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【洋画】チャイナタウン(1974)

監督:ロマン・ポランスキー
出演:ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストンなど
上映時間:2時間10分

1974年公開とかなり古い映画です。以前にも観たことがあるのですが、当時はまだ映画をやっと観始めた頃で、ジャック・ニコルソンの存在すら知らず、ストーリーも正直なところ「難解」という印象でした。

今回改めて鑑賞したのですが、いやめっちゃおもしろい!!脚本・演出・演技などどれも超ハイレベル。超絶優秀なミステリー映画です。

ストーリーは私立探偵のギデス(ジャック・ニコルソン)が、モーレイ夫人と名乗る女性に、夫であるロサンゼルスの水道局幹部ホリス・モーレイの浮気調査を依頼されるところから。
尾行の末、ギデスはホリス・モーレイが若い女性と密会しているところを目撃し、こっそり撮影します。

その写真は翌日の新聞にてすっぱ抜かれるのですが、なんとギデスはその写真を新聞記者に売っていないとのこと。しかもギデスのもとに本物のモーレイ夫人が現れ、「夫の浮気調査を頼んだ覚えはない。あなたを告訴します」と言います。初めにギデスに浮気調査を依頼したモーレイ夫人は、なんと偽物だったのです。
この時点で既に、物語のミステリー性と複雑さにワクワクが止まりません。そしてこの後も驚きの展開の連続です。

こんな超絶優れたミステリー映画をなぜ前回楽しむことができなかったかというと、カリフォルニア州の水問題についての知識がなかったからです。この問題は映画の理解に大きくかかわっています。

カリフォルニア州は乾燥した気候の影響で、現在でも深刻な水不足に悩まされています。年間雨量は東京のなんと約1/5。東京が特に雨の多い地域だというわけでもないのに、その1/5となるとかなりの異常事態ですよね。カリフォルニアは乾燥して過ごしやすい気候というイメージがありますが、それによって引き起こされるマイナス面もあるんですね。

そして映画の舞台は1930年代。文明が進歩した現代ですらこの状況ですから、当時の水不足の深刻さは想像を絶することでしょう。
深刻な水不足によって水の需要は増加し、水の価値が上がるので、逆に言えば水道をコントロールすることで莫大な富を得ることもできてしまうのです。

上記の事柄は絶対に映画鑑賞前に知っておくべきだと思います!じゃないと事件の重みを実感できないので!

しかしこの作品は物語が白眉!実際に脚本を担当したロバート・タウンは、この作品でアカデミー脚本賞を受賞しています。
ミステリーは、謎の部分と理解できる部分のバランスが肝要だと僕は考えています。謎すぎると観客は置いていかれるし、分り易すぎると退屈してしまいます。
この作品はこのバランスが最高です。物語の展開は常に我々の予想の一歩先を行っていおり、最後まで興味を惹きつけられるのです。

実際に僕の予想は全ハズレ。鑑賞し終わったあと、自分は完全に脚本の掌で踊らされていたな~と実感しました(笑)。でもこの感じが堪らなく楽しい!

演出も見事。恐怖を煽るピアノの音、サプライズの場面の演出法、観客に色んなことを想起させるカメラワーク。ミステリーってディレクションも重要なんだなと認識させられました。

キャストの演技も素晴らしい!全員とても自然で、安定感のある演技。安心してストーリーに見入れます。というかそもそものキャスティングが完璧ですね。
中でもノア・クロス役のジョン・ヒューストンは貫禄の演技でした。説得力が半端じゃない。

シーンでいうと、ギデスがモーレイ夫人に問い詰めるシーンは圧巻でした。緊張感と迫力、そして明かされる衝撃の事実。いやマジでこれは衝撃的すぎました。
あと勿論ラストもすげぇ。あんな終わり方ありかよ。。

「チャイナタウン」は脚本が超絶優れた、ミステリー映画です。ただカリフォルニア州の水問題の前知識は必須。
個人的にはめっちゃ好きでした。そしてジャック・ニコルソンの映画にはやっぱハズレがない!

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