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「告白雨雲」②

「カリブの海賊改装中か。まあチケットも取れなかったけど」
先輩はたいして残念そうでもない。あたしたちはディズニーリゾートからほど近い海にボートを浮かべている。
「今日はこれから天気がくずれるかもね」
やはりたいして残念そうな口調ではない。もしもこの先ずっと人生を共にしたらこんなふうにネガティブなことばかりずんずんと口に出してはケロリとしているのだろうか。えっ人生を共に? うわー嫌だ。でも何故いま一緒にいるんだろ?
「天気くずれるんですかね」
「ほらあれ」
指差す海上に黒雲と雨柱が見えた。
「雨雲レーダー見てみな」
すると私たちの位置情報の少し先に線状降水帯があった。その形状がなんと。
『 M A R R Y   M E  』
げえっ、冗談はやめて。
「何だコレ。どっかの変な奴の悪戯だよ。そんな技術があったらもっと世の中の役に立つことしろって。な?」
それは確かにその通りだと思い
「ハイ!」
と深くうなずいたの。本当にそれだけだったのよ。

410文字

それからどうなったの、おばあちゃん?
もちろん波間に投げ出される前に海上保安庁に電話したわよ。

たらはかに様の企画の裏お題に参加しています。


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