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自分の役割はちゃんとこなす、そして、他の人が頑張ったときは「ありがとう」と一言伝える。感情の共有ができれば、異業種のメンバーともうまくやっていける。

ゲスト/二階堂光洋さん(電機メーカー勤務・プロボノワーカー)

聞き手/北場 彰さん(製薬会社勤務・プロボノワーカー)

放送日/2016年4月19日(火)8:00~8:55

―― 今日は本当にすごくいい天気で、スタジオから見える外の景色もすごく明るく、春から初夏にかけて、という日差しを感じさせるような爽やかな朝です。

今日朝8時からの「渋谷プロボノ部」には、お二人の方々へお越しいただいています。今日お越しいただいているのは、いつも聞き手となっていただいている、プロボノワーカーの北場彰(きたば あきら)さん。それからゲストでお越しいただいているのは二階堂光洋(にかいどう みつひろ)さんです。早速ですが、二階堂さん、簡単に自己紹介をしていただいてよろしいでしょうか。

(二階堂)おはようございます、二階堂と申します。

サービスグラントには2012年に初めて登録を行いまして、そこから1年1回のペースでプロジェクトに参加しております。今度、5つ目の新しいプロジェクトに参加しようとしております。少しでも参考となっていただけるようなお話をしていければと思いますのでお願いいたします

―― 二階堂さんが、どんな会社にお勤めで、どんなお仕事されていらっしゃるか、簡単に教えていただけないでしょうか?

(二階堂)電機メーカーで働いておりまして、仕事は入社以来、いわゆるスタッフ業務と管理系の業務がメインです。事業部における重要なプロジェクトの進捗管理とか、進捗状況を報告書に整理して上の方に報告していくとか。サービスグラントのプロジェクトで言うと、どっちかと言うと、プロマネ系とかそっちの方を業務ではやっているといったような状況かと思います。

―― 管理系のお仕事ということですね。電機メーカーですか、大きな会社でいろんなプロジェクト、例えば、どういうプロジェクトがあるんですかね?

(二階堂)例えば、研究開発ですと、会社の中で大きな研究開発のプロジェクトが起きた際に、それの進捗管理をしていくとか。どうしても現場の方たちって、一生懸命、業務推進されるんですけど、それを上の人にどうやってうまく報告していこうとか、あとは本当に遅れている場合にその状況をいち早くキャッチして、上の人に応援をお願いするとか、そういったのって第三者の人がやったほうがいい場合もありますので、そういった管理系の業務と考えていただければいいのかなと思います。

―― そういういろいろなプロジェクトが進んでいくところを側面的にあるいはバックアップする仕事をやっていらっしゃるということですね。いわゆる営業マンの方だと、会社の外にどんどん出ていってお客さんと会うというのが仕事のイメージなんですけど、二階堂さんの仕事は普段どういう人と一緒にやる仕事なんですか?

(二階堂)会社の中で、特に所属している事業部の中に完全に人間関係は閉じていますね。事業部の外との接点は少しあるかなってくらいで、会社の外との接点はほとんどないと言っていいと思います。

―― 一方で、自事業部の中の方とは密なコミュニケーションといいますか、日々ご一緒にプロジェクトを進めるということで関わっていらっしゃるんだと思うんですけれども、今おっしゃられたように、あまりその社外の方と接点があるというわけではない、そういうお仕事でらっしゃると。

普段会社にいらっしゃると会社にいる方、二階堂さんに限らず、そういう仕事の仕方をしている方もたくさんいらっしゃると思うんですよね。おそらく二階堂さんのいらっしゃる会社でもそういう管理部門の方というのも、相当な規模でいらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。

そういうあまりその会社の外に出ない仕事をやってらっしゃる二階堂さんが、どうしてプロボノに興味持つようになったのか、そのきっかけ、始めようと思った動機を、まずお聞きしてよろしいでしょうか。

(二階堂)きっかけは大きく2つあるんですけど、一つ目がやっぱり先ほどお話した通り、普段が管理系の業務で、人間関係が完全に会社の中に閉じていますので、自分の世の中における存在意義とか価値っていうのがだんだん分からなくなってくるんですよね、ずっとそういった業務をしていると。それはそれで会社のために大事な業務だと思うんですけど、「自分が会社から一歩離れたら、自分の存在意義とか価値って何なんだろう?」っていうのが何年か働いた後にずっとそれを感じていて。そういったのを何か解決したいなっていうのが一つありました。

2つ目がそういった思いが大きくなったころにちょうど、2011年3月の大きな震災がありまして、私の実家もそちらの方でしたので、そのときに、純粋に、ボランティアっていうものに興味を持って、自分の存在意義とか価値を確かめたいっていうのと、ボランティア活動っていう大きな二つのものがあって、それがうまくプロボノっていう形であるとき結びついたというのが背景としてあります。

―― 二階堂さんは、ボランティアはもともとやっていらっしゃったわけではないということになりますか?

(二階堂)はい。

―― このプロボノの参加というのが初めてのボランティアということになるということなんですね。

いま、2つの理由というかきっかけをおっしゃっていただいたわけですが、二階堂さんが実際プロボノに関わられたのは大体いつごろなんでしょうか? 東日本大震災の話がありましたが、震災後だと思うんですが、すぐプロボノを始められたんですか? きっかけというか動機を持ってから実際に動き始めるまでの流れといいますか、そのへんを教えてください。

(二階堂)2011年3月に震災があって、ちょうどそこから、ボランティア関係の本を読み始めるようになったんですけど、ちょうど5月ぐらいに、嵯峨さんが書かれたプロボノの本に出会いました。

―― それ、出たばっかりですよね。本当にたまたまだったんですけど、2011年の4月に本が出たんですね。

(二階堂)あの本を読んでいてネットで探したら、ちょうどその本の出版の講演会をされるということで、それに参加して、サービスグラントっていう団体を知って、「面白そうだな」って思ったんです。ただ、2011年にちょうど会社の中で異動があって、業務が大変だったので、1年ぐらい間があって、2012年の秋ごろに、一度サービスグラントさんの説明会に行って聞いて、そこからスキル登録と言ったような流れなので、ちょうど1年程度、間は空いていました。

―― そうですか。そういうのも非常に嬉しいですよね。2011年の4月、5月に、たまたまこのプロボノというのを知っていただいて、それからお忙しかったんでしばらくは参加できなかったけど、1年半ぐらいたってやっと、ふと思い出して、いざ関わってみようというふうな形で関わっていただけたということですね。そうしますと2012年の秋ぐらいから実際に二階堂さんのプロボノの活動が始まるわけですけれども、具体的にどのようなNPOさんに関わられて、どのような支援といいますか、活動されたのか、このへんを詳しくお聞かせいただけないでしょうか。

(二階堂)12年の秋から、1年1回のペースで参加していまして、最初に関わったのが、視覚障害者の方を対象に、パソコンの扱い方を教えているようなNPOさんで、そこで業務フロー改善というプロジェクトに関わっていました。ここのNPO さんの課題としては、理事長の方が非常に1人で頑張っていて、ただ1人で頑張っているがために、他の人たちにどんな業務をやってるかというのがあまり共有がうまくいっていない状況だったので、その方のやってる業務を全部洗い出して、マニュアルにして成果として収めた、といったような活動を一つ目にやりました。

―― 往々にしてですね、NPOはまず組織規模が小さいということと、代表の方が立ち上げから日々の運営から、もうすべてのことを担っていると言うケースが多いですね。今、話があったように、視覚障害者の方にパソコンを教えるというこの団体さんも、同じように代表の方―この方も視覚障害をお持ちなんですけれども、非常にエネルギッシュな方で精力的に活動されていらっしゃるんですけれども、その方が余りにエネルギッシュで周りの人がついてこれないというところもあるかもしれませんし、非常にアイデアも豊富な方なので、その方の中にどんどんノウハウやアイデアが蓄積していって、それが逆に活動を続けていったり広げていくところで課題になるという状況だということだと思います。そういう団体さんに接したときに、二階堂さんは、この団体さんに対して、どう自分が貢献できると、どのへんがこれまでの仕事の経験やスキルを生かせるところだなというふうに感じられましたか?

(二階堂)そうですね、自分がやっている業務を何らかの形でマニュアルとかに落として、というのは、会社の業務であれば普通にやっていることだと思うんですが、やっぱりNPOさんでそう言ったリソースもないようなところが多い状態でしたので、そこは普通に会社でやっているのをそのまま持ち込んで、ひたすらヒアリングをして、文字に落とすっていうのをやりましたね。会社の中で、いっぱいある情報から必要な情報だけ抽出して整理するっていうのは日常的にやっていましたので、そういった経験がダイレクトに活かせたのかなと思います。

―― いっぱいある情報から必要な情報を取り出して形にするという話がありましたけれども、差し支えない範囲で、例えばどういう方にどういうヒアリングをして、どんな発見をして、業務フローと先程おっしゃったんですけど、聞かれてる方の中には、「それって一体何をすること?」って、ちょっとイメージがわきにくい方もいると思うので、どんなアウトプット・成果物を出されたのか、ここを少し御紹介いただいてもよろしいでしょうか?

(二階堂)そうですね。そこのNPO さんがやっている業務の一つに、パソコンの講座を、企画して当日運営するといった、柱となってくる業務があったんですけど、その業務を理事長の方中心にやっていましたので、理事長の方にひたすらヒアリングして、その人のやっている業務を、他の方があとで同じことが再現していけるように、「いつ・誰が・何をきっかけに・どういった情報をインプットして・どういったことを考えて・情報をアウトプットする」といった項目で全部洗い出して、文字に落としていきました。視覚障害者の方も関わっておられたので、図とかフローチャートを入れられないという制約がありましたので、いかにして文字に落とすかっていうことに非常に気を配って対応した、というのが、あったかなと思います。

―― 確かにそうですね、普段の業務ですと、表とか図で表現してしまうようなことも、対象の団体さんが視覚障害の方が多いというところになりますと、文字に落とすという。これはですから普段の仕事にはないチャレンジだった、というふうに言えるでしょうか。

こういったプロジェクトを経験されたわけですが、先ほど二階堂さんは年に一件ぐらいプロボノをやってらっしゃるというふうにおっしゃいました。先にまず二階堂さんのこれまでのプロボノの経験をお伺いしましたが、次はどんなプロジェクトに関わられたのですか?

(二階堂)2つ目が小学生を対象としたフリースクールでして、小学校って、多くの方が近所の公立の小学校に入れると思うんですけど、そこの小学校がすごい独特の活動をしていまして、普通の小学校の教育では満足していないようなご両親のお子さんを対象に受け入れています。ほんとに、普通の3階建ての家で学校をやっているようなフリースクールです。多くの小学生を受け入れたいというような思いがありまして、校舎を引っ越したいと。校舎を引っ越すには、お金とか不動産とか、いろんなものが必要になってくるので、そういったことに共感してくれる企業の方にお金を出していただけるような、営業用のコンテンツを考えて欲しい、といったようなプロジェクトが2つ目でした。

―― フリースクールというと、いわゆる不登校の子どもが行くような学校をちょっとイメージするんですけど、二階堂さんが関わられたところはそういう学校でしたか?

(二階堂)違いましたね。私もフリースクールというとそういったイメージがあったんですけど、そこは不登校の方が対象というよりは、本当に自分の子どもに一番良い教育を受けさせてあげたい、といったような両親のお子さんを対象としたようなところです。たぶん日本でもほとんど例がないような学校じゃないかなと思いました。

―― これは、東京コミュニティスクールというところなんですが、このプロジェクトに関わられて、ここでは二階堂さんは、先ほどの業務フローとはちょっと違った関わり方という感じに聞こえたんですけど、どんなことをされたんですか?

(二階堂)ここは、企業に対してお金とかを出してくださいっていう営業資料の作成でしたので、企業の人がどういった条件ならお金を出すかという、企業のCSR担当者の方にヒアリングして、どういった条件があればお金を引き出しやすいか、とか、あとは、そもそも東京コミュニティスクールのやっていることがどういう意義があって、どういった特徴があるか、というのを、これもやっぱりスクールの関係者の先生とか、生徒とか親御さんにヒアリングして、特徴を整理してうまく営業用のコンテンツとして整理する、というのをやりました。

―― 今のことをお伺いすると、冒頭で二階堂さんは特に営業をやっていらっしゃるわけではないっていうことだったんですが、このプロジェクトでは、企業等に向けて東京コミュ二ティースクールというところがどういう価値があって、そこに対して資金的な支援を訴えかけるというような内容で、ふだんの業務とは、だいぶ雰囲気の違うものになるんじゃないかなというふうに思ったんですが、そうなるとふだんの仕事のスキルがなかなか活かせないんじゃないか?というふうに思う方もいると思うんですけども、自分が役に立てないな、なんていうふうに思うことはなかったですか。

(二階堂)最初は正直、「営業」っていうキーワードがあったので、大丈夫かなと思ったんですけれども、活動を進めてみると、要はそのスクールのやっている一番いいところを探してそれを文字に落としてアピールする、といったような活動に落とし込めたので、そうすると、私が普段やっているような、自分の事業部がやっている活動を把握していいところを選んで、報告書をまとめて上の人に上手くアピールするといった業務と同じアナロジーで考えることができたので、そこも割と自分が普段やっている業務もダイレクトに活かせる形になったかなと思いました。

―― 分野というか業務職種が違いますけど、かえって違う職種の今の仕事との共通性を見出されたというふうにいえるのかなと思いました。

その後さらに続くんですよね、二階堂さんのプロボノ経験は。

(二階堂)三つ目が、日本国際ワークキャンプセンターといったところで、ここは大学生を中心に、主に海外でボランティア活動をやっていきたいといった人たちを対象に、いろんな国とか地域のボランティアを紹介して、現地で活動するといったNPO さんでしたね。

立ち上げからずっと実績があるんですが、最近ですと、旅行会社なんかでも同様な活動をやっていて、どうやって差異化を図っていくか、といった事業計画とか、マーケティング調査が必要でしたので、そこのプロジェクトに参加しました。

―― このNICE:日本国際ワークキャンプセンターさん、実は今日このあと5時から、渋谷のラジオにお越しいただくんですけれども、海外で2、3週間が多いですかね、もっと長いのもあると思いますが、若者たちが現地に滞在しながら現地でボランティアをするという、これをワークキャンプというふうに呼んでいるんですけれども、そういった活動が、昔はこういう団体さんしかなかったのが、確かに最近は企業がある意味参入してきたと言いますか、そういう状況の中で、この団体さんの持ち味がどこにあるのか、またそこに学生さんたちにもっと参加してもらうためにはどうすればいいのかと。

NPOのマーケティングをしていかないといけないという、このプロジェクトに関われたということですね。さらに続くんですよね。

(二階堂)はい。4つ目に参加したのが、「楽の会 リーラ」という、引きこもりの方の支援をしている団体でしたね。ここも活動実績がいろいろあるんですが、今後の団体としての方向性を考えなくちゃいけないタイミングでしたので、マーケティングの調査を行いました。

―― このように今聞いていると、まず最初に視覚障害者の団体さん、それから小学生に向けた新しい教育の団体、それから大学生の海外のいろんなチャレンジ、そしてひきこもりの人たちに対するサポート。

本当にいろんな分野の団体さんにこれまで関わってこられました。もっとこれからもいろんなことに関わっていきたいという意欲をお持ちなのかもしれませんが、これまでを振り返って、まず全体感としてですね、プロボノに関わられたことによって、二階堂さんはどうお感じになってらっしゃるのでしょうか?多様な人たちと接するというご経験に対して、二階堂さんはどういう印象というか感想をお持ちでいらっしゃるんですか?

(二階堂)一言で言うと、もう面白くて楽しいの一言に尽きるんですよ。普段はどうしても会社の中だけに活動が閉じていますので、プロボノワーカーも本当にいろんな業種の方たちと交流ができますし、NPO も今まで4つお手伝いさせていただきましたけど、やっぱり1つとして同じような団体はありませんし、それぞれいい活動をされていて、いろんな想いを持った方たちが活動されているんで、そういった志というか、想いに触れるっていうだけでも楽しいですし、面白くて楽しいの一言ですね(笑)。

(北場)二階堂さん、ひとつ聞いていいですか。一番最初にプロボノを始められた理由として2つ挙げられて、一つはボランティア、もう1個は自分のスキル・価値を感じたいというところがあったと思うんですけど、この4つのプロジェクトをされて、どれぐらいでそれを満たせたかというか、「自分のスキルは通用するんだ」「自分の価値はこんなところにあるんだ」っていうところが分かった瞬間というのを少し教えてもらってよろしいですか?

(二階堂)そうですね。一つ目はやっぱり初めてということもあって、自分はいけるって言ったのがそこまで分からなかったんですけど、2つ目の東京コミュニティスクールさんのほうが、今振り返ってもけっこう難易度の高いプロジェクトで、そこをやり遂げたときに、自分の意義とか価値ってこういうところにあるのかなっていうのが少し見えたかなと思います。

(北場)なるほど。もう少し詳しく教えてもらってよろしいですか?

(二階堂)2つ目のところで、いろんな情報の中から本当に必要なものだけピックアップして相手にアピールできる形に落とすといったスキルを、会社の中では普通にやっているようなことだったんですけど、プロジェクトにそれを応用したときに、ダイレクトに活かせてNPO さんからも非常に喜ばれて、成果も上がった、といったところが、他のメンバーからもそういうふうなコメントをいただけたのが1番自分の自信というか、気づきになったのかなと思います。

(北場)ありがとうございます。ちょっとの質問の仕方を変えますと、やはりこれだけの4つの本当にいろんな団体さんのサポートをされているわけで、その中で、おそらく相手の期待値とか相手が求めるニーズって、全然高さとかレベルとかが違ったりするかと思うんですけど、そのあたりをどういうふうに理解されていますか?

(二階堂)そうですね、NPO さんとADさんの関係かなと思っているんですけど、最初にプロジェクトを始めるときに、NPOさんとADさん、アカウントディレクターですね。

―― アカウントディレクターというのは、プロジェクト、プロボノに関わるチームの一番のリーダーといいますか、プロジェクト自体をコーディネートするような役割をするプロボノワーカーのことです。

(二階堂)最初にNPO さんとアカウントディレクターさんがプロジェクト・スコープを設定すると思うんですけど、そこである程度決まるのかなと思っています。

ただ、やっぱりプロジェクトをやっているとどんどんそれがお互い上がってきますので、そこをどうやって抑えるかというのは、アカウンディレクターの個性とか考え方にすごい依存をしているような気がしています。

(北場)スコープというのは、その仕事の両者のやることの範囲を最初に決めるというところですね。二階堂さん、先ほどちょっとお話があった、自分のスキルが相手に通用できた瞬間が分かった、というところがあったんですけど、反対に、4つのプロジェクトを通じて、二階堂さんが得られたスキルであったり、得られた、ほかの形でもいいんですけども、そういうものがあったら教えていただきたいです。

(二階堂)そうですね、いろんな業種の方が初めて会ってチームを組みますので、チームの中で自分の立ち位置を探すというのは、新たなスキルとして見つけたような気がします。会社の中って、やっぱり同じようなバックグラウンドの知識を持っている人が集まるので、なんとなくプロジェクトの最初から、自分の役割てこうかなっていうのがわかるんですけど、これだけいろんな人が集まって、プロジェクトが始まった時って、自分の立ち位置が、ガンガン言っていいのか、抑えるのかっていうのが分からないんですね。それが結構いつも大変なんですけど、でもそういったのを、プロジェクトが始まって少ししてくると、「こういうメンバーが集まっているから、自分はこれまでの経験を活かして、こういった立場で頑張ろう」っていうのが、プロジェクトを経れば経るほど早く分かるようになってきているかなと思います

―― 二階堂さんって、一見非常におとなしいというか、どちらかというと控え目な感じの人に見えるんですけど、実際プロボノに関われるときは、今言われたようにガンガンいくのか、割と大人しくされるのか、どういうふうな御自分の中のモードというか、テンションで関わられているんですか?

(二階堂)初めは大人しめにいきます(笑)。イメージ通りに行きます(笑)。イメージ通りに行くんですけど、やっぱりどこかの段階で、もっと頑張んなきゃって思う時がくるので。「ここでマーケッターだからと言って頑張らないと、プロジェクトが上手くいかないな」と思ったら、ガーンと行く、そんなタイプですかね。

(北場)確かに私も一つ二階堂さんと一緒にプロジェクトに取り組みましたけれども、本当にもう、全体を高いところから俯瞰して見ていただいて、自分のやらなきゃいけないこと、相手にやってほしいことをうまく気づかせてあげるようなアプローチをされていたなってイメージがありました。

おそらくそれは仕事でプロジェクトマネジャー全体のまとめ役をされているスキルがうまく転用されて、またプロボノでのそのマーケッターと言う、一般的なヒアリングであったり調査をすべて分析をしたりというところが上手く相乗作用といいますか、うまくいいところが見出せたかなっていう感じがしていました。

二階堂さん、そんな感じですかね?両方の仕事の上手く転用できるところはプロボノに転用して、プロボノで上手くできたところを会社に転用できているような、そんなイメージですか?

(二階堂)そうですね、プロボノで得たもの会社に転用できるかっていうと、ちょっとまだこれからの課題かなとは思うんですけど、会社で得たものをプロボノに転用しているっていうのはそのとおりだと思います。

(北場)先ほどありました、その4つのプロジェクトで、当然相手のニーズとかレベル感で変わってくるんですけども、ちょっとこれ難しいなという、先ほどあった東京コミュニティスクールの話のように、何かこうチームで、「こういうふうに足りないからこういうふうにしよう」という新たな対応であったりやり方であったり、そういうものを試されたという理解でよろしいですか。

(二階堂)そうですね、あの時はアカウントディレクターの方が先頭に立ってメンバーを鼓舞して、なんとかうまくいったという状況でした。

(北場)お話によると、一回提案したものが却下されたという事例もあったという話ですけど、却下までいかずに「ちょっと修正してくださいね」という形でこちらに返されたりするケースはあるんですけど、ストレートに却下っていうのはあまりないような記憶があるんですけども、そのときに思われた感情であったり、あとどういうふうにしようというのが、何か立て直し策というのがあったんでしょうか。

(二階堂)最初の1回目の提案までは本当に、自分たちのやれる範囲でやろうといった雰囲気でやっていたんですけど、ある程度提案としてまとまったときに、NPO さんに提案したら、修正というよりは却下と私は受け取ったんです。やっぱりNPO さんって本当に真剣に、自分たちのことを小学生のためにこうしたいっていったの考えていて、我々チームの意識が全然それについていってなかったんです。そのギャップをすごい指摘していただいたのかなと思っています。そこからもう1回頑張ってねって言われた時に、アカウントディレクターの方とプロジェクトマネジャーの方が陣頭に立って、2週間という割と短い間だったんですけど、そこで今までやってきたことをもう1回洗いざらい整理して、足りない部分は分担して情報を集めました。正直あの2週間はプロボノと業務の比率が完全にひっくり返ったな、という時期だったんですけど(笑)、何とかやったという感じです。

(北場)当然その分、苦労された分、終わった後の達成感は大きかったと言う感じでしょうかね。

(二階堂)はい。

―― そういうときに却下ってされると、すごい凹んだりとか、「何でここまでこんな応援してあげているのにこんな却下なんかされなきゃいけないんだ」という、反発に近いような気持ちであるとか、ネガティブにいきそうな感じがするんですけれども、そのときどういう感情が芽生えてきたのか、このへんを教えていただけないでしょうか。

(二階堂)その瞬間はちょっとへこみましたね、やっぱりね。やれる範囲でやっていたというのもあったかもしれないですけど、それなりの提案をまとめて持っていったので、それが却下っていうのは結構ショックといえばショックでした。でも、プロジェクトが始まってちょっとした頃に、小学校のイベントがあって、クリスマス会の学芸会のようなイベントだったんですけど、それに行ったときに、コミュニティスクールの生徒さんとか保護者さんにお会いして、本当に、普通の小学校で見ることのできないような自由闊達な雰囲気で学芸会をやっていて、それを見たときになにか、「この学校を応援したいな」と思ったんですよね。そういった意識の原点にもう一度戻って頑張ったっていうのだとか、ADとか、プロマネの方が「頑張んなきゃだめよ」って、ずーっと鼓舞してくれていたので、何とか頑張れたのかなっていうのがあります。

―― ちょっと意地悪な質問かもしれませんけど、最初にその現場を見に行った時は、「ああ、いいな!」というふうに思って突き動かされるものがあったと。ただそこから先、実際にちょっと提案ですとかプロボノに入っていくとですね、これ、普段の仕事の癖が出て、「ほどほどのところで落ち着けようか」みたいなふうになっていたところで、却下という形でピシャッと団体さんから言われたと。こういうふうな展開をしたと言う理解でよろしいでしょうか?

(二階堂)はい。

―― あっ、そうなんですか。それはでもちょっと、いらっとするところもあるでしょうし、目が覚めるというところもあるでしょう。その状況を前向きに受けとめて、却下された後に、プロボノ時間と業務時間が逆転するほど、プロボノをたくさんやるようになったということで、どこでそれが気持ちをポジティブに反転させられたのかという所ですね、これ結構カギなんじゃないかなと思ってるんですけれども、何がそこまで二階堂さんを前向きにさせたのでしょうか?

(二階堂)そうですね、私は基本ネガティブな人間なんですね(笑)。なので、かなり落ち込んで、どうしようかなって、2~3日立ち直れなかったというのが正直あったんですけども(笑)。

―― やっぱりそうだったんですか。

(二階堂)でも、人に流されやすいというか、チームメンバーの他の人がすごいポジティブで、「自分がこんな情報をとってきます!」とか、そう言って率先的に自分より10も若い人間が動いていたり、あとは上のADとかの人も、「あんたたち頑張るのよ!」って鼓舞してくれて、そういった周りの人たちのポジティブなのに感化された、というほうが正しいですね。

私が自分でなんか気持ちを切り換えたというよりは、周りの人から感化していただいたというのが正しいような気がします。そういう意味ではメンバーにすごい恵まれたなと思います。

(北場)なるほどですね。なかなか相手がそうであってもそういうふうに感じられない人であったり、そういうシチュエーションであったりすると思うんですけど、恐らくそのへんは純粋に団体をサポートして助けたいという気持ちがすごく二階堂さんの中に大きいので、恐らくそういう動機付けになったのかなというふうに僕は思ってます。

モチベーションの話をすると、これは年1回やっていますと、本当に簡単におっしゃったんですけども、実際4年前から「順番に1年ずつやっていこう」というふうには考えられてなかったと思うんですね。実際一つ終わって、「休もうかな」と思われるのか、また新たにやられるというところはまた違うモチベーションが出てきているのか、それが1番最初と2回目は全然違うものなのかみたいなことを、恐らくこういうところって二階堂さんしか話せないと思いますので、教えていただいていいですか。

(二階堂)1年に1回のペースでやっているので、やっぱり1回のプロジェクトにそれなりに頑張るので、終わった瞬間って、休もうと思うんですよね(笑)。でも半年ぐらい過ぎて他の人がプロジェクトを楽しそうにやっているのを見るとすごい羨ましくて、やってみようと思ってまたやってみて、半年頑張って、やっぱりいいわと思って半年休んで、っていうのを繰り返して、というのが正直なところですかね。

心境の変化としては、ずっと会社の業務が管理系なので、やっぱりこういった他の経験を得られるところだとか、一歩引いたマーケッターとして全部やっていたんですけど、最近はマーケッターとしての経験を活かして、ちょっとプロマネとかADとかもやってみたいなって変化しているかなと思います。

(北場)ありがとうございます。確かに二階堂さんが今お言葉でおっしゃったとおり、今までは4つのプロジェクト全てマーケッターという、いわゆるヒアリングであったり分析をしたりする役割で入っていただいていて、今度は、先ほど、ADというお話がありましたが、言ったら団体とチームとの窓口といいますか、全体のプロジェクトのコーディネーションをされる仕事なんですけども、今度このADをされるということで、そのチャレンジに対して、どういうふうに心が変わってそうなったかとか、あと実は、ADをやるにはこういうところが不安なんだよ、というところがあったら教えていただきたいなというふうに思います。

(二階堂)始めてやったころに比べると、サービスグラントの説明会に来ている人とかイベントで会う人も、4年前とかに比べて、年齢層が下がっているような印象があって、そういった人たちにマーケッターはやっていただいて、私は4回もやっていると結構いろんな人から「そんなにやってるんだ!」って言われるので、そうやって「マーケッターです」と言うと結構恥ずかしくなってきたので(笑)。プロマネ系をやったほうがいいのかなって思ったのがひとつと、あとはADとしての不安はやっぱり、先ほど少し話したんですが、たぶん自分の性格からいって、NPOさんから「これやってよ」って言われたら、「はい、わかりました」って言っちゃうと思うんですけど、そうすると自分が迂闊に言ったひと言でチームの負荷がすごい変わるので、そこの調整を自分の中でうまくとれるかなっていうのが一つ不安ではあります。

(北場)そこを新たなチャレンジといいますか、一つスキルが得られる部分かなというふうに思いますね。実際これだけ4つのプロジェクトをマーケッターとして見てこられてやられてきて、当然そのチームにはPM・ADという方が存在していて、おそらくこういうところは真似しようじゃないですけど、こういうところを今回自分のチームになった時に活用しようとか、そういう構想であったり、お考えであったり、あると思うんですけど、教えていただいていいですか。

(二階堂)4つのプロジェクトに大体共通しているのが、3ヶ月とか半年やっていると、途中で1回はチームの危機といいますか、うまくいかないなっていう場面が必ず現れて、そのときに必ずADの方が前面に立って対応していただくんです。危機って具体的に言うと、メンバーが1人居なくなっちゃうとか、あとNPO との間にちょっと諍いが起こるとか、そういったのが必ず一度はあるんで、その時にADの方が率先して対応されていたので、そういうのは自分もちゃんとやんなきゃなと思います。そこが1番ですかね。

(北場)確かに、人がやめたり、相手といざこざっていうと、ちょっとネガティブな話になってしまいますので、一般的にはその団体の方はすごく高い志・気持ちを持たれていて、私たちも一応そのスキル・プロフェッショナリズムというのを持っていて、やっぱりそういう形で少し衝突じゃないですけども、よりいい展開に結びつくために、話し合いにちょっと熱が入るという部分があるので、おそらくそういうところが、今後二階堂さんが対処される部分なのかなというふうに思いました。

―― でも二階堂さん、これまで経験されたプロジェクトで必ず1回はそういうことが起こったっていうのが、何か生々しくて、かえって安心するなという感じがしますね(笑)。先ほど二階堂さんが、プロボノで得たものと会社で得ているものとがどういうふうに行き来しているか、という時に、会社で得たスキルはプロボノで活かしているんじゃないか、という話がありました。で、プロボノで活かした経験は会社で活かせてるかな?というふうな話もあったんですけれども、例えばこれは推測なんですけれども、先ほど二階堂さんは「私はもともとネガティブな人間なんです」っていうふうにおっしゃったんですけど、会社の仕事でもネガティブな時ってあると思うんですけど、それを何か最近は前とちょっと違った乗り越え方をしているなって感じることとかですね、つまりスキルとは違ったところでも、何かプロボノとの関わりが仕事の中で活かされていると感じることはありますか?

(二階堂)……ものの考え方という意味では、そうですね。先ほど北場さんから少しお話ありましたが、NPOさんってホントにみんな真剣に活動されていて、組織が小さいというのもあるんですけど、ホントにいろんな困難に前向きに取り組んでおられるので、そういった姿を見ていると、「自分は会社の中のこんなことで悩んでちゃいけない!」っていうふうな思考回路を持てるようには少しなったかなとは思います。

―― 何かちょっと消極的な状況が会社の中であっても、踏みこたえるか、というふうな気持ちになったということですかね。

(二階堂)そうですね、踏みこたえるか、受け流すか…。そんな感じかもしれません。

(北場)二階堂さんの場合は、先ほどありましたけど、チームに恵まれたとおっしゃるんですけれども、結構二階堂さんの方からそのチームづくりに貢献されていたようなイメージがあります。当然、毎回異業種の方が集まって、言ったらはじめての方が集まって、6ヶ月お願いします、っていうふうにプロジェクトが進むわけなんですけども、そういう「チーム作り」に自分が気をつけていることとか、そういうコツとかがあったら、おそらく今からやられる方が非常に参考になると思うんです。教えていただいてよろしいですか。

(二階堂)そうですね、2つ気をつけていることがあって、一つ目は、当たり前のことかもしれないんですけど、自分の与えられた役割はちゃんとこなすということです。たまに、「自分の与えられたことはあんまりやらないけど、人のやったことには口を出す」って人がいらっしゃると、けっこう雰囲気が悪くなってくるんです。そういうことが絶対起きないように、自分の与えられたことはちゃんと対応すると。2つ目として、その上で他の人が頑張ったことについてはちゃんと「ありがとう」とひと言言うということです。

会社だとなかなか忙しいっていうのもあって、他の人が頑張っても「ありがとう」って言わない部分もあるかなと思うんですけど、チームの中で、特に新しい方とチームを組んだ時って、やっぱりそういったちょっとしたコミュニケーション―私は「感情の共有」って言ってるんですけど―、情報共有だけでなくて、「ありがとう」とか「助かった」とかっていう感情の共有も一緒に行うと良いのかなっていうのが二つ目かなと思います。

―― 今の2つは、なんか金言集で語っておきたいような話ですね。もう一度聞いちゃいますけど、二階堂さんは、プロボノを経験する中で、会社でもありがとうってよく言うようになったとか、そういうことってないんですか?「なんか、二階堂さん最近よくありがとうって言うね」なんて周りの人に言われたりしないですか?それか、会社では割と、今までどおり、スッとしているというか…?

(二階堂)そうですね、…頑張ります(笑)。

―― (笑)。けっこう今の話って、ホントにプロボノの活動って、もちろんNPOを支援するということもそうなんですけれども、非常に大きな話をすると、日本人の働き方というか、我々の普段の仕事自体も、もっとクリエイティブに、あるいはいろんな人たちと、なんていうんでしょうかね、情報の共有だけじゃなくて感情の共有もできるような働き方ができていけば、仕事って絶対面白くなると思うんですよね。そういう普段でのビジネスセクターではなかなか経験できないような働き方を、NPO セクターと共に関わることによって、気付くなり発見していただき、それをぜひビジネスセクターに還流させるというか、そういうことも本当に、このプロボノの活動をやっている裏目的としてはあるなと思っていまして、ぜひぜひ二階堂さん、まず職場で、会う人に「ありがとう」って言うところとかも一つあるかもしれませんね。

(北場)感情の共有のところで先ほど本当に、二階堂さんすごくコミュニケーションがお上手だなと僕も思っていまして。チーム間の情報共有というのは結構やっぱりFace-to-Faceでできればいいんですけど、なかなかそういう機会がなくて、結構メール中心になっちゃうんですね。

そのときに、感情をどういうふうに入れるか、というのは本当にすごく難しい部分があって、ちょっとストレートにやってしまうと相手を傷つけてしまう。また、相手が、読むタイミングですごく落ち込んでいる時にそれを読むのか、顔色を分からずに読むのかっていうところで非常に危険な部分があるので、非常にそういうところは二階堂さんがすごく気にされてやられたら、当然団体さんもそうなんですけど、団体さんも直接会う機会というなかなかありませんので、そういうメールとかでうまく感情というところを表現されてコミュニケーションしていただけたら、というふうには僕は思ってます。

―― 今みたいな、例えば自分のことはちゃんときちんと対応するとか、他の人がやったことに対してありがとうを言おうとか、これって御自身で考えたことなんですか?それとも、何か人がやっていることを見て、御自分で始めたことなのか、あるいは何か本を読んでそういうことにちょっと気づかれたことなのか。何かそういうことってあまり明示的に教えられているということではないと思うんですけれども。

(二階堂)普段の会社の業務でやっぱりその2つが大事で、実践できているかどうかは別として大事だな、というのが思っていました。その2つって、特にバックグラウンドの異なる人とチームを組んだ時に特に重要になってくるな、という意識はあったので、それをプロボノという場でうまく実践できたというか…そういう表現かもしれないです。

―― これはもうなんていうか、フワッとした話でありますけど、職場・会社で働いていると、もう「二階堂さんでこういう人」っていう個性みたいなのもある程度作られちゃっていて、急に雰囲気を変えて明るく振舞うとかも何かしづらかったりとか、周りがみんなそんな「ありがとう」とかそういうの言うのはベタベタしてるみたいな感じがして、ちょっと素直に自分の感情を表せない、という雰囲気って、けっこう日本の職場には多いんじゃないかと思うんですけれども、こういうのって本当にどうやったら変えていけるのかな?って、何となく思ったりすることがあるんです。

私の感想です(笑)。なんか固定化しちゃうじゃないですか?職場にずっといると。

(北場)やっぱり会社のカルチャーであったり、受け入れの広さであったり、いろいろおそらく会社でまた全然違って、二階堂さんも本当にすごく大きい会社に勤められていますので、なかなかそれを全部浸透させるのに、当然時間がかかるし、やり方が、ガバナンスが効いたものしかなかなか難しいというものもあったりするので、おそらく本当に、まずは二階堂さんのチーム、本当にこぢんまりしたところから波及していくようなイメージで広がっていくといいな、というふうに僕は今聞いて感じました。

―― ここまでプロボノの話をたっぷりしたので、もしよろしければ、二階堂さんの普段プライベートというか、例えばご家庭のご家族との時間とかはちゃんと両立できているのかとか、そのへんをちょっとお伺いしていいでしょうか?

(二階堂)小学5年生の娘がいるんですが、休みの日はほとんど一緒に遊んでいるような感じで、時間はちゃんと睡眠時間を削ってでも取っていると思います(笑)。

ただ、プロボノと仕事と家族って、三つきっちり分けようと思うとやっぱり大変で、なので、私の場合、プロボノで良いイベントがあったら、子供と奥さんを誘って一緒に行くとか、そういうのはなるべく心掛けていて、そういう一つのイベントでプロボノも楽しめて家族も満足できて、っていうのができますし。

あとは、うちの嫁もやっぱり、どういう人たちとお付き合いしているんだろうって不安だと思うんです(笑)。今日さすがに無理ですけど(笑)、お花見とかなんかちょっとしたイベントのときに一緒に来て、嵯峨さんとか、北場さんと会うと、「こういう人たちなんだ」って安心すると思うので、もし家族との時間との両立とかを不安視されている方がいたら、そういったプロボノの活用も考えていただけるといいのかなと思います。

―― 奥さんの反応は今聞いてよくわかりましたけれども、お子さんの反応がちょっと気になります。どうですか?

(二階堂)子どもはすごい楽しいと思います。基本的に大人しかいない場に自分子供1人いると、みんなに可愛がられるんで、結構「行きたい行きたい!」って言われます。

―― 英才教育じゃないですけど、小学校のころからそういうのを経験するって、いいと思います。

(北場)確かにこういう環境って、「じゃあ、明日からやってください」っていってできるものではないので、非常にこれも上手くコミュニケーションされた上で二階堂さんが対応されたことだと思いますので、おそらくこういうふうに成功事例があるというのは、他のプロボノワーカのー方々には、一つの良いオプションかなというふうに思います。

―― プロボノの打ち合わせにはご家族を連れて行くのもあるということですね(笑)。

ということで、この1時間、二階堂さんからたっぷり、プロボノのご経験をお伺いしました。これからもいろいろな形で参加いただければと思います。

(北場)今日は金言集もいただきました(笑)。「感情のコミュニケーション共有」。これはどこかでまた使っていきたいなというふうに思っています。

―― ありがとうございました。この時間、北場彰さんと二階堂光洋さんでした。


【総合司会】嵯峨 生馬(サービスグラント 代表理事)

【テキストライター】藤本 篤二郎さん


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