【毎日投稿】12日目・表面的な模倣(マネごと)はおっかない
芸事などの世界には「守破離」という言葉がある。
その世界の技術の基本となるものをまずは「守り」、
基本が出来上がって一通りを修めたらそれを「破り」、
より良いものを目指して新しい試みに挑戦する。
そして基本とオリジナルを掛け合わせて新しいものを作り出せたらその流派から「離れ」、自己流の技術を確立し後世に伝えていく(自分の流派を作る)というものだ。
細かいとこ間違えてたら、まあゴメン。
一流と呼ばれる技術には、そう呼ばれるだけの理由があって歴史がある。
表面的な部分を見るだけでは感じ取れない奥行きが存在し、実践したりその世界に飛び込んで経験を重ねて、ようやく見えてくるものもある。
今はあんまり聞かれなくなったが、一時期は、
「Vtuberなんてゲームしたり歌ったり辛いもん食ってりゃ人気になれる、楽な商売よなあ」
なんて言われてた。その前はYoutuberが、
「遊んで稼げるなんて人生舐めてるよな、楽して儲けやがって」
と言われてた時期もある。
10年位前はTVのインタビューなんかでそういうことを言う人が当たり前の様にいた。
Vtuberとして頑張ってる人は丸一年前のデータで1万6千人(ユーザーローカル調べ)。今はもう2万人を軽く超えてるんじゃなかろうか。
けれど、そのほとんどが収益化ライン(チャンネル登録1000人、4000時間再生)にも苦労し、収益化しても専業で稼ぐには及ばないという苦戦を強いられている状況だ。Youtuber・ゲーム実況者などの母数はそれよりもっと多いだろう。
「ゲームしたり辛いもん食ってるだけで稼げる」物ではないという事はこの事実からも明らか。そして、それを一番よくわかってるのは他ならないVtuber・Youtuber・ストリーマーとして今現在活動している人達だろう。
「ゲーム実況で叫んでればいいんでしょ?」
「ゲテモノ食ってレビューすればいいんでしょ?」
なんて簡単なものじゃない。
ゲーム実況で言うと、Vではないけれど最終兵器俺達のキヨさんなんかがゲーム実況で絶叫するいわゆる「ゲーム絶叫」系のメジャーどころだ。
こないだ登録者400万人いったらしいよ。すご。
「キヨが人気なら自分もゲームで絶叫すれば売れる」
そういう目論見でゲーム実況者になった人が一時期たくさんいたらしい。
でも、キヨのファンはゲームで絶叫するどっかの人が見たいんじゃなくて、ゲームで絶叫するキヨが見たいわけで。
当然のごとく、ジェネリックキヨみたいな実況者はほぼ消えていったそうな。
そもそもキヨさんはニコニコ時代から10年以上もゲーム実況をやり続けたわけで、しかもニコニコ全盛期からすでにアイドル的人気を得ていた。
「ゲームで叫ぶから人気になった」わけじゃない。
下積み、時代の流れ、第一人者としてのブースト、先行者としてのブースト、アイデア、創意工夫、あと運とか才能とか。
俺にはわからないけど、多分色々な奥行きがあって今ああいうスタイルで活動してるんじゃないか。
表面的に人気者のコンテンツをなぞっても、恩恵をあずかれるのは「すぐマネした二番手グループ」とか「元のアイデアをより面白く昇華させた1→10系の人」くらいだろう。
流行り切ってからマネしても「またかよ」ってなるだけだ。
真似したけど人気が出ない、伸びない。
までならまだ「気の毒に…」で済むんだけど、生半可に有名人の真似をして炎上したり嫌われたりする人がいるから、それは気を付けた方がいいんじゃないかなあ。という、前置きが超長くなったけど今日はそういう話。
・これ、俺の感想なんすよ
ちょいと前に聞いた話。
某インフルエンサーに憧れる学生さんが急増し、大学のゼミやディベートの授業で「なんかそういうデータあるんすかぁ~?」「それあなたの感想ですよねぇ~?」とドヤ顔で言うという事象があちこちで起こったらしい。
どっかで聞いたようなフレーズを繰り出し、呆れて閉口した相手を前に喜んでいたそうな。
これは本当に難しい問題なんだけど「その人だから許されるキャラクター性」って現実、あるよね…
その言葉を生み出した人は、現在だと賛否両論あるけど「一大ムーブメントである巨大掲示板の生みの親」であったり当時「旧体制や悪しき風習みたいなものに切り込むアンチヒーロー」的な存在だったという要素がある。
そして「そういうことを言う人」として広く認知されている、という前提がある。
そうじゃない一般人がいきなり
「あなたのその意見、何も根拠ないですよね?」
「僕の質問を理解してないようなんでもう一度言いますけど」
「そういう無駄な話良いからイエスかノーかで答えてくれません?」
とか言っちゃおうもんなら(ええ、何だよコイツめんどくせ…)ってなるのは当たり前だ。
そもそも元祖である某氏ですら当時から一定数の人にそう思われていたと思うし。
某氏はかなり知恵が回る上に弁舌も達者でしかも鬼つよメンタルの持ち主だ。誰に嫌われるとか、避けられるとかそういうものを全く気にせずに生きていけるタイプの人なのだ。ここ重要。
俺を含めた大衆にそこまでの強メンタルはない。
しかも、某氏はガチで「誰に対しても」その態度でいける人だ。
嫌いな人、無関係な人にだけ「それあなたの感想ですよね?」とか言っておいて、好きな人には「うんうんわかるぅ、わかドゥ~(ハート絵文字)」みたいな態度取ってる人がツイッタランドの主にV界隈で結構見かけるんだけど、見ててマジでキツい。かぶくならかぶき通せよ。
某氏はインフルエンサーなので「キャラクターとして」人気がある部分もあると思う。俺も事実結構好きだし、言ってること全部が正しいとは思わないけど、人が言いづらい事とかをズバっと言ってくれることもあるからコンテンツとして楽しんでいる。
けど、「某氏のような友人が欲しいか」「某氏の下で働きたいか」と言われたら、断固No。
一視聴者として遠くから見ているから楽しめるのだ。
某氏の真似をしたい気持ちはわからないでもない。
でも、好きも嫌いも含めて人間関係ぜんぶブッ壊れてもいいくらいの覚悟でもないと、半端に真似るだけでは「なんか絡みづれぇ奴」「コミュ力終わってんな」と思われて終了する。
・物申す系の難しさ
「本人だから許されるキャラクター」の話をしたばかりだけど、今度は「そもそも本人でも許されてねえから」というキャラクターの話。
いわゆる「迷惑系」とかのジャンル。
思い描くシンプルなイメージとしては「メン○スコーラお願いします!」で有名なあの人かな。
「無名より悪名」とは昔の人も余計な言葉を作ってくれたもんだ。
無茶なことや犯罪スレスレ、もしくは普通に犯罪行為となるような動画を撮って炎上して知名度を上げる人が顔出しでもVでも一定数いる。
そしてそんな人たちや、人気者なのを良いことに裏でちょこちょこ悪いことしているようなインフルエンサーをネタにしているのが「物申す系」だ。
有名なところだとコレコレさん、その他にも中小の物申す系が数多存在する。ネタ元は芸能だったり政治家だったり痛いツイッタラーだったりするが、この人たちは実際ネタ元に訴えられたり通報されたりしているケースもある。
リスキーな内容で人気を博しているハイリスクハイリターン系のスタイル。
だけど、これももはや飽和状態で「ゆ○ぼんならこの人」「V関係はこの人」「ツイフェミ系だとこの人」みたいにそれぞれの椅子に第一人者が鎮座している。
後発の人達にとってはハイリスクローリターンなコンテンツだ。
過激さがウリのエンタメなので、芸能リポーターの様に誰かの腹を探って弱みを見つけ出し、徹底的に追及する。
そのラインを間違えると動画削除・凍結・訴訟・果ては刑事事件になる可能性もある。
俺も結構そうなんだけど、SNSや配信プラットフォームに長くいると、何かを物申したくなるよね。
何者かになりたくなる気持ちがモヤモヤと湧き上がるよね。
自分の言葉を拾ってほしくなるよね。
メッセージを届けたくなるよね。
言いたい事だけ言ってる状態から「何を言えばバズるか」「人の注目を引けるか」って考えになったりするよね。
色んな人に叩かれてるこの人の事を悪く言えばいいねがたくさんついたりするよね。
間違ってるのはこの人なんだから、自分は正義の側にいるよね。
名指しで多少強い言葉でののしってもいいよね。
だって、みんないいねしてくれるんだもん。見てよこのエンゲージメント。
という、数字の悪魔に取りつかれた果てに、他人の失敗でメシを食う物申す系への憧れが強まっていく。
俺もそういう風に「物申したい」願望がないわけでもないが、ビビリな性格の方が強いので、何かを言う時に「○○ってライバーが」ではなく「こういうことしてる人がいるらしいんだけど」と対象をぼかしたり言葉を濁すようにしている。
当然単語検索には引っかからないしいいねやRTも伸びていかないので承認欲求の解消はあまりできないが、ローリスクだ。個人を指して誹謗中傷したいからつぶやいてるわけでもないし。
訴えられたり開示請求されてから、
「軽い気持ちで投稿しました」
「こんな大事になるとは想像してませんでした」
「今更遅いですが本当に反省しています」
とか、もういいから。そういうのいいから。
デジタルタトゥーは消えないので、物申す系ライバーやツイッタラーを本当にやりたいんだったら「人を呪わば穴二つ」という言葉を胸に刻んでおいた方がいいと思う。
迷惑系もね。
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