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顔自動販売機

「香緒里チャン、烏龍茶頼む」
「オレはコーラね」
次々と小銭が香緒里に手渡される。
「大丈夫ですよ。代金のことは。部長は烏龍茶、副部長はコーラですね。お待ち下さい」
香緒里は二人の男子に小銭を返す。いつものやり取りだ。
「何ですかあれ」
女子新入部員が眉をひそめた。もしかしてとんでもなく時代錯誤で男尊女卑なサークルに来てしまったのかしら。あの香緒里って先輩、美人だけどあんなことまでしてモテ狙いとかエントリーシートや面接のエピソード作り? やっぱり世の中は厳しいのねという思いが心をよぎったのだ。
「あなた方の分も取ってきますよ」
香緒里がオーダーシートを手に近づいてきた。

 やはりどこか人工的だ。自販機は彼女の顔認証で商品を出し、代金は部費から引き落とされる。かつてお小遣いから先輩の飲み物を買わされた監督が児童販売機で買ったロボットを部員に仕立てたのだ。パシリをなくし、しかも威張りたい欲求を充足させることが目的だったが果たして?

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たらはかに様のお題に参加しています。

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