見出し画像

ビジュアル系男子に教えられた琴 ビーンズ編

 夢に現れた少年は端正な姿かたちで、私の好みにピッタリだった。とはいえ性格とか根性とか頭脳まで整っているのかといえばむしろそうでも無さそう。そういう面も含めてタイプだった。単純、飽きっぽい、騙されやすそう。そのくらいで丁度いいのだ。何より私は退屈していた。というかあの宿六には飽き飽きだったし。するとおしゃべりハープのやつが歌い出し

ヤツの気を惹きたきゃ肉よりマメ!
植物性タンパクでキマリさ!

 その言葉を信じた私は地上に向けてマメを撒いた。鬼よ去れと念じつつ。そのうち一つくらいは詐欺師の手に渡るかも知れない。あの子は牛より豆を選ぶかも知れない。私はうっとりと夢想した。彼はここにやって来るだろう。そしてダンナを始末してくれる。

 だけど思ってもみなかった。まさかハープの奴がここからの脱出とあの子との旅立ちを画策していたとは。

「気の毒に。タチの悪いバケモノと変なオバさん相手に辟易していたんだね。地上で君を探していたのさ」

410文字

たらはかに様の裏お題に参加しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?