モンキーマジックに関わって一番大きかったのは、例えば、ちゃんと連絡を返すとか、ちゃんと時間通りに来るとか、そういうところをちゃんとしないと怒られる(笑)。サークルって、ほんとそういうの適当ですから。逆にそういうことを怒ってくれるのも新鮮というか、私はすごくいいなと思ったし、ちゃんとやったことに対しては応えてくれる。

例えば「こういうのもやってみる?」とか「ウッチーだったらこういうのもいいんじゃない?」とか「こういう人にちょっと会ってみたらいいよ、今度紹介してあげるから」みたいな、どんどんどんどん、私を個人としてちゃんと見てくれて、やる気があるなら仕事を与えるよ、みたいな。そういう尊重してくれる姿勢みたいなものが、学生同士の付き合いにはないものだったかなと思ったので、自分としてもやっぱり応えなきゃいけないと思ったし、今までできていなくてなぁなぁにしてきたことをちゃんとしなくちゃなと思うきっかけになったかなと思います。

小林:僕らのことをそんなふうに言ってもらえて、学生時代のウッチーが学校とは違う場面で育っていく、大人になっていくっていうステップに少しは役に立ったのかなって感じるんだけれども、そういう経験を経て今社会人2年目の夏休みに入ろうとしてるけれども、社会人になってからの今はどう?当然さっき言った、朝ちゃんと起きる、ちゃんと連絡報告するとか、それはもう当然の話になってきていると思うし、それから仕事に行く、学校の先生だったら朝も早いだろうし。

内田:はい。

小林:学生の時とは全然違う環境の中で、改めていろいろ感じるものがあったりとか、それでも離れずに僕らの活動にずっと関わってくれてるわけだけれども、それはなんで続いているんだと思う?続いてる理由とか感じていることとかある?

内田:はい、そうですね。それを話すにはやっぱり就職活動、私がすごく苦労した就職活動のところから話す必要があるかなと思っていて。さっき言ったとおり、デザインとか絵を書いたりとか、得意なことは結構人より多い方だと思うし、モンキーマジックに関わる前よりもコミュニケーションとか、そういうこともすごく得意になったなと思っていて。就職活動をするときにもそんなに苦労しないんじゃないかなと思ってたんですけど、実は夢みたいなものが大事だったり、自分がどういうふうな人間になりたいかみたいのが大事だったりするじゃないですか。あんまり、そういうところを考えて生きてこなかったので、欲張りすぎるっていうところもあったりして、全然決められなかったんですよね、正直。全然自分がどうしたいのかとか。例えば、勉強してきたことが無駄になるかもしれないとか、なんかそういうふうに考えたときに一つに絞ったりすることがすごく難しくて。受からないと本当に落ち込んでしまったりして。"

小林:うん。

内田:どうしようもないなって時は本当に私長くあったんですね。そういうときにもこういうモンキーマジックの活動には行き続けていて、マンデーマジックで会う仲が良い人とか初めて会った大人とかに、「ちょっと今こういうことで悩んでいて」とか人生相談をしてみたりしていると、結構真面目に怒ってくれる方とか「こうしたほうがいいんだよ」とか「今こういうところがまずいよね」っていうふうに言ってくれる人が多かったりして。そういう意味で悩みを聞いてくれる人がいるっていうことが、私にとってはすごく大きくて続けられたって側面もあるんですね。

私が社会人、学校の先生になると決めたときに、みんなすごく喜んでくれて、卒業のお祝いすごくしてくれて「こんなにいろんな人に支えてもらってたんだな」と思ったので、卒業してからはその恩返しをしていきたいなってスタンスがすごく大きいですね。それに「これからもこういう出会いがたくさんあるんじゃないか」って期待してしまうから、ちょっと学校帰り忙しかったり、ちょっと疲れちゃったと思っても、足を伸ばしてこの活動に行ってみようかなーとか。何か関わりを絶って、仕事に集中したいっていうこともあるかもしれないけど、でもやっぱり、なんですかね、一番の私が羽根を伸ばせる場というか、すごくこう、オープンに話せる場所というか。

小林:あぁ、羽根を伸ばせる場所ね。

内田:いろんな人がいるんだけど、いろいろ気遣いをするんだけど、みんなも逆にそうしてくれているわけですよね。私が若かった時には「こいつはちょっと鼻持ちならないことたまに言うけど、若いからしょうがない」って接してくれてるわけじゃないですか。今度は私も何かそういうふうにいろんな人に気遣って、何かしていきたいなっていうふうに、別の立場に立って関われるようになってきてるのかなっていうのがあったりします。

小林:今、ウッチーが話をしてくれていたのは、僕らが5年ぐらい前からやっているマンデーマジックっていう名前でやっている、障害がある人もない人もクライミングを通じて新しい仲間づくりを広げられたらいいねという交流型クライミングイベントの中での、大人たちとの関わりとか、それにまつわる気持ちの部分をすごくわかりやすく話してくれたなと思う。けれども、今ではウッチー自身は、このNPO法人モンキーマジックのボランティアスタッフの1人として名刺を持ってもらって、交流型クライミングイベントに参加をすれば得られていたはずの大人たちとのつながりから、もう一歩踏み込んで、いろいろ頑張ってくれてると思うんだけれども、それは俺とかおさむとかが「ちょっとお前一緒に働け」みたいなお願いをしたのかもしれないけれども、それでも社会人として自分の時間を作るのも難しかったりしているはずのウッチーがNPO法人の社会活動に関わってくれている。その原動力は何なんだろうな。

内田:モンキーマジックの最近のニュースにさっき出てこなかったんですけど、7月から箕面ビールっていう大阪のビール会社とモンキーマジックがコラボして、モンキーマジックのサポートにもなるお中元グッズの販売が始まったじゃないですか?ビール会社を発見したのって、渋谷で去年の10周年のイベントを考えてるときに、おさむちゃんと小林さんと3人で入ったご飯屋さんで。

小林:そうね、パーティ会場の下見に行った時だったね。

内田:そうですそうです。そこで、たまたま出てきたビールの王冠に猿がついてたことから「こことコラボしよう」みたいな。で、半年がかりぐらいで実現したことじゃないですか。

小林:うん。

内田:私、こんなに早く実現するって全然思ってなくて。

小林:そうね、あのときは11月の頭にあのお店の下見に行ったけど、12月の半ばには社長に会いに行ってたからね。

内田:いやーもう、だから、例えば行動力とか「こうしたい!」っていうのが現実になるみたいなことでちょっと感動というか、普通の生活をしていたらなかなかないんじゃないかなと思って。規模は小さいかもしれないけど構想したことが形になるっていうのは、私にとってすごく感動だし、しかもそのビジョン、小林さんがビールが好きで、私もおさむちゃんもビールが好きで「モンキーマジックって酒好き多いよね、ビール会社と絶対コラボしたいと思ってんだよね」みたいな、そういうちょっとふざけてるっていうか、楽しんで作った構想が本当に形になるっていうのがすごい面白いなと思っていて。何か夢があるというか、そこに関われるっていうのは本当に得難いんじゃないかなと思ってます。

大学を卒業してから友達と連絡を取ったりすると大学以外のコミュニティがすごく減ってしまった人が多くて、例えばアルバイト先だったりとか高校とか中学とかのコミュニティーも、転勤したりした人は遠ざかっちゃうじゃないですか。そうすると、全く関係ない、こういう趣味でのつながりだったり、人間性みたいなつながりがある、そういう場に自分の居場所があるってすごく素敵なことだなって思っていて。全然利害関係がないっていうか、仕事とは関係ない人に会って、全然違うけど社会の役に立つ話とかをするとか、そういう活動に参加するっていうことは私にとってはものすごく大きな価値があるんじゃないかなって今思ってます。そんな感じです。

小林:つまり、面白いって思ってくれていること、そういうことが発信されている場所。

内田:うん。

小林:だから、ただの一参加者にとどまるのではなくて、もう1歩踏み込むことによって、その面白さの広がりがあったりとか、喜びがあったりとか。

内田:なんかモンキーマジックに参加する人って、モンキーマジックの活動に参加してモンキーマジックをよく知っていくほど「もっとこうした方がいいんじゃない?」とか「もっとこういうことをした方がウケると思うよ」とか、言う人いっぱいいるんですよね。私も絶対そうだったと思うし。小林さんとかは「じゃあ、やりたいんだったらどうぞ」っていうふうにチャンスを与えてくれるというか、逆に言うと「やりたいなら手伝って」みたいな。気力とか気持ちがあるんだったら、行動してくれる人を探してる感じがしていて「じゃあ私も働こうじゃないか」みたいな気持ちになってる感じです。やりたいことが、モンキーマジックを通じてやりたいとか、もっとこうした方がいいって思うことがあるから「じゃあ、私が」っていうふうにやっているイメージですかね。

小林:今、実際にウッチーには、大きく2つやってもらってることがあって、一つはモンキーマジックのホームページやFacebook のデイリーの更新の部分を中心的に担ってもらっていたり、それから僕らは外の団体とのお仕事なんかも多いんだけれども、そこのフィードバッグの部分でお手伝いしてもらったりっていうようなことをいろいろとやってもらって、実際に手間暇かけて言葉を紡いでもらったりするような機会を今とっても頑張ってくれたりしてるんだけども。

内田:はい。

小林:俺自身はね、今ウッチーが言葉にしてくれたのがとても嬉しくて。なぜなら、モンキーマジックのミッションステートメントの中では""障害者クライミングの普及を通じて多様性を認め合うことのできるユニバーサルな社会を実現したい""と語っていて。。小難しい、、難しいな、なんだろうなあ、ユニバーサルな社会って。ポップでハッピーな社会をつくろうぜ俺たちっていうような感じの言葉にちょっと置き換えて使う。ハッピーな社会にしようよ、もっと元気で楽しい社会作っていこうよ、っていうことをすごく思っていて。それって、関わっている我々が、それ実現したら面白そうって思えるようなものでないと、そういうことって続かないんじゃないのかなっていうふうに思うので、こうしてスタッフとして関わってくれているウッチーが面白いって思ってくれてるっていうのはすごく大事なことだと思うんだよね。

内田:モンキーマジックの、例えばキッズスクールだったり、その交流イベントに参加すると「スタッフもやっぱ登ってください」とか、子供たちを楽しませるじゃなくて、自分が楽しまなきゃだめだよ、みたいなこと言われるじゃないですか。それが私すごくいいなと思っていて、その姿勢がやっぱり好きなんだと思います、そういうふうに言ってくださったとおり。

小林:ちょっと最後にウッチーに、聞きたいんだけど。

内田:はい。

小林:モンキーマジックに関わるようになって、5年?

内田:はい、そうですね。

小林:だよね。モンキーマジック出来てからね、まだ11年、もうすぐ12年だけど、11年、半分近くの時間をウッチーはずっと一緒にいてくれてるわけ。そんなウッチーも、大学生だったウッチーから社会人のウッチーになって、それでも今もこうやって関わってくれていて、「これからもっと」と思ってくれてるんじゃないのかなと思うと、今までは自分がここにいることで面白いことに出会えるって感じてきてくれていた。でもこれからは、20代の半ばから後半になって、自分がモンキーマジックっていう団体の中で、自分が発信して何かを作ってくっていうことが始まる時期になってくるんじゃないかなっていうふうに思うと、これからウッチーは自分でどんなことができると思う?

内田:えー、考えたこともあまりなかったかもしれないんですけど。そうですね。クライミングの団体なので番外編みたいな感じで今年も今度やるんですけど「暗闇落語会」っていって、モンキーマジックのスタッフと一緒に視覚障害の人と落語を楽しむイベントをやったりしました。そんなに登れないけど、私ももちろんクライミングが好きだし、クライミング以外にも好きなことたくさんあって、モンキーマジックで知り合った方とそういう趣味の場で一緒にすることも、多くなったりしました。

小林:うん。

内田:なので、視覚障害とか、あるいは、ここにいらっしゃる松之木さんみたいに聴覚障害の方、あとは最近モンキーマジックのイベントに来てくれている車椅子の方だったり、そういう方と楽しめる幅の広いイベントをもっと開催できるといいのかなとか、それが何かまだ全然、落語以外に想像がつかないんですけど。

小林:今までおさむとウッチーとがペアになって、さまざまなクライミングにとどまらないイベントとかを企画してきてくれてると思うんだけれども。これからは、ウッチーがこんな事やりたい、それこそさっきのビールの話とかでもいいし...。

水谷:そうですね。この後も内田の話も聞いていきたいなとは思いますが、ここでですね、もう1曲の後に、もう少し内田の話を聞きたいと思います。ではもう一曲。今日のゲストのもうひと方、松之木さんから曲紹介を。

松之木:はい。不可思議/wonderboyさんのパフォーマンスで谷川俊太郎の詩がテーマになっている「生きる」。

水谷:はい、不可思議/wonderboyで「生きる」を聞いていただきました。ここから松之木さんも交えて、聴覚障害者がこのラジオを通じて渋谷を中心に世の中へ発信するっていうのも少しお聞きしたいなと思うんですけども。先ほどのモンキーマジックの内田、ウッチ―の話をもう少しだけ聞いて、松之木さんに混ざっていただきたいという思いもあるのですが、小林さん、いかがでしょうか。

小林:はい。ここは渋谷社会部ということで、こうして社会に関わっているいろんな皆さんとお話しさせてもらっていて、私たちNPO法人モンキーマジックの活動にどんな思いで関わってくれているのかという話をずっと聞いてきたんですけど。その話の中で、面白いなって思えるから私たちの活動に関わってくれてきた。これからは自分が新しいつながりをまた広げていきたいっていうふうな話を、20代半ばのウッチーが聞かせてくれていました。そんな中で、今日もうお一方ゲストをお迎えしています。ここでこうしてまた繋がってるのも新しい世界なのかなと思っていて。

内田:はい。

小林:自分が視覚障害ということもあって、モンキーマジックっていう活動の中で視覚障害の世界の話が中心になることがどうしても多かったんだけれども、こうして耳の聞こえない、聞こえにくい皆さんとの世界が広がってくっていうのも、一つのかなと思うんだけども。

内田:はい、そうですね。去年の暗闇落語会は、やっぱりちょっと言い方は悪いんですけど、聴覚障害の方には楽しんでもらえない企画ですよね。視覚を遮断して聴覚で落語を楽しむイベントだったので。そういう意味でいうと、今度はモンキーマジックでやる必要はないかなと思ったりするんですけども。聴覚障害の方とかにも楽しんでもらえるようなイベントだったりとかを考えていきたいなと思っていたりもします。

小林:モンキーマジックでやれる面白いこと。やっぱりそれは、20代のウッチ―だから社会から拾ってくる、今の世の中とユナイトさせて作っていける何かがあるんじゃないかなという気がするな。

内田:あとは若い人とかにももっと来て欲しくて。それは健常の方でもいいし、本当に大学生にもっともっと参加して欲しいなと思いますし。本当ににいろんな障害があったり、言えないような友達とかも、意外と共感してくれないような考え方があったりもすると思うので、ここで見つけてくれるといいかなと思うし。友達って、私は年齢全然関係ないと思っているので、40代50代のおじさんたちも友達だと思ってるし。同じグレードを登ったりすれば友達だと思っているので。若い方にもどんどんどんどん入ってきてもらって、いろんな友達を作ってもらえればと。その橋渡しがしていければいいかなって思ってます。

小林:ラジオを聴いている皆さんには、かわいいウッチ―を目当てにモンキーマジックのイベントに参加してもらって、そのままモンキーマジックが面白くなってもらったり、クライミングが面白くなってもらえたらいいなと思います。

皆さんぜひ来てもらえたら嬉しいなと思います。

内田:ハードルを上げないでください、ハードルを。

小林:それでは、ここまではウッチ―にいろいろ聞いてきたんですけども。ここから先は先ほどから、曲を紹介してもらったり、最初自己紹介をしてもらったりしてきた、もう一方のゲスト、松之木さんに入ってもらいたいと思います。

小林:ではウッチ―。ここからは頑張って松之木さんとコミュニケーションの手伝い、おさむもよろしくお願いします。

水谷:よろしくお願いします。

小林:では、松之木さん。僕が知りうる限りの松之木さんのことを少し皆さんにお伝えしていきますね。松之木さんは人生の途中で耳が聴こえなくなっていったわけですよね?

松之木:そうですね。失聴というか中途難聴。補聴器をつけると静かな場所なら会話できちゃうんですけど。今日はあえて補聴器なし、手話通訳もなしでコミュニケーションさせていただきます。よろしくお願いします。

小林:よろしくお願いします。

小林:松之木さんは、普段はどんなお仕事をされてるんですか?

松之木:電話会社のサラリーマンですね。電話会社なんですけど、自分が電話使えないんでメールとかですね。

小林:確かに、今の面白かったです。

水谷:今は内田がノートに小林さんの言葉を書いて、それを松之木さんに伝えて。先ほどまで私、水谷がパソコンのタイプをしていんですけども、それは一旦、止めてというか、次の曲の準備とか機材を触ってできないというのが正直なところなんですけど。

小林:松之木さんはご家族とかはいらっしゃいますか?奥様とか、お子様とかは。

松之木:妻が一人だけと、あとはニャンコが二匹。全員女性で、ハーレム状態です。

小林:では、1人いる奥様について聞いてみたいんですけれども。奥様は耳が聞こえる方なんですか?

松之木:はい、女房は聴こえますね。聴こえるはずなんですけども、朝起きるのが弱くて、目覚ましがどんなになっても起きないので、家族の中では早朝性難聴じゃないのって。あと、女房は親戚に聴こえない人がいた関係で、私が聴こえなくなっても悲観しないでいてくれたんで、よかったなと思います。

小林:つまり、松之木さんは、結婚される前は普通に聞こえてたんですか?

松之木:結婚する前は聴こえてました。私は27歳になるまでは、まあまあ普通に聴こえてて。27歳で聴こえなくなり始めて、28で付き合い始めて、30歳で結婚ですね。結婚前から聴力落ちているのは、お互い分かっていたんで。"

小林:奥さんは、耳が聞こえなくなってくっていうことを、やっぱり親戚の中に聴覚障害の人がいたから普通に受け入れられたんですかね?

松之木:そうですね。親戚夫婦二人ともに、ろう者、耳が聴こえない人なんですけども、その二人が普通に幸せそうにしてるんで「聴こえなくても別に平気だ」みたいなのはあったんだと思いますね。ありがたいですね。

小林:なるほど。すごい素敵だね。

内田:かっこいいですね、本当に。

松之木:障害者って可哀想なイメージありますよね。私も自分が聴こえなくなる前は、障害者の人って気の毒な守ってあげなきゃいけない存在とか思っていましたけど。でも、実際はちょっと不便だけど不幸ではないし。自分が障害を持って、そういうのをすごく感じますね。

小林:今、ラジオを聞いてくれている皆さんは、松之木さんが耳が聞こえないで話をしているとは思えないと思う。信じられないと思う。

松之木:そうですかね。

小林:うん。

松之木:今日はちょっと意識してハッキリめに声を出しているんですけど。実は自分の声のボリュームとか発音とか、よく分かってないんで。知らない間に声が小さくなったりとか、ろれつが怪しくなったりとか、よくあるんで。もし、おかしくなってたら言ってくださいね。お願いします。

内田 聴き取りやすいですよ、ちゃんと。

小林:うん、ね。

内田:さっき普通にコーヒー買ってましたからね、カフェで。

松之木 聴き取りやすいですか。ありがとうございます。

小林:松之木さんと話をしていると、目の見えない僕は周りの人が手話で松之木さんに話しかけている姿を見ることができないので、松之木さんが話しかけてくれると、この人が耳が聞こえないということを忘れてしまう。そんな感じが僕の松之木さんに対しての印象です。

松之木:えーっとごめんなさい...(ノートテイクされた内容を確認し)目の見えないコバさんは、手話で松之木に話しかけているところを見ることができないので、私が手話を使って周りと話しているところを…、そうですよね、見ることができないですよね。そうですよね、耳で聞こえるとそうかもしれないですよね。

小林:なので、耳の聞こえない松之木さんと目の見えない僕がやりとりをする時には、書けているのか分からない字を僕がノートに書いて、松之木さんに見てもらって、それで言葉で返してもらうようにしています。僕はとってもその時間好きなんです。

松之木:そうですよね。

小林:うん。

松之木:コバさんと初めてお会いしたときにコミュニケーション方法をどうしようかなと思って、ノートとペンを渡したんですよね。

小林:うん。

松之木:コバさんも中途失明なので、字は書けると思ってお渡ししました。実はコバさんは私よりも字が綺麗なんです。

内田:えー。

松之木:びっくり。私は羨ましいと思っちゃいますね。

水谷:小林さんと松之木さんの最初のきっかけは何だったんですか。

小林:松之木さんがモンキーマジックのことを調べてくれてね。僕らのイベント、マンデーマジックに参加してくれたのがきっかけでした。すごいチャレンジャーだったと思う。

水谷:松之木さんはマンデーマジックに行こうと思ったきっかけってなんだったんですか?

松之木:私は、子供の頃から山歩きが好きで、中学・高校時代に「山と渓谷」とか読んでたんですね。ロッククライミングとかに憧れていて、でもその頃はやらなくてですね、大人になってからボルダリング・ジムっていうのがあるらしいっていうのを聞いて。興味はあったんですけど、僕、聞こえないしどうしよう、みたいな、引っ込み思案なところがあったんですよ。で、たまたま知り合いがモンキーマジックに関わっていて、こういうのがあるんだっていうことを知って、見えない人をクライミングさせているのって、どんな方法なんだろうっていう興味があったのが一つ。あと、バリアフリーな、ダイバーシティな取り組みをしている団体だったら、もしかして聞こえない自分が行っても受け入れてもらえるかも、みたいなのがあって、それでちょっと思い切ってメールを差し上げたのが、きっかけですね。

水谷:あれ、モンキーマジックとしては、松之木さんが初めての聴覚障害者?

内田:そうです。

内田:松之木さんスタートで、本当に聴覚障害の方がたくさん来てくれるようになりましたよね。

小林:ずいぶん増えたね。松之木さんはとっても発信力のある聴覚障害の方なので、松之木さんをきっかけにして。

松之木:あー、そうなんですね。なんか、見えない人のためのクライミングのイベントなのに、聴こえない人が来ちゃって申し訳ないなぁ、なんてのも最初はあったんですけども。その辺はどうなんですかね?"

水谷:あぁー。

松之木:大丈夫でしたか?

小林:スーパーウェルカムですね。

松之木:よかったです。安心しました。

小林:松之木さんは発信力もあるし、何よりも周りの人たちに自分から話しかけたり、周りの人たちともっと仲良くなりたいということをとてもよく表現して伝えてくれるので、ああいうイベントの場に必要な人だと、改めて最近感じている小林です。うん。

内田:(パソコンでノートテイクしている水谷に対して)頑張れ。

水谷:もうねぇ、この時間でだいぶタイピングがうまくなりそう。

松之木:タイピングがうまくなりそうって書いてありました。

小林:水谷がすごい一生懸命タイピングして松之木さんに見てもらってるんですけど、聴覚障害の人たちの前で講演会なんかがあると「情報保障」っていうふうに言われて、こういうふうにパチパチパチっとパソコンを打って「要約筆記」といって、しゃべっていることをノートにとるようにまとめて、聴覚障害の人に画面で映して見てもらったりなんてことも、よくあるんですよね。

じゃ、逆に松之木さんにもう一度聞きたいんですけど、マンデーマジックに来る前は「どうかな?」って心配もあったと思うんですけど、来てみてもらって、その交流型クライミングイベント、マンデーマジックはどんな印象でしたか?

松之木 何についての印象ですか、ごめんなさい。

内田、水谷:マンデー(マジック)、マンデー(マジック)ですね。

内田:かえって複雑にしているかもしれない。二人で書いてるから。

水谷:そうそう。いいの、いいの。

小林:ノートとパソコンで一生懸命伝えてるから。

松之木:例えば見えない人に対する印象とかではなくて?

内田:どういうところですか?小林さん。

小林:まず、イベントに対してどうでしたか?マンデーマジックっていうイベントそのものに対しての印象。

水谷:イベントそのものの、印象。

松之木:えーと、まず、そもそもクライミングって何っていうのを最初にやったんで、非常に低い敷居で体験させていただけたのは良かったなって思っています。

小林:おー。

松之木:それ以上にですね、マンデー(マジック)とかフライデー(マジック)に参加している皆さんっていうのは、日頃から見えない人と付き合いがあるので心がとってもバリアフリーですよね。

内田:そうですね。

松之木:私が聞こえないんで書いてって言うと、皆さん懲りなく普通に書いてくれるんで、そういう意味でものすごく参加していて楽しいイベントだったんで、思い切ってこう扉を叩いてよかったなって。思っています。

水谷:なんか言わせちゃったようなありがたい言葉だな〜。

小林・内田:笑。

松之木:そう思ったんで友達にも言いふらした結果、今聞こえない人が多いですね。

内田:50人ぐらいいるとしたら、多い時はもう10人近くが聴覚障害の方の時もあるし、少なくても3、4人は必ずいらっしゃいますね。マンデーマジックなんかは、大体50人ぐらい皆さんいらっしゃって、視覚障害の方と聴覚障害の方の比率が最近同じくらいに。ちょっと視覚の方が多いかなぐらいで、あんまり比率が変わらないというか。4分の1以上がそういう何かしら障害を持たれている方、っていうことが言えますかね。

松之木:そうですねー。

小林:車いすの方なんかも最近はいらっしゃったりするようになっていて。全国に目を向けると、北海道なんかでは両足とも動かない車椅子に乗っていらっしゃるような方がクライミングをしていたり、そこには目も見えない、耳も聞こえない、盲聾者と言われるような方もいらっしゃったりするようになっています。昨日つくばで開かれた、私たちモンキーマジックが直営でやっているクライミングジムの同じような交流型クライミングイベント「サタデーマジック」には、盲聾の高校生が参加してくれてます。目はほとんど見えてなくって、耳も片方の耳だけが相当大きい声で耳元でしゃべってやっと聞こえるくらいの子がきてくれてます。いろんな方がクライミングを通じて仲良くなっていくってのは本当に素晴らしい絵だなぁと思うんですよね。

松之木:やっぱりこう世間一般の感覚だと、例えば、足が動かないとか手が片方ないみたいな人が登るっていうのも凄いっていう印象を与えると思うんですけど、さらに、目が見えない人がどうやって登るの?っていうのがすごく不思議でしたね、マンデーマジックに来る前は。でも実際、皆さんのところで見えない人が一緒に登っているの見ると「なんだ、できるじゃん。」みたいな。普通ですよね。

内田:そうですね。

小林:松之木さんに質問なんですけど、さっき、マンデーマジックに来てみたら「書いてください」って言ったら普通に書いてくれる人たちばっかりだったって言ってましたけど、街中で、普通に暮らしている中だと、なかなかそうはいかないことの方が多いんですか?

松之木:街中だと、聞こえないから書いてって言っても頑張って大声で説明しようとする人とか、書かなきゃいけないんだったらもういいや面倒だから話やめー、みたいな人もいますよね。

内田:えー。

松之木:これは職場でも理解ない人だと、そんな感じです。

小林:職場でもそうですか。

松之木:だからこう最初っからすんなり書いてもらえるっていうのは、すごくありがたいというか、珍しい。

小林:珍しい!?

松之木:えぇ。

小林:あー、そうなんだぁ。それは驚き。

内田:うん。だって、視覚障害者にどれだけ「見ろ!」って言っても無理ですもんね。

小林:そうそう。「こうやって」って言ってるようなもんだからね。

内田:すごい近づけて「ほら!ほら!」みたいな。

小林:そうそう。

内田:「いや、見えないんだって!」みたいな感じですよね。

小林:そうそう。そんなんいっぱいあるからね、我々も。

内田:あぁ、ありますか。

小林:逆に耳の聞こえない人もやっぱり同じなんだなぁっていうのも、すごい気づきだよね。

水谷:松之木さんが聞こえる人に見えるっていうのも、一つあるんですかね。

小林:そうねぇ。

水谷:どうでしょう。どうでしょう。

松之木:こういう風に普通に話してるけど、みたいなことですか?

松之木:どうなんでしょう。でも、手話使う聾者のみんなも飲み会で溶け込んでますよね。やっぱりこう、参加者の皆さんの心のバリアが低いんだと思います。

内田:たしかに。

内田:松之木さん以降、マンデーに来られた方々も、飲み会ですごく楽しそうにしてらっしゃいますよね。で、そこで友達を作って、別で遊びに行ったりとか。いろんなジムに登りに行ったりしているところをよく見るので、そうだと思います。逆に言うと、やっぱり、松之木さんほど聞こえてないように見えなくても、書いてくださいっていうのも大変かもしれないし、書いてもらえなかったら、もう言う気もなくなっちゃう、っていうのもあるんですかねぇ。"

小林:うんうんうん。

小林:ウッチーに聞きたいんだけども。

内田:はい。

小林:松之木さんはこういう人で、マンデーマジックにきてくれたときも、周りの人たちも自然に受け入れられたと思うんだけれども。

内田:はい。

小林:当然障害者にも色んな人がいて、視覚障害の中にも何でもかんでもやってもらいたい人、これまでもいたよね。

内田:エヘヘヘヘヘヘヘ。はい。

小林:で、障害のない人でも、助けてあげたい人もいっぱいいたよね。

内田:うん、そうですね。

小林:障害者のために、いいことしたいから私ここに来たんですっていう人もいた。

内田:うんうん。そうですね。

小林:でもそういう人たちはモンキーマジックのこのイベントの中ではあまり居心地が良くなくて、離れていった人も多かったと思う。

内田:そうですね、スタンスを変えてくれた人も多かったです。

小林:そう。モンキーマジックがやっているイベントの中では障害者は参加者の一部であって、障害のある人もない人もみんな同じスタンスで。できなくて困ってることがあれば、みんな助けられることは助けますよ、応援できる部分は応援しますよ、っていう感じなんだけれども、松之木さんが特別なんじゃないかな?って思ったりすると、他の聴覚障害の(聞こえない・聞こえにくい)人たちで対応に困ったりしたこととかって、あった?

内田:あー、どうなんですかね。こうやってノートとかがあれば一対一でもコミュニケーションをとれることが多いのかなぁって思うんですけど、私ちょっと前に誘われて、マンデーマジックに参加している聴覚障害のおじさん二人とレンタカーを借りて、印西っていうちょっと遠くの場所まで、東京から聴覚障害の一人が運転するから一緒にクライミング行こうよって言われたことがあって。

小林:千葉の印西まで?

内田:そう。で、私さっき言った通り、手話たいしてできませんから、なんで誘われたんだ!?みたいな。本当にもうクライミングっていう趣味でつながっているっていうところが一番で「手話なんかいいよ、行ってどうにかなるから!」みたいな感じで誘われたんだと思うんですけど。私その時指文字もまだ全然覚えていなくて、ちょっとやっぱりドキドキしながら行って一日一緒にずっと過ごしてみたら、指文字ってこうやって覚えるんだっていう…

小林:指文字ってどういうの?

内田:全部50音のひらがなを、指文字っていう片手の動作で置き換えることができて。

小林:あー、つまり「あいうえお」を、一文字一文字置き換える手話があるってこと?

内田:そうですそうです。そうなんです。例えば指文字を覚えるだけで、簡単な言葉だったらそれで表せますよね。

小林:うんうんうん。

内田:例えば、その表した動作の後に、顔の横で1本指を振って首をかしげると、「これ何ですか?」っていう意味になるので。

小林:あ、質問になるの?クエスチョンマークだ。

内田:そうですそうです。で、この手話を教えてもらうことができるんだよって言われて、なんかそういう広がりみたいなのがあったので、クライミングも楽しかったし、食事とかも全然問題なかったし、会話もそういうものをいろいろ駆使することで何とかなったので、楽しかったなぁと、すごく良かったなぁと思う経験がありました。だから、その時はずっとノートに書けるわけじゃなかったので、指文字を使ったり、ノートが使える時はノートに書いたりっていう、すごく臨機応変なコミュニケーションが必要でした。はい。

小林:え、あのさぁ、今、ウッチー3人で行ったって言ったでしょ?

内田:はい。

小林:ウッチー、車運転できないんでしょ?

内田:できないです、私、後ろで寝てました。

小林:ということは、聴覚障害の人のどっちか一人が運転していて、どっちか一人が助手席に乗っていたんでしょ、その二人は。

内田:そうですそうです。

水谷:すいません、小林さんもうちょっとマイクに近づいて…はい。あのー、私、水谷がマイクの音量を調節をしてたりするんですけど、今日はですね、小林さんと内田のマイクの音量を調節するばかりで、今のところ一度も松之木さんの音量調節はしてないです。ちなみに。

小林:すいませーん。あ、こんなもんですか?こんなもんですか?皆さんどうでしょうか。

水谷:完璧です。

小林:はい。もう一度言うとですね。ウッチーは聴覚障害の方二人と千葉の印西にクライミングに行きました。ウッチーは車が運転できないので、後ろの席で寝てたって言ったけど、前の席で聴覚障害の方1人が運転をしていて、もう1人の人が助手席に座っていました。その車は自動運転じゃないのに、二人はどうやって会話をしていたの?

内田:片手で手話してましたよ。あとは、運転しているサケちゃんっていう人は、喋れるんですよ。だから多分…口読んでたのかな?分からないけど。私に対してはサケちゃんは喋ってくれるから、私は分かるんですよ。

小林:はいはい。

内田:で、原さんっていう助手席の人と運転席の二人は信号とかで止まるたびに手話で話してました。

小林:あ、信号で止まる度に話してるんだ。

内田:そうですね、ちょっとこう、手を離して喋ってましたね。

小林:あー、なるほどね。

内田:で、あとは、その運転席の人が言ったことをボードに書いて私に見せてくれて「今こう言ったんだよー」みたいな。私はそれに書いて返したりとかを、ずっとしてました。寝るまで。

小林:なるほど。寝るまでね。寝てからは知らないわけ。

内田:寝るまで(笑)。寝てからは多分二人で手話で喋ってたんだと思います。

小林:なんかね。想像がつかないわけ。聴覚障害の人が多分車を運転するっていうことを知らない人も多いと思う。

内田:私も知らなかったです。

水谷:特に小林さんは運転したくてしょうがないんですよね。

小林:俺は28で初めて眼の病気がわかって、31の時に運転免許を返してるんだけども、厳密に言うと、更新ができなかったな。

内田:あー。

小林:車運転するの大好きだったから。車が好きだったけどデコラティブな車乗ってたわけでもなく、ヤンキーみたいなってしてたわけでもなくて、車に乗ってどっか行くのが大好き。彼女と喧嘩して首都高ぐるぐる回って帰ってくるのが好きだったりとか。

内田:すげーな。

小林:そういうなんか、車という空間が好きだったんだよね。だから、なんか、車っていうものに対しての思いがすごいあるから、聴覚障害の皆さんがそうやって車運転できるって聞くと、ちょっとドキッとしちゃう部分があるな。

内田:でもやっぱりカーナビの声とか聞こえなかったりして、ちょっと危険を察知するのが普通の人よりは大変なのかなと、乗ってて思いましたけど。

小林:うん。そうだよね。

内田:松之木さんって、免許持ってるんですか?

松之木:私も運転しますよ。

小林:する!

松之木:東京に越してきてからは、駐車場高いんで車やめちゃいましたけど、前は地方に住んでたときは運転してました。

小林:うーん。どこに住んでたんですか。

松之木:住んでたのはですね、神奈川県の相模原というところですね。

小林:ほぼ、東京。

松之木:結婚してから9年間、相模原でした。

小林:へぇー。

松之木:今は東京の杉並ですね。

内田:いいところだ。

小林:相模原と杉並は、障害者にとって暮らす環境は違いますか?何か近いから同じような感じかな、と思っちゃうんだけど。

松之木:うーん。相模原をド田舎というつもりはないんですけど、やっぱり都心部に比べると物理的な、例えば駅に文字情報が充実しているかどうかとか、電車の中に電光掲示があるかどうかとかっていうのは、やっぱり都心の方が過ごしやすいでよね。

小林:うーん。

内田:電車って大変ですか?

水谷:ちょっと、電車くらいは、手話、さっきの指文字覚えたっていう話を(笑)

松之木:何を言っているかを気にしなくてはいけないので、ドアの上の電光掲示ってのは本当にありがたいです。

小林:あー、なるほどね。

内田:今朝も何か不安だったって、さっき書いてましたよね。

小林:うん?電車がちゃんと動いてるかどうか?

松之木:今朝たまたま原宿駅だったかなぁ、渋谷に来る途中の駅で駅員さんが電車に半分片足突っ込んで、中をキョロキョロ見ながらどっかと無線で話しているというのが私の目の前であったんですよ。で、「これどうなっちゃうの?すぐ発車するの?」というのが分かんなくて。遅刻したら困るなというのがすごい不安でしたね。

小林:あー。

松之木:やっぱ突発的なその場の状況が全く分かんないんで。そういう不便さっていうのはありますね。

小林:確かにね。

松之木:その点が見えない方はちゃんと聞こえるんで、うらやましいです。

小林:確かにね。でも逆に僕らは「何々が理由で電車が止まります。お急ぎの方は何番線から何番線の電車に乗り換えてください」って言われても。

内田:お急ぎなのに。

小林:降りたことのない駅で乗り換えること自体が難しかったりとか、情報をいかすことができない視覚障害者がいたりとか。情報がとれない聴覚障害、情報をいかすことができない視覚障害。

松之木、水谷:あー。そうですね。

小林:それぞれ問題を抱えている感じだと思うんでよねぇ。うーん。

松之木:私なんかは耳聴こえなくても周りのお客さんが、だぁーって降りていけば、あー、この電車動かないんだなってのが分かりますから、まだ自分で何でもできるっていう点では、便利かもしれないですねぇ。

小林:だから、考えてみると、耳が聞こえねぇのと目が見えねぇのと、どっちが不便だって比較すること自体になんかもう限界があるような気がしていて。同じ情報があってもいかせる障害者も、いかせない障害者もいるように。逆に、いわゆる耳も聴こえている、目も見えているのに、何もできない人もいたりするように、最後は人に返ってきているような気がするんだけどなぁ。

松之木:その立場をいかせるかどうかですね。

小林:うーん。

内田:確かに。

小林:なんか僕らは今のモンキーマジックの活動の中で、聴覚障害の皆さんと出会ったりすることで、これまでなかなか気づくことのできなかった世界のことを知り、気づくことができたのが本当に自分たちの活動の広がりを持てていることが大きな価値だなって感じているので、最後に向かっては、松之木さんやウッチーが感じている、例えば、年齢・世代や、性別や障害やそんな自分たちとは違う人たちと交流する中で自分たちが得られているものってなんだろうか?それってどうしたらもっと社会で広げていけるかな、みたいなことを話ができたらいいかな、と思うんですがどうですか。興味ありますか?

内田:ちょっと待ってね。えーっと、うん…。

小林:今、一生懸命書いてくれてます。なんか、松之木さんが普通にしゃべってくれるから、ついつい普通にわーっとしゃべってしまうんですよ。

水谷:わかる。

小林:ね。

水谷:そしてその間に私は次の曲の準備をしてますね。

小林:はいはいはい。

水谷:じゃあ内田に紹介してもらいましょうかね。

内田:はい、ではですね。モンキーマジックの、私たちの団体名でもある"MONKEY MAGIC" という曲をお聞きいただきたいと思います。

水谷:MONKEY MAJIKで"MONKEY MAGIC"をお聞きいただきました。NPO法人モンキーマジックのこの会にも早くMONKEY MAJIK をゲストにお呼びしたいですね、小林さん。

小林:いや、もう時間の問題なんじゃないかと勝手に思ってるんだけど。なんかこの曲流してしまったら、来ない訳にいかないんじゃない?あちらの皆さん、勝手に我々を意識しまくってるんじゃないかって思い込んでるのは俺だけ?

いつか会いたいなーと。

水谷:ぜひぜひよろしくお願いいたします、と。

小林:MONKEY MAJIKで"MONKEY MAGIC"でした。

水谷:先ほど、どこで止まりましたっけ、ウッチー?

内田:これから先ですね、こういういろんな視覚障害だけじゃなくて、いろんな個性を持った方々と関わるようになってきた中で、こういう活動の中でどういうことが得られているのかなとか、あるいは社会にもっとこういうことを広げていくためにはどうすればいいのかな、どうやって発信していけばいいのかなんていうことを話そうとしたところで終わったのかなーと思います。

水谷:じゃあこれで質問になってますかね。

小林:うん。

内田:難しいですよね。

水谷:どうでしょう?

松之木:多様な人と交流する中で、なんちゃら、ですよね。

内田:そうですね。

松之木 :うーん..障害者でも外国人でもなんでもそうですけど、実際に付き合ってみないと、わかんないことってありますよね。付き合う前は思い込みの壁みたいのがあるんだけど、実際に会って話したり遊んだりすると、「何だ、みんな普通の人じゃん」みたいのがわかるんで、その楽しさ、喜びっていうのを周りの人にも伝えたいなっていうのはすごくありますね。それで私もモンキーマジックを応援して、友達に言ったりTシャツを買ったり、いろいろしてます。

内田:ありがとうございます。

小林:周りの人に、私たちNPO法人モンキーマジックの活動がいいとか、僕らのイベントが面白いっていうふうに松之木さんが伝えるときに、どういうところがいいとか、どういうところが面白いっていうふうに言って伝えるんですか?何かその辺のポイントが、とても興味があるんですけど。"

松之木:あぁ、なるほどですねー。私はあんまり、目が見えない人と付き合うと楽しいぜ、みたいのは前面に出さないんですよ。

小林:うん。

松之木:クライミングに興味がある人とか見えない人がどうやって登ってるのかってことに興味がある人とにかく来て、みたいなスタンスで宣伝はしていて、あまりこう、押しつけがましくならないようにしてますね。

小林:そういうアピールに対して、どんな人が、特に興味を持って、実際に参加しようと思ってるみたいですか?逆に、興味持たない人ってどんな人だと思いますか? …今、モンキーマジックの水谷が一生懸命タイピングしてくれてます…。

松之木:興味持たない人は、やっぱりクライミングするのが前提なんで、僕は体重が重いからとか、私は力がないからー、とかって言う人はまず興味持たないですよね。

小林:うん。確かに、大前提としてですね。

松之木:バリアフリー関係とかユニバーサルデザイン関係の人っていうのが、とっつきやすいみたいですね。

内田:うん。

小林:あーなるほどね。ウッチーに聞きたいんだけど、自分がさっき友達とか職場の方はわからないけれども、同世代の仲間たちをできればこういう場所にもっと連れて来たいって言ってたけど、そのときは、今の松之木さんの質問と同じだけど、モンキーの活動のどんなところが面白いとか、イベントのどんなところがいいっていうところをアピールするの?

内田:そうですね。興味を持つ人と持たない人にすごく差があると思うんですけど、全然違う世代の方の意見を聞けるとか話せるとかっていうことだけで、まず若者っていうか私たちみたいな世代からするとすごく得がたいのかなというふうに思っています。

あとはそういうふうにいろんな個性を持つ方がいるっていうことで、単純にテレビとか新聞とかの中だけだった世界のことがすごく身近に感じられるとか、私たちの世代は大学に入るときにちょうど震災を経験している子がすごく多かったりして震災被災地っていうものがすごく遠かった人も、ボランティアに行ったことで身近に感じられたみたいな人がすごく多いわけじゃないですか。それと同じだと思うんですよね。障害っていうのが、例えば身近に人にいないとか、さっき言ったように親戚の中に居ないとかっていうことで遠く感じているのであれば、友達になってしまえば。"

小林:うん。

内田:例えば視覚障害の方が車に撥ねられたってニュース聞くだけでも胸が痛むわけですし、なんか何でもかんでも自分事に考えられるようになるわけですよね。だから、身近なものにしていこうよっていうようなアプローチだったり、全然知らない世界を知ろうよ、みたいなアプローチで好きな人は来てくれますね。そういうことにすごく興味があるとかっていう人は来てくれます。でも、やっぱり尻込みしちゃう人が多いかな。

小林:あー、やっぱり。

内田:単純に人見知りだとか、年上の人しかいないところには行きにくいっていう方がすごく多いのかなと。私は結構兄弟が年上だったりとか、そういうことで抵抗感は少なかったんですけど、ある人はやっぱり結構抵抗があるのかなというふうに思いますね。

小林:知らない場所に出て行くっていうこと自体に抵抗感がある。

内田:そうですねちょっと、やっぱり不安というか。

小林:なるほどね。そういうところが、こういう僕らがやってる活動やイベントに来る人がなかなか増えない一つの要因になっちゃってる。

内田:ですかね。さっき聴覚障害の方も、「書いて」ってまず言わないと書いてもらえない、って言っていたように、うちのイベントでも、例えば視覚障害の方は飲み会の時に食事の内容がよくわからない。でも誰かが最初にお皿によそったものを食べてしまった後は、何も食べられないのかっていうと、「今何があって、俺は何を食べていいの?」って聞けば、私たちもごめんごめんって言ってよそうし、そしたら好きなものを食べれるわけじゃないですか。若者も、「ちょっと仲間に入れてくださいよ」みたいな一言とか、ちょっとこう、図々しさみたいなものを身に着けていければいいのかなと思うんだけど、一発目からそれをできる人はやっぱり少ないから、ちょっとずつサポートしていくというか。

若いっていうのもちょっとした障害みたいなもので、みんなも、「この人たちも言いたいけど言えないんだ」っていうふうに思って、「今何したいの?一人?一緒に登ろうよ」みたいな声がけとかをしてくれれば、若い人ももっと来たくなるのかなと思います。

水谷:そうですね。それはでも、あれですね、内田が若いうちに若者を呼び込まなきゃいけないっていう、内田のプレッシャーや責任がちょっと増えるような。

小林:我々の仕事ではない感じがしますね。ウッチー頼むよ。

内田:そんな。

小林:松之木さん。松之木さんに聞きたいんですけども。

松之木:はい。

小林:障害の当事者である我々は、私たち自身が外に対して困っていることを上手に発信できていなかったりとか、待ち受け体制になってしまったりしていることがあって、結果、社会から理解してもらえてないこともあるんじゃないかなと思う時があるんだけど、これって、良くするためにどんなことしていったらいいと思います?ちょっと長かった。今パチパチ頑張ってタイピングしてくれている。

水谷:いやー話す速度速いっしょ。

小林:ごめんごめん。言葉ってすごいね。音ってホントすごいな。

水谷:相当タイプ速くなりましたよ、今日で。

松之木:よくするためには…。私、難聴の初心者の人によく言うのが、聞こえないことを隠したら損するよと。聞こえないんで書いてとか、聞こえないんでもう1回言ってとか、耳が遠いこと、聞こえてないことをどんどんアピールしないと、聞こえてるフリをしちゃうと損だよ、ということをいつも言ってます。

小林:うんうん。

松之木:自分がそういう心境になったのも、周りの聞こえない先輩たちのおかげなんで、その恩返しみたいなつもりで、そういうことをアピールしたり、広めたりする活動みたいなのは普段やってますね。

内田:松之木さん、ジムで登る時も背中に「聞こえません」と書いたりしてますね。ちょっと勇気がいりそう。若い女性とかだったら特に。

水谷:でも本当に、誘われたから何となくモンキーマジック来たっていうような子とかが、松之木さんみたいなキャラクターからコミュニケーションを取ってもらえると、逆に一気にモンキーマジック に関わりやすくなるというか、溶け込みやすくなるっていうのはすごいあるなって思いますね。

小林:うんうん。僕らのイベントやクライミングの場に限らずに、やっぱり障害を持ってる我々の側が、どういう立居振る舞いをしていくのかっていうことが、障害を持ってる人たちの理解に繋がるのかなっていうのはすごくあるから。さっき、松之木さん難聴初心者って言ってた?

水谷:言ってました。

小林:難聴初心者っていい言葉だね。

内田:難聴上級者もあるんですね。松之木さんは上級者?

小林:認定試験とかもあったらいいのにね。上級者認定試験。

内田:若者は人間初心者なんですかね。

小林:あぁ、そうね。前そんな話したねぇ。うん。

水谷:19歳の内田に聞かせてやりたいですね。

小林:うん。

内田:こら、やめろ。

小林:EPOで昔そんな歌あった。なんかだから、障害者っていうものの価値観がね、どこにあるのかっていうのはすごくあると思うんだけれども、さっき引っ込み思案になって自分から声をかけられることを待ってしまう若者っていう話が出たけれども、例えば耳の聞こえない人、目の見えない人、もしかしたら車いすに乗ってる人とかそういう分かりやすい人たちも、周りから助けてもらうこととか声をかけてもらうことを待ち続けている姿勢があるのかなって思うと、それを一つの障害者として括れるんだとしたら、自分で待つのではなくて自分から声をかけられるような人になっていけば、それは障害者ではない、また別の人になっていけているような気がするんだよね。

だから、それができるようになれば、耳が聞こえなくても、目が見えなくても、うまく脚が動かなくても、若者でも、みんながもっと社会に溶け込んでいくことができるんじゃないのかなと思う。

松之木:はいはい。一歩踏み出すと、きっとそのコミュニケーションの障害がなくなる。

小林:そうそう。だから、枠をどこに捉えるかっていうのはすごくあるかなと思うんだけれども、変えていくための考え方は、まさに自分の中でのそういう見えない壁だと思っていて、そういうのを超えていく行動がないとやっぱり周りは理解してくださいと言っても理解しないだろうから。

小林:ウッチーだったら若者、俺は目が見えない視覚障害、松之木さんは耳の聞こえない聴覚障害、そんなみんなが自分から行動してくっていうことを姿勢として見せてくっていう行動が、社会をちょっとずつ変えていくことにつながるような気がするよね。

内田:そうですね。

水谷:いやーなんと、まだ話尽きないところではありますが、もう締めになりますので次回またちょっと来て頂きましょう。何かのゲストにっていうことで。まだまだ伝えたい事も足りないので。

小林:松之木さん、最後一言だけどうですか?

松之木:今日はこのような機会をいただいてありがとうございます。聞こえない、聞こえなくなったからこそ呼んで頂けたんで、ラッキーだったなって思います。(笑)これからもよろしくお願いします。"

水谷:ありがとうございます。では渋谷のラジオ渋谷社会部、ほんとになかなか閉まらないですけど、ここで一旦閉めましょう。

小林:はい。9月は私パリで、世界選手権クライミング、戦って参りますので、皆さん応援してください。よろしくお願いしまーす。頑張りまーす。"

水谷:今日はありがとうございました。

内田:ありがとうございました。

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テキストライター/小泉知美さん、杉浦愛美さん、八阪啓介さん、山本正樹さん

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