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宝くじ魔法学校 逆さ富士編

 公園のベンチに老婦人が座っている。
「いいお天気ですね」
何気なく話しかけてみる。砂場では子供たちが人形で遊んでいる。老婦人は答えるでもなく独り言のようにつぶやく。
「思い出すわ、あの頃。あんな高い山よホラ」「?」
「日本一高くて」
「富士山ですか?」
「そう、まるで私の額のようだった」
「確かに富士額ですね」
「あんな人形あるでしょロボットとかアイドルの」
「もしかしてフィギュア?」
「そう、氷の上で上体を反らして、」
「あーイナバウアーか」
「そのまま7回転ジャンプを決めたの。8人倒したわ」
「もしや選手だったとか」
「違うわ。授業にそれがあったのよ。超難関よ。容姿端麗、清く正しく美しく!」
もはやどう答えて良いかわからなかった。相手のほうも、
「あなた妙に物わかりいいのね。普通ならただのおかしな婆さん扱いよ?」
よもやこんなところで例のマジックスクール(手品教室)の生徒に会おうとは。しかもそれが、
「ロッテ⁉︎」
「やっぱり姉さん」(註)

409文字

(註)無謀にもまた全部盛りに挑戦しました💦おしまいの部分はケストナー「ふたりのロッテ」を下敷きにしています。なぜかといえば宝くじが lottery なので💦

たらはかに様のお題裏お題に参加しています。

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