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命、在るものになりたくて(連載小説)

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小説「命、在るものになりたくて」(全22話)をまとめたマガジンです。
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#ホラー

(22)そこにはいない

 私は、教師だった。  生徒に物を言い、導き、教える立場だった。  今とは違う生きかたをし…

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柴田彼女
3か月前

(21)ゆるされたい

 私の診察が始まる。案の定話の切り出しは医師からで、 「他の患者さんとちょっと仲よくしす…

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柴田彼女
3か月前
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(20)嘘について

 中に入ると、看護師がいつかのように私を廊下の隅に追いやる。 「前も言ったけど、他の患者…

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柴田彼女
3か月前
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(19)あの頃わたしは確かにそこにいた

 犬塚さんとまた会ったのは、秋になってすぐだった。診察時間を昼手前に戻し、案の定何時間も…

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柴田彼女
3か月前

(17)スイートスポット

 スーパーマーケットの、値下げコーナーでスイートスポットまみれのバナナを買った。ほとんど…

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柴田彼女
3か月前
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(16)何者

 そこから更に一時間半、やっと自分の番がやってきた。担当医は四十代ほどの男で、患者の話を…

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柴田彼女
3か月前

(15)枠の中だけ

 再び涼やかなクリニック内に戻る。順番はまだまだ先だ。鞄から本を取り出して読もうとして、そこで一人の看護師が近づいてくる。 「名城さん。ちょっといいですか?」 「はい」  看護師に誘導され、薄暗い通路の端に立たされる。 「さっき、外でお弁当召し上がってたわよね?」 「はい。駄目でしたか?」 「ううん。お弁当はいいよ。むしろお弁当食べなきゃならないくらい待たせて申し訳ないね。悪いんだけど、どうしても混雑してしまうから時間通りに診察してあげられなくて」 「いえ、余裕をもってきてい

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(14)おいしそうだね

 十二時になっても当たり前のように自分の番はこなかった。私は受付の女性に一言断って、病院…

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柴田彼女
4か月前

(13)すなおメンタルクリニック

 朝、着替え、カーテンを開け、顔を洗い、朝食を摂り、化粧をし、髪を整え、それから弁当を作…

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柴田彼女
4か月前
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(12)記憶が支配する

 あしたは病院で、診察時間は十一時半から。どうせ二時間は遅れるから、お弁当を持っていかな…

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柴田彼女
4か月前

(10)薄暗い中の祈り

 リュックサックを定位置に片づけ、時計を見るともう十二時を過ぎていた。昼食は何にしよう、…

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柴田彼女
4か月前

(9)帰宅

 家に着いたころにはもうくたくたで、玄関では突っかけていたサンダルを揃える元気もなかった…

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柴田彼女
4か月前

(8)水の音

 肌によい成分でできた日焼け止めを分厚く塗って、薄手の白いカーディガンを着て、つばの広い…

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柴田彼女
4か月前

(7)丁寧な暮らし―4

 洗濯物を干す。ピンチに靴下やタオルを挟み、ハンガーにトップスを裾から通す。服が伸びたり傷んだりしないよう、最新の注意を払っている。一つ一つ、綺麗に皺を伸ばす。ベランダに干す。弱く風が吹いて、Tシャツが揺れる。  壊れた、と自覚した自分を直す術を、私は暮らしに求めている。仕事と恋愛のために乱暴に扱ってきた私生活を、とにかく丁寧に、丁重に扱うこと。いわゆる、丁寧な暮らし、とやらを行うこと。市販品で済みそうな食べ物を自分で作り、地球や社会に優しい商品を選び、自分を傷つけない程度

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