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【洋画】インビクタス/負けざる者たち(2009)

監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモンなど
上映時間:2時間12分

ネルソン・マンデラの伝記スポーツ映画「インビクタス」鑑賞しました。アフリカマニアの僕としては放っておけない作品です。

1990年の南アフリカ。アパルトヘイト下で反体制側の活動を行っていたネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は、27年間の投獄生活の末ついに釈放され、同国初の黒人大統領に選出された。南アフリカに住む白人たちは彼が黒人有利な政策を打ち出すことを恐れていたが、彼は黒人と白人の融和政策を推し進める。自らのボディガードにも黒人と白人を半々で配置し、さらには当時低迷していたラグビー南アフリカ代表の復興を掲げた。

ラグビー南アフリカ代表「スプリングボグス」は、メンバーの大半を白人選手が占め、黒人はたった一人。まさにアパルトヘイトの象徴的存在であり、白人からは圧倒的支持を得ていたものの、黒人からはむしろ嫌われていた。一時新政府下ではアパルトヘイトを想起させる「スプリングボグス」の改名が決まりかけていたが、白人のプライドを傷つけることになるとマンデラはこれを否決。代表キャプテンのフランソワ・ピナール(マット・デイモン)を大統領府に招き、リーダーシップのあり方について言葉を交わす。

まずは当時の南アフリカの惨状を知る必要があります。アパルトヘイト政策による、他国でも類を見ない国を挙げての黒人差別。他の国でも異なる人種が同じ国に住むことはあるのですが、その大変さを日本人は本当に理解できていないと思います。日本はほぼ同一民族で構成されていますから。南アフリカにおいては歴史上黒人と白人の対立が凄まじく、日本で言うなれば北朝鮮の人と同じ国を形成しているようなものです。ちょっと考えられないようなことが、この国では起こっているのです。

ネルソン・マンデラの偉大さが心に沁みます。彼はアパルトヘイトに対抗した挙句27年間も投獄されます。祖国を変えるため、黒人と白人の平等な社会を目指すために、普通はここまでできません。自分だったら自己保身に走ってしまいます。

そしてマンデラのことを尊敬できる所以は、投獄生活の中で成長していったという点にあります。彼は元々気の短かったそうですが、獄中での生活で様々な活動家の本や伝記を読み、特にガンジーの「非暴力不服従運動」に感銘を受け、スタイルを変化させていったとのこと。獄中での生活があっての大統領就任、ノーベル平和賞受賞があるのです。ダライ・ラマ14世もそうですが、苦難を乗り越えて偉大になった人は言葉の重みが違います。

今作でも心に響く言葉がいくつかありました。まず一つ目は「危険を恐れるなら指導者の資格はない」。
僕なんかが偉そうなことは言えませんが、日本中の政治家に聞いてもらいたいセリフやなと。保身の姿勢が一切なく、100%国のために尽くす覚悟があるマンデラだからこそ実行できることなのだと思います。

そしてもう一つはピナールとの会合から。
マンデラ「膝の調子はどうだい?」
ピナール「完璧な状態で戦えることなどありません」
マンデラ「・・・人生も同じだ」

深い!重い!かっこよすぎる!実際に作中でもマンデラは多忙でぶっ倒れていますが、それでもなお国のことを考えつくし、大統領業務に従事しています。日頃コンディションや環境の悪さに文句を言って、やるべきことをできていない僕らは反省すべきだと思いました。

スポーツの力というのもこの映画の大きなテーマの一つ。国を一つにまとめ上げる大きな力がスポーツにはあります!インドにも有名な言葉が一つあります。「インドにはたった一つだけ共通の宗教がある。それはクリケットだ」。インドにいると分かりますが、この言葉はガチです。インドで国が一つにまとまるのはクリケットの試合やってるときだけだなーと(笑)。その強大な力を、マンデラは政治に活用したかったのですね。

主題からは少しそれますが、スポーツには個人を勇気づける力もあります!日本で言うとやはり大谷翔平!朝起きて、メジャーリーグでの彼の活躍がニュースで取り上げられているのを見ると、「俺も頑張らなくちゃ」と思えるのは僕だけではないはずです。このように万人を勇気づけられるのも、スポーツならではだと僕は思っています!

「インビクタス」はアパルトヘイト政策など問題が山積みの南アフリカを、ネルソン・マンデラがラグビーを通して一つにまとめ上げようとする物語。シンプルにマンデラの言葉が心に響きます。

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