秘密警察を宣伝してみる ④
「き、み、も、ひ、み、つ、け、い、さ、つ、の、し、ご、と、し、よ、う」
だどたどしく不揃いな口調で台詞を口にする子どもたち。タレント事務所に所属してレッスンを受けた子役には見えないしコマーシャルフィルム自体作りが素人くさくて高校生の映研サークルだってもう少しマシなモノが作れそうだった。経費をケチっているのだろう。観客は目当ての演目のためそれを見せられるのに耐えていた。はじめのうちこそ違和感があったがやがて慣れて何とも思わなくなった頃、おかしな噂を耳にした。子どもたちのなりたい職業に秘密警察官がランクインしじわじわとスポーツ選手や公務員やお菓子屋さんを追い上げているというのだ。お前ら正気か。私は思わず信用できそうな教え子の一人にきいてみた。
「あくまでも噂ですがね、あの子たち薬で子どもに変えられているのです。それを救出しようと、」
そういえばあのCMどこが出していたっけ。目を凝らして見ると隅に小さく薬物撲滅とあった。
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たらはかに様のお題に参加しています。
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