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【インド映画】Jolly LLB(2013)

監督:スバーシュ・カプール
出演:アルシャド・ワールスィー、ボマン・イラーニー、サウラブ・シュクラー、アムリタ・アローラーなど
上映時間:2時間8分

インドの法廷ドラマ作品「Jolly LLB」鑑賞しました。LLBとはインドで法学士のこと。同じくアルシャド・ワールシィーが出演する名画「Munna Bhai MBBS」のMBBS(医学部学士)や、2023年度インド映画祭で最優秀作品賞に輝いた「12th fail」で取り扱われているIPS(インド警察職)やUPSC(国家公務員試験)など、インドはローマ字略称シリーズが多くて覚えるのにも一苦労です。

ウッタル・プラデーシュ州のメーラト出身の売れない弁護士ジョリー(アルシャド・ワールシィー)は、仕事を得るためにデリーに移住することを決める。彼女のサンディヤー(アムリタ・アローラー)は、メーラトがデリーから車で2時間の場所ということもあり、メーラトに残ることに。ある日ジョリーは法廷で有名弁護士テージンダル・ラージパール(ボマン・イラーニー)の仕事っぷりを目にして、彼に憧れを抱く。

ラージパールは現在、有力政治家であるディーワーンの孫のラフールが起こしたとされる飲酒運転ひき逃げ事件の弁護人を務めている。ラージパールはこの訴訟に勝利しラフールは保釈されることになったが、ラフールの父ヨーグラージ(モーハン・カプール)は釈放までに思ったほどの時間がかからなかったからと、予定よりも少なめの報酬をラージパールに支払う。

ジョリーはこの事件に対する警察の調査が不十分であるという新聞記事を目にして興味を持ち、公益訴訟を起こす。しかし新聞記事は証拠にはならないと裁判長のスンダルラール・トリパーティー(サウラブ・シュクラー)に一喝される。

困り果てた彼に、アルバート・ピントー(ハルシュ・チャーヤー)という男がやってくる。彼はその事件を目撃したという。彼は警察に届け出たが、警察の捜査が遅くしびれを切らして彼のもとにやってきた。警察への依頼書のコピーも持っている。ジョリーは彼を証人として訴訟を再開する。

しかし裁判が始まると、ピントーは証言を拒否する。実はピントーは端から事件など目撃していなかった。依頼人の報酬が不満だったラージパールが再度裁判を起こさせて、追加の報酬をもらうためにピントーをジョリーの元へ送ったのだ。すべてラージパールの掌の上だった。ジョリーは見返りとして200万ルピーを貰うこととなり、前金として20万ルピーをピントーからもらった。

ジョリーは家に帰り、結婚して妻になったサンディヤーに事の顛末を話し、前金の20万ルピーを自慢げに見せる。するとサンディヤーは「お前のやっていることは弁護士じゃなくてブローカーだ」と一喝される。ジョリーはラージパールに金を突き返して、裁判を続行することを決意する。

インドの法廷ドラマって初めて見た気がします。法廷ドラマというとやはりロジックが物を言い、科学的に突き詰めていくのが醍醐味なのですが、その点でいうとハリウッドや日本の法廷ドラマよりはクオリティは下がっている気がします。まあ一般大衆に受けなければならないので、あまり難解にできないというのもあるのでしょうが。

この映画はロジックよりも、感情的な物語です。最も盛り上がるシーンは最後の弁護士・検事・裁判官の言葉だったり、謎解き的ではなく、感情に訴えかける楽しみ方です。なので法廷ドラマというよりは、娯楽的ドラマとして、肩の力を抜いて観るのが正しいのかなと。コメディシーンも多いですし。

この映画の特徴であるコメディ&シリアスのバランスを保っているのが、やはり主役の三人。アルシャド・ワールシィーとボマン・イラーニーとサウラブ・シュクラーです。コメディスキルが高くも、シリアスな演技も高水準でこなす彼らだからこそ、この両立ができていると。特にボマン・イラーニーの悪役っぷりと、サウラブ・シュクラーの時折見せる威厳は、この映画に大きな説得力を与えています。

「Jolly LLB」はインドらしい娯楽的法廷ドラマ。法廷ドラマとしての脚本力は少し弱いものの、エンタメ作品としてはなかなかの仕上がりです。弁護士・検事・裁判官の三人の役者の演技力が高く、それがこの映画の土台になっています。


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