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【洋画】独裁者(1940)

監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード、ジャック・オーキーなど
上映時間:2時間

チャールズ・チャップリンがヒトラーに扮する「独裁者」鑑賞しました。観るのは二回目。ただ以前はヒトラーやナチスのことを良く知っていなかったので、また見え方が変わるのではと思い、再び鑑賞しました。
チャップリンは監督兼俳優、そして一人二役演じています。

時は第一次世界大戦。母国トメニアのために出兵していた床屋の男(チャールズ・チャップリン)は、負傷していた飛行士間のシュルツ(ジャック・オーキー)を救出し、彼が持っていた重要書類を本国に届けるために飛行機を飛ばすが、燃料切れにより墜落する。二人は生き残るが、床屋の男は墜落の衝撃で戦場での記憶をすべて喪失する。そして二人は救助に来たトメニア兵士に、母国の敗戦を告げられる。

床屋が病院で過ごしているうちに、トメニアではアデノイド・ヒンケル(チャールズ・チャップリン)が独裁者として君臨し、国内のユダヤ人の迫害を始める。床屋は無事ゲットーにある自身の理髪店に戻り、隣に住むメイドのハンナ(ポーレット・ゴダード)と恋仲になる。ある日床屋はヒンケルの手下である突撃隊に暴力を振るわれているところを、偶然通りかかったシュルツに救われる。彼は現在出世して突撃隊長になっており、手下に床屋と隣人たちに手を出さないように命じる。

しかしヒンケルはユダヤ人迫害政策をさらに強化し、ゲットーは襲撃されて床屋の店も破壊され、さらにヒンケルの命に背いたシュルツも強制収容所送りにされる。

まず凄い点はこの作品が1940年に撮影されたという点。当時ヒトラーはまだバリバリ現役です。世界的に超危険人物とみなさっれていたヒトラーに向かって、ある意味ケンカを売っているような作品。チャップリンの度胸というか、アーティスト魂というか、恐るべしです。

そしてチャップリン演じるヒトラーの完成度が高いこと!!ヒトラーの演説を実際にYouTubeで見てみたのですが、めっちゃ似てます。そして超バカにしてます(笑)。
↓ヒトラー

↓チャップリン

マジで最高です(笑)。こんなんされたらヒトラーもたまったもんじゃないでしょうね~。笑いの力は権威を無効化するという最たる例じゃないでしょうか。アメリカの政治家たちがコメディアンを恐れている理由もうなずけます。

僕が個人的に大好きなシーンは床屋での場面。チャップリンがハンガリー舞曲第5番に合わせて客のひげを剃るのですが、もう圧巻です。音楽に対する動きの合わせ方が、これ以上は考えられないぐらいシンクロしていて、おもしろい。芸術的すぎます。


そして地球儀のシーンも見逃せません。世界征服を目論む独裁者の妄想を、あのような形で表現するとは。まさにアート。
そしてチャップリンの動きの細緻さも半端じゃないです。そして動きの美しさのなかにヒトラーの危なさも入り混じっています。

そして最後のスピーチはチャップリンの平和を願う思いがヒシヒシと感じられます。映画のラストを約6分間も動きのないスピーチに使うのは異例のことで、営業担当からは「売り上げが100万減るからやめてくれ」と言われたそうですが、チャップリンは「500万減ってもやる」と言い返したそうです。カッコよすぎ。

あとポーレット・ゴダードめっちゃ美しい!特にラストシーンの目の綺麗さ。ちなみに当時からチャップリンと付き合っていたそうです。

「独裁者」はチャップリンが当時のヒトラーの様子を皮肉たっぷりに描いた作品。笑いと芸術と社会的メッセージが融合された、素晴らしい作品です。

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