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「結婚式ゾンビ」②

 披露宴は順調に進行していた。
「では新郎新婦による御両親への花束贈呈です」司会者がちらりと時間を確認している。ベタだがやはりこういうのはいいな。ピアノの生演奏。花束が運び込まれた。そのとき。数人のゾンビメイクを施した怪人が部屋に雪崩れこんだ。
「おい、やめろ」
そこに現れる特撮ヒーローに扮した男。なんだこれは。最近はこういうアトラクションも有りなのか。奇をを衒っているな。ゾンビは新婦に襲いかかる。腰を抜かす新郎。間一髪でヒーローがゾンビから新婦を救い出す。
「あなたには失望したわ、さようなら!」
 そこでアナウンスが入る。
「皆さまお騒がせいたしました。こちらの会場では○○監督による新作のドッキリ撮影が行われておりました」
参加者には引き出物の代わりに出演料が渡された。
どういうことだ?
 部下の新郎を顔を見るとそこには「察して下さい」と書かれていた。業界では「結婚式ゾンビまたの名をドタキャンプラン」と呼ばれているらしい。

409文字

バージョンA
皆さまお騒がせいたしました。ただいまの出演者は新郎の学生時代の映画サークルの皆さんでした。名演技でしたね、盛大な拍手をお願いします。

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