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それもあなただ(小説まとめ)

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自作の小説をまとめたマガジンです。
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#短編小説

なんか生きてたってみんな言うんです(小説)

 その夜は妙に客入りが悪かった。  隣町で祭りがあるからそれなりの売り上げを見込んでわざ…

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柴田彼女
1か月前
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おいしい隣人(小説)

 その、本当に言い出しにくいんだけどさ、最近極端に痩せてきている気がするんだけど……だい…

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柴田彼女
1か月前
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完璧な恋人(小説)

小説  マッチングアプリで知り合った、と他人に告げることに、なんとなく抵抗があるのは私が…

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柴田彼女
2か月前
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みんな私の邪魔をしている(小説)

 周りの人たちは因習だとか時代遅れだとか犯罪だとかいろいろ言っていたけれど、私は別にそれ…

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柴田彼女
2か月前
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そしてまた一年後(小説)

 暗闇の中もがいている。  頭の先を引っ張られるような、掴まれるような感覚があって、次の…

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柴田彼女
3か月前
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魔法少女は卒業できない(小説)

 チッチは、 「ああ、君こそ魔法少女に相応しい。その秘められた力で、世界を救うんだ」  私…

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柴田彼女
3か月前
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偽物の朱夏(小説)

 教室の隅で、ずれた眼鏡を直しながら一人きりで人間関係に重きを置くライトノベルを読んでいる。  そういう、孤独な学生時代を過ごした人にばかり好かれてしまう。答えは簡単だ。私が、彼らに人気の作家の、人気作のヒロインに、どこか似ているから。彼らは私の中にヒロインの面影をみて、現実世界にも彼女がいたのだ、とひどく馬鹿げた妄想をしてしまう。  大人しくて、でも堂々としていて、常に淡々としていて、ひどく暗い過去があって、年より少し幼く見える外見。派手さこそなくとも、よく見ればそれなり

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そこにあるもの(小説)

 カロリーメイト、インゼリー、エナジードリンク、時々、カップ麺。  昼時の綿野くんの食事…

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柴田彼女
5か月前
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I don't know(小説)

 妹は死産だった。  それがひどく悲しいことであることは、八歳の私にも充分に理解できてい…

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柴田彼女
7か月前
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ラブレター(小説)

 あ、この女、俺だけの恋人じゃなかったんだ。  よりにもよって、俺の憧れのバンドマンと、…

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柴田彼女
8か月前

せっしゃかわん(小説)

 わたしの田舎って、もう、ほんとうに、本物の田舎で。レンタルビデオ屋もないし、ゲームセン…

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柴田彼女
8か月前

清らかな水(小説)

 どうにも心を壊せないんだよ。  そう言ってへらへらと笑った彼の心がいまだ壊れていないだ…

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柴田彼女
2年前
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カーテン

 真白な室内へ陽光が真っ直ぐに差し込んでいる。看護師が濡れタオルで俺の顔を拭う。夏の熱気…

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柴田彼女
3年前

清潔な素肌

 汗をかいたあとの麻衣子は甘ったるい匂いがする。  若い女特有の、花のような、ミルクのような、そのうえでどこか粉っぽく、円く芳しい香りが誰よりも強く放たれるのだ。  半袖の運動着を脱ぎ、キャミソール姿になった麻衣子がフェイスタオルで谷間の汗を拭う。背が低く、痩せぎすの身体についた麻衣子の小さな胸は、このクラスで一番幼い雰囲気を漂わせている。きっと麻衣子の薄い肌にはこの水色のレースのブラジャーよりも、コットンのスポーツブラのほうが似合うはずだ。 「雨の日の体育って蒸すからマジ苦

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