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宅録のススメ(歌)

「宅録」という言葉は、もはやDTMをしない人にも周知されるようになりましたが、この宅録(歌)をしたいけれどやった事がないという方に、なぜなのか聞いてみると、多くの方はこう考えているようです。

そこそこのものにしかならないのでは、、

けれど、実際にやってみると、昨今のDAWソフトの進化の恩恵もあり、ある程度はノイズも除去できたり、搭載されているエフェクト(ゲート・EQ・コンプ)の使い方などを覚える事でも、かなりのクオリティまで持ち上げられたりします。

また、ハードウェア的にも2020年現在では、とても高機能で安価なパソコンやインターフェイスにマイクやケーブル。はたまたDAWソフトに至っては無料のものでも十分使えるものがいくつも登場しているので、初期投資と言う意味でも、一昔前と比べれば格段に有利であると言えます。

もちろん、レコーディングスタジオで録音したものと比べれば、当然差はありますが、それでも録音する時のマイクのセッティングや、部屋の環境作り次第では、プロが作った音源にかなり肉薄する事もできますし、実際にミックスされた音源を聞いてみると、とても宅録だとは思えないものも、ネットで多く聞く事が出来るようになりました。

と言う事で、今回はそんな「宅録やってみたかったんだけど、、」という方に全面的に向けた内容になっておりますので、是非お付き合い下さい。

必要機材

まずは宅録(歌)に必要な機材に関してですが、必須なのは以下の通り

①パソコン
②DAWソフト
③オーディオインターフェイス
④マイク(出来ればコンデンサー)
⑤ポップガード

①②③に関しては、解説動画もありますので、是非そちらをご覧頂くとして
「DTM」DTM用パソコンの選び方・前編
「DTM」もう迷わない!DAWソフトの選び方(2020年版)
「DTM」オーディオインターフェイスの選び方

今回は特に自宅の録音環境の作り方を含めた
④(マイク)⑤(ポップガード)の解説を行っていきたいと思います。

④マイク(出来ればコンデンサー)

種類に関しては、めちゃくちゃ簡単に説明しておきますが
マイクは大きく分けて2種類
以下の様な分類が出来るかと思います。

ダイナミック型「ライブ向き」
いわゆる「ごっぱち」と呼ばれる、SHURE社のSM58に代表される、ライブなどで手持ちで多く用いられるタイプ。集音能力が限定的なのでハウリングが起こり易いライブ環境ではとても有利だが、レコーディングでボーカルに使われる事は少ない。
定番モデル SHURE SM58(amazon)
格安モデル CLASSIC PRO CM5(amazon)

コンデンサー型「レコーディング向き」
レコーディング映像などでよく見かける、小さな筒形・箱型形状のマイク。集音能力が非常に高く、小さなノイズなども拾ってしまうので、手持ちなどのライブ使用にはあまり向かないが、静寂環境の中ではバツグンの解像度。
定番モデル AudioTechnica AT2020(amazon)
格安モデル Behringer C-1(amazon)

もちろん、ダイナミックをレコーディングに使っていけない訳ではありませんし、その逆でコンデンサーをライブに使ってはいけない事もありません。
けれど、モノには適正というものがありまして、誤解をおそれずに言えば
宅録であれ「コンデンサー型」を選ぶに越した事はありません。

⑤ポップガード

ポップガードって見た事はあるけれど、何の為に必要なのかはあまり知られていないように思います。けれど、このポップガードを侮る事なかれ!
このアイテムが有るのと無いのとでは、歌のレコーディングにとても大きな違いが生まれてしまいます。
定番モデル 金属製ポップガード(amazon)
定番モデル 二重ネット型ポップガード(amazon)

ポップガードの必要性と効果
そもそもレコーディング時には
マイクで「声の音」だけをキレイに録りたい訳ですが
残念ながら不必要な「息の音」が混ざってしまう事があります。

具体的には、「ぱぴぷぺぽ」「はひふへほ」などの言葉を発音する際、口から小さな突風が発生するのですが、その風がマイクに当たると「バフッ」というノイズとして収録されてしまします。

このノイズの事を「ポップノイズ」と呼びますが、ポップガードを設置する事で、上記のくちから発生する小さな突風を遮断する事ができ、結果としてポップノイズを抑制する事が出来る訳です。

と言う事で、ここまでで④マイクと⑤ポップガードに関してを、大雑把に説明しましたが、ここからはより具体的な宅録環境の作り方を解説したいと思います。

良い宅録環境とは

まず宅録環境を作る前に「良い環境とはどういった環境なのか?」
言い換えれば「良くない環境とは何なのか?」
という部分を説明しておきます。

「声」を録音するにあたって、良くない環境とはつまり
「声以外の音が混ざってしまう環境」の事です。

レコーディングにおいて声以外の音は全てノイズな訳ですが、例えば
・となりの部屋の家族の声
・上の階の足音
・外を走る車の音

などが挙げられますが、さらにシビアに言えば
・エアコンの音
・冷蔵庫などの発する微弱音
・パソコンのファンの音
・蛍光灯から発せられる音

など、普段の生活では気にならない様な音も、レコーディングにおいては非常に厄介なノイズと言えるでしょう。

なので、良い宅録環境を作るには、逆に考えれば上記の声以外の要素を可能な限り排除して行けば良い訳です。
とは言え、その為だけに引越しをしたりするのも現実的ではありませんし、部屋を防音仕様にするなどは、数十万ではきかない部屋の改築を余儀なくされてしまいますので、あくまで可能な限りと思っておいて下さい。

ですが、ここまでをしっかりと理解した上で宅録に臨めば、ミックスする曲のジャンルにもよりますが、100点満点ではないにしろ、かなり良い状態のボーカルレコーディングが行えるかと思います。

ワンランク上の宅録環境

上記にプラスして、さらにもうワンランク上のクオリティを確保する為のコツもお伝えしておこうと思いますが、そのコツとはつまり

「部屋の反響を抑える」という事。

この部屋の反響とは上記したノイズなどとは違い
歌い手自身の歌が部屋の壁などに当たり、それが跳ね返って来た音の事。

この反響がまた厄介で、後からどれだけ消したいと思っても
歌と反響音はほぼ同じ周波数な事もあって、物理的な除去はほぼ不可能で
違う言い方をすれば、クオリティの低いリバーブ(部屋鳴り)を纏ってしまっている様なものです。

この反響を抑える事こそが、自宅をワンランク上の宅録環境に変身させる一番の方法とも言える訳ですが、これも具体的には
・壁に毛布を張り付ける
・歌い手の四方を布団で囲う

想像すると少し滑稽な感じもしますが、これらも実際に効果のある方法です。

また、反響を抑える便利なアイテムとして「リフレクションフィルター」というものがあり、これを使う事の方が現実的と言えるかもしれません。
リフレクションフィルター
定番モデル マランツプロ Sound Shield Compact(amazon)
箱型モデル TroyStudio アイソレーションシールド(amazon)

さらに変り種としては、歌い手自身が箱に入ってしまうというアイテムもあるので、一つの選択肢として考えてみるのも良いかもしれません。
組立式 簡易防音室 だんぼっち(amazon)

まとめ

ここまで読んで頂いた知識を元に、ご自身の許す範囲の予算で環境を整えて行けば、かなりクオリティの高い宅録環境が構築できるのではないかと思います。もちろん上記している様に、プロスタジオと同じレベルにはならないかも知れませんが、それでもやり方次第では決して負けずとも劣らないような作品作りも夢ではありません。
是非あなたなりのホームスタジオを作って、思う存分歌を録って、楽しんでみて下さい。

最後までご覧頂きありがとうございました。
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