「セミ」について

みなさんも経験あると思うんですけど、歩いてたら道端にセミがいて、他の人が通ってる時は、なにも起きないのに、自分が通ろうとした時だけミンミンミンミンミーーーーンってなるみたいな。

僕は、これセミ爆弾って呼んでるんですけど。
セミ爆弾に毎年、ビビらされてるんです。ビクッてなるから。

あれが怖くて。

セミの横通るときは、いつも息止めてるんです。
ドロボーみたいに横通ってる。

こっちは、なにも悪いことしてないのに。
なんでドロボーだよって思いながら。

たまに、ひっくり返ってるやついるじゃないですか。

こいつは死んでるんだろうなって思って、油断して横通ると、
ミンミンミンミンミーーーーーンって。

で、今度、めちゃくちゃ警戒して、音もたてずに静かに、
忍びみたいに横通った時に限って、何も起きない。

なんだよって思ってたら、横を自転車がスー―って通って。
死んでたんかいって。違う意味で驚かされて。

とりあえず、手は合わせたけども。

あと、もっとひどいのが、関取みたいにこっち見てるやついません?
「お前、絶対こっち来るじゃん」ってやつ。

「はっけよーい」の状態ね。のこる前。
あとは、のこるだけって状態のやつ。

「ふざけんなよ。お前。絶対こっち来るじゃん。おねがいやめて。俺は、通りたいだけなんだよ。お前には何もしないから。そこで、止まっててくれ。横を通りたいだけだから。動かないで。頼む。」

「ずっと、目見てるな。お前、目を合わせてくるなよ。強者感を出してくるなよ。言っとくけど、人間だからな。気をつけろよ、お前。本気だしたら、いっちゃうからな。」

「なんか笑ってる?二ヤついてるよな?
…俺の言ってることが分かるのか?多分、バカにしてるよね?
だったら、話が早いよ。お前が言葉が分かるなら。そこから、動かないでくれ。止まっててくれ。勝手に横通るから。」

「…分かってんだよね?もう行くよ?遅刻しちゃうよ。」

「俺はさ、こんなところでアブラ売ってる暇はないんだよ。
アブラゼミってそういうことか?…違うかっ!!」


「ハハハ!! …俺しか笑ってないぞ。ふざけんなよ、こいつ。もう通る。いくぞ。」

「…怖いな。なんだよこいつ。なんかわざとやってるよね?おい。聞こえてんだろ?おい!!」

(セミ)「ミンミンミンミーーーーーーン」

「うわーーー」


ですよ。
結局、ビビらされる。

あと、グラビアアイドルみたいなやつもいません?
マーメイドスタイルで座ってるセミ。

「なんだよ。どういう感情なんだよ。
澄ました顔で俺を見るなよ」

「本気だしたらマジでいっちゃうからな。おい、お前。」

「顔やめろ!! その目、やめろや!!」

「なんだよ。死んだふりか? 死んだふりって、お前、クマが来たんじゃないんだから。クマゼミってそういうことか?…違うかっ!!」

「ハハハ!! …笑えよ!!」

「俺が言ってること分かるんだろ? 気を遣えや!!」

「なめてんね。俺のこと。見下してるな。
もう、俺、横通りたいだけだから。」

「こんなことしてたら、日が暮れちまうよ。
ヒグラシってそういうことか? 違うかっ!!」

「ハハハ!!」

「…さっき言ったよね?」

「話聞いてたか? 俺を見下すなよ」

(セミ)「ミンミンミンミンミーーーーン」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


今年の夏は、このセミが動くか動かないかのギャンブルに勝ちたいもんです。




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