秘密警察を宣伝してみる ②
夏休みに宿題を課さない学校もあるらしいがうちの子のところは違った。大変だよな親も。他人事のようにわが子のプリントを見ると、計算と漢字のドリル。さらに「コピーを作ってみよう!」の文字が踊っている。あとは定番の読書感想文か。これは図書館で借りた『ひみつシリーズ警察犬の活躍をさぐれ』で書けばいいだろう。問題は「コピー」だ。ジャンルは文芸で簡潔にその物の魅力を伝えるセンスが必要だ。だが現実はどうだろうか。誰の目にもその魅力が明らかであればわざわざ商業的なフレーズなど必要ない。そこには一見食指の伸びない物に対して舌先三寸の口車を弄して消費に向かわせる魂胆が潜んではいまいか? モノは言いようだが子どもにまでそんなことを考えさせるのはどうなんだ? いや子どもの曇りない目を通してこそ、
「ねえパパ、プリンター使ってもいい?」
息子は日に焼けて「シリーズ」と「犬の活躍」「をさぐれ」の文字が背表紙から消えかけた本を手にきいてきた。
410文字
たらはかに様のお題に参加しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?