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私設の公民館〜喫茶ランドリー〜

皆さんは公民館って行きますか?
私自身、小学生の頃はたま~に行ったりはしていましたが、今ではほとんど行かなくなってしまいました。
公民館って本来は年代問わずパブリックに開かれた場所のはずなんですが、従来の公民館は明確な目的がないためあまり多くの人に親しまれていない気がします。
それならば、私設の公民館をつくってしまおうと、ランドリー付きコミュニティ施設「喫茶ランドリー」をつくった事例を紹介します。

「喫茶ランドリー」は東京都墨田区にオープンした施設です。その名の通り、喫茶スペースにランドリーの付いた日本ではあまりないユニークな施設です。
「喫茶ランドリー」が立地するのは、かつて倉庫や町工場が立ち並んでいた街です。近年は徐々にマンションに建て替わり、人口は増えているはずなのに人通りが少ないといった課題がありました。
そういった状況の中、築60年超の工場だったビルオーナーから店主の田中元子さんへリノベーションできないか相談がきました。

リノベーションのビフォーアフター

この施設のモデルとなったのは、店主がコペンハーゲンで出会ったランドリーカフェです。そのお店では若い夫婦が洗濯しながら赤ちゃんをあやしていたり、おじさんがぼうっと過ごしていたりと、さまざまな客層がそれぞれ好きに過ごす場所でした。
この施設をヒントに、誰もが自由に何かをする場所を考案しました。

店内はレトロな雰囲気の喫茶スペースに加え、洗濯機・乾燥機、ミシンやアイロン、裁縫箱が置かれた「まちの家事室」があります。
近くのマンションに暮らすママさんたち、デート中の若いカップル、PCを開いて仕事をする方など、様々なひとが思い思いに過ごしている場所となっています。

喫茶スペース
まちの家事室

レンタルスペースも兼ねており、「まちの家事室」やカフェスペースなどの個室レンタルやお店全体をレンタルすることが可能です。
まちの家事室を借りてママさんたちがミシンのワークショップを開いたり、カフェスペースを借りて近くの企業が勉強会を開いたりと、様々なできごとが喫茶ランドリーで起こっています。

今では、様々なひとが訪れている喫茶ランドリーですが、オープン当初は全く来店者がいなかったようです。
当初は、毎日店先でコーヒーを振る舞い、店のPRをしていました。ある日、地元の主婦の方たちがコーヒーを片手に家事室で談笑を始め、徐々に人が増えていき"井戸端会議”状態になりました。この出来事をきっかけに人通りが少ないエリアで、徐々に人と人が出会い、様々なできごとが起きるようになりました。

様々なできごとが起きている喫茶ランドリーですが、店主も予想できないことがたくさん起きているようです。
特にユニークなのが、洗剤メーカーが主催するイベントで、洗濯機に扮したVチューバーと総勢60人のファンが洗濯のコツについて直接会話するというものです。
店主としてはなぜここで?という疑問が出ましたが、開催してみると参加者みんなが喜んでくれて、なかには喫茶ランドリーのリピーターも誕生したようです。
コンセプトとやや違うなと感じても、とりあえず受け入れてみるってことが大事なのかもしれません。

イベントの様子

店主の田中元子氏さんは、街づくりコンサルティング会社「株式会社グランドレベル」の代表です。
「1階づくりはまちづくり」という理念の元、建物の1階(グランドレベル)を街に開いたつくりのプロジェクトを実践しています。
その理念が活かされた喫茶ランドリーは、高く評価されており、いくつかの店舗で「理念のフランチャイズ」とし、理念に共感したお店が全国に展開しています。

街に開いた施設の公民館「喫茶ランドリー」はいかがでしたか?
人通りの少ないエリアが、施設ができたことをきっかけににぎわいができた素敵な事例ですよね。
公的につくった公民館にはできない、私設ならではの出来事が良く起きています。
こういった事例をきっかけに、もっと街に開かれた施設が増えていくと楽しそうです。
お近くに寄った際は、私設の公民館がどういうものなのか体験してみてください!

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