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【洋画】アメリカン・ビューティー(1999)

監督:サム・メンデス
出演:ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチ、ウェス・ベントリーなど
上映時間:2時間2分

ケヴィン・スペイシー主演「アメリカン・ビューティー」鑑賞しました。アカデミー賞で5部門受賞した名作です。

広告代理店に勤めるレスター(ケヴィン・スペイシー)は、職場ではリストラ候補に挙がっていて、妻のキャロライン(アネット・ベニング)との関係も冷え切っており、娘のジェーン(ソーラ・バーチ)からも無視されている。退屈な日々を過ごしているレスターは、ある日娘ジェーンの部活動を見に行くと、同じチアリーディング部でジェーンの友人の金髪美少女・アンジェラに一目ぼれする。

アンジェラはレスターが自分に惚れていることに気づき、彼を弄ぶ。レスターはアンジェラが「あなたのパパがもう少しムキムキになれば、抱かれてもいい」とジェーンに言うのを盗み聞きし、筋トレに励みだす。そんなレスターをジェーンはますます嫌いになる。

めっちゃおもしろい!!コメディでもあり、社会派でもあり、気持ち悪さもあり、ミステリーでもある。しかもどれも独立しているのではなく、全てが必要な要素として繋がっています。特に後半からは完全にストーリーの虜で、画面にへばりつくように見ていました。馬鹿みたいに唸りながら(笑)。楽しすぎて終わってほしくないと感じるほどでした。

登場人物が全員普通じゃないのが最高におもしろい。娘の友達に恋する親父、絶賛不倫中の妻、反抗期を拗らせまくっている娘、超傲慢で自慢ばかりのジェーンの友達、隣の家からジェーンを盗撮してくる麻薬の売人ヒッキー、ナチス信望者のヒッキーの父…etc
この各ジャンルの奇人が繋がり合っていくのがファニーかつ刺激的です。

でも全員が完全にファンタジーな人物じゃなくて、現実に存在しうる存在なのがミソ。全員の気持ちも全く理解できなくはないんです。レスターが会社を辞めるとき、人事に「お前は狂っている」と言われて、「俺は失うものを無くしただけの普通の男だ」と返答していますが、これが奇人の一つの定義です。他のタイプの奇人は、精神的な弱さが自身を崩壊させていくパターンです。それ以外は別に普通の人間となんら変わりないものです。

6人の主要キャラクターに始まり、脚本力はまさに圧巻。後半はミステリー的好奇心と恐怖と気持ち悪さが最高潮で、これでもかというほど画面に集中してしまいました。アカデミー賞脚本部門受賞も頷けます。演出も痺れました。レスターの空想世界の見せ方や音楽の使い方が見事。エンディングの音楽もメッセージ性があり、最後の最後まで楽しめます。

おもしろいシーンもてんこ盛りでした。特に笑ったのはアンジェラに恋するレスターと、不倫をするキャロラインが共に車内で熱唱するシーン。バカな夫婦です(笑)

主演のケヴィン・スペイシーもさすがの怪演です。「セブン」や「ユージュアル・サスペクツ」などもそうですが、この人の出演作は怪奇的な面白さがあります。奥さん役のアネット・ベネングもちょっと腹の立つおばさんの演技が光っています。

「アメリカン・ビューティー」は圧倒的な脚本力と、ケヴィン・スペイシーの怪演が光る、シニカルな社会派ドラマ。シンプルに笑えるのと同時に、恐怖や気持ち悪さ、ミステリー要素などいろんな感情を味わせてくれます。おもろかった~。

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