見出し画像

山岳カルマ ③

 山道で迷ってしまった。あたしとお兄ちゃんは親とはぐれてしまったの。というより捨てられたのかも知れないわね。まあ、いつまでも親元にいたって仕方ないし。これは負け惜しみなんかじゃないのよ。おお、あんな所に美味そうな食べ放題のお家があるじゃないの。
よっしゃー! 
でも、アッという間に見つかってしまう。ぼんやり者のお兄ちゃんはすぐに檻に入れられた。あたしは上手く立ち回って魔女になついた振りをした。だから魔女の家を自由に歩きまわった。
 この『山カル』って何だろう、略称にするメリットは? あたしと魔女は山の軽羹を食べカルーセル(回転木馬)で遊びカルガモと戯れカルシウムたっぷりのカルーアミルクを煽り軽井沢気分に浸った。でもお兄ちゃんのことも忘れずに。
 油断していた魔女は簡単に攻略できた。
「昔はね、もっと平和だったよ。あんたらの家に侵入したこともあったんだよ」
 この魔女があの伝説の女の子だったとは。

ここは山の中の森の道。

408文字

たらはかに様の裏お題に参加しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?