「動かないボーナス」③ あるいはゴロゴロ介護日記
「母さんの年金をボーナスがわりにしている。あの『働かないボケナス』が」。
陰で何て言われているのかアタシは知っている。どうせアタシは穀潰しよ。いとしの彼氏と二人で実家に居座って毎日昼寝三昧。でも母さんの介護だって立派な仕事だわ。無償で誰にだってできるものじゃない。
それでも姉さんの追及は厳しい。
「ちょっと。この缶ビール200円の領収書はどこ? ここの銘柄なら168円で買えるはずよね。消費税入れたって200円しないわ。そもそも本当に母さんが飲んだのかしら。自分の家計簿につけなさいよ」
母さんは車椅子からアタシの彼氏に声をかける。
「シンジや。ありがとうね。久しぶりのビールおいしかったよ。お前のために遺言書くからね。それとお前がこっそりネットでやってる介護日記、書籍化の話があるらしいけどヒロコのことあんまり悪く書かないでね、身内なんだから。それとボーナスのフードは食べやすいものにしてやって。あの子そろそろ、」
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