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「株式会社の音」ノート編

 家の家事は婆やのキヨがしてくれるのですが、率直にいってかなり高齢で物忘れしたり世間に疎かったりで大変なのです。
「坊ちゃん、マスノートを用意するです」
困った。何マスなのか覚えてないんだ。
「丁寧にやる、です」
そんなことわかってる。
「そしある、すとつく」
え、何だって? とうとう堪忍袋の緒が切れて父に泣きつきました。
「もういい加減に新しいモデルに買い換えてください。いくらお祖父様の手づくりロボットだからって役に立たないのでは話になりません」「うむ、あれを使いこなすにはコツが要るのだよ」
キヨは時々ポカミスをしますが、横書きは右からとか、小さい「つ」に気をつけるなどのクセを理解すれば数十年前の事典くらいには役に立つのだとか。
ソシアル、ストック→社会式株
右から読めば「株式会社」! 
その言葉をノートに丁寧に書きました。
恐ろしいことに株式会社の音が消えてわが国の経済も死滅したのです。
憂き世と言う名の旧式ロボットのテロでした。

410文字

キヨはデスノートをマスノートと言い間違えていたため今まで何事も起こらなかったのです💦

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