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火星の別件逮捕 ②

「昼休みに美術室に来ていただけませんか」
後輩の火野星子に声をかけられた。
「いいよ、ぼくもちょうど話したいことがあるから」

イーゼルの向こうで星子はもじもじしている。「あの、」
「ほら言っちゃいなよ!」
加勢の友人らがけしかける。
「先輩、絵のモデルになってください!」
へっ?
「つまり星子は貴方に心を奪われたのです。良い返事でないと逮捕します」
「わ、わかったよ」 
とりあえず引き受けた。
「さてと。ところでこの石膏のマルス像ですが、目に星が描き込まれています。犯人は貴方ですよね先輩」
しまった。ばれてたのか。まんまとハメられた。

「そういえば先輩の話っていったい何ですか」あー、それね。話せば長くなるんだけど、そのマルス像の目ただのラクガキじゃないんだ。わが故郷火星へ展示品として送り込むために発信機が埋め込んである。気づいた人間もサンプルとして持ち帰ろうとしているんだ。ストレートに言うわけにいかないから適当な口実をもうけてね。

408文字


デッサン用のマルス像といえば若者ですが服を着ている髭オヤジ版もありこちらは迂闊に「逮捕する」なんて言えない雰囲気です。

たらはかに様のお題に参加しています。

お忙しい中今回も出題ありがとうございます。

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