🌸しばざくらマーケット🌸Vol.16～映画『咲む』鑑賞Inさいたま市民会館おおみやにて

先日、しばざくらマーケットのフォロワーさんから熱のこもりにこもった映画のご案内メッセージを頂きました。
映画の公式HPを早速確認！！制作スタッフに農家ムスメが以前、別仕事で何度かご一緒させて頂いた方が参加されている作品だったので、これは何かのご縁だなぁと感じて、映画『咲む』を観て来ました。

※以後、ネタバレがありますのでご注意ください。

◎あらすじ

病院の電話の音が聴こえない、お医者さんの指示が聴こえない。

患者さんの声ばかりでなく、呼吸でさえも。

都会の病院で働くには手話の通訳者がいないと、医者や患者さんとのコミュニケーションが取れず、命に関わる看護師として働くのは難しい。

看護師試験に合格したろうの女性の瑞月が、就職活動で苦戦していたところにある村での診療所で働く話が舞い込んだは良いものの、聴覚障害の壁が立ちはだかり、再び採用を見送られることに。落ち込む瑞月に役場から村に住みながら過疎化した村の人たちと関わる仕事を任されることになる。

村人たちがそれぞれに抱える問題を『聴覚障害だからできないではなく、聴覚障害だからこそできる』笑顔が明るい瑞月なりのやり方で、次第に村人と心を交わしてゆく物語。

◎ここから『咲む』を観て、農家ムスメが感じたこと考えたことを主に4つほどあげたいと思います↓

①過疎の村で障害者が生きること

この映画ではさまざまな障害を抱えた人たちが、村内のコミュニティで懸命に生きている姿が描かれています。農家ムスメは、母から「昔は障害を抱えた人たちは村で差別を受けて、村人の目には触れないように家の外には出れず、隠されるような生活していたんだよ」と話を聞いたことがありました。今は昔よりそういう扱いを受けないようになったかもしれませんが、そういった偏見が色濃く残っていたりする地域も未だにあるのではないでしょうか。この映画では表面的には描かれてはいませんが、その背景に障害を抱える方々が過疎の村で生活を送ることは肉体的にも精神的にも過酷であることが想像出来ました。

②音のきこえない世界

瑞月が企画した村の人たちとの初めての交流会。移住者の家族と役場の男性職員が楽しそうに話が盛り上がっている場面で瑞月はその会話に入れずに、劇中の全ての音がミュートされ無音状態になる。その場で一緒に喜びを分かち合えずに落ち込んでしまう瑞月の世界。見えている日常の風景がこんなにも違うんですね。彼女の『感覚』や『孤独』にほんの少しではありますが、触れた瞬間でした。

③聴覚障害の子どもを持つこと、またその子ども

瑞月の両親もまた聴覚障害を抱えている両親で、瑞月はそのふたりの子どもです。瑞月の父親は昔、瑞月がおなかの中にいたときに「堕ろしなさい」と自分の母親に言われ、それ以来母親を恨んで音信不通に。母親は『聴覚障害の息子にまた聴覚障害の子どもが生まれたら』と、自分自身の聴覚障害の子どもを抱えた親の苦悩や、聴覚障害者の息子夫婦が子どもを育てるという「育児困難」を心配する上で発した言葉であったり。障害者が『家庭を持つこと』が一体どういうことなのか。親の死後、一体誰が障害を抱えた子をサポートしてくれるのだろうか。障害者の子育ての孤立化などの問題と直面する場面でした。

④人として『助け合うこと』

瑞月が村で出会った骨が折れやすい障害｢骨形成不全症｣の女性。卵農家を営む両親のもと、外に出ず家の中で大切に育てられてきたが、物語の終盤で車椅子から身を乗り出して懸命に両親の仕事作業を手伝おうとする。やっと掴んだひとつの卵を地面に落として割ってしまい、両親は簡単な作業すら出来ない娘を止めようとするが、『助けられたから、私も誰かを助けたいの』聴覚障害と共に生きる瑞月が懸命に自分を助けてくれる姿に影響を受けて「自分も変わりたい」「外の世界で自分も誰かを助けたい」と思えたこと。誰かを助けて、その喜びが自分への喜びにつながること。『助け合うこと』が連鎖になって、生きる力を与えてくれることが伝わってきました。

◎映画を見終わってからの手話

農家ムスメにとって聴覚障害は経験したことのない世界です。会場内でも手話での会話が多く、そのコミュニティの中に入れないのがもどかしかったのですが、手話の『拍手』の両手を挙げてひらひらする動作が、まるで会場内を蝶がひらひら飛んでいるみたいでとってもキレイだったり。他にも何か些細なことでもすぐ手話で『ありがとう』を言ってくれたり。映画を観終わってすぐ手話でコミュニケーションを取ることは出来ないけれど、まずはじめの一歩として『拍手』と『ありがとう』の手話を覚えて、おうちに帰った農家ムスメでありました。

※映画のご案内メッセージをくださったフォロワーさんから頂いたバレンタインチョコ。農家ムスメがよくモンチッチ好きだとおわかりで（笑）しばざくらマーケットのフォロワーさん流石です！！