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顔自動販売機 140字編

物語を書いたよキミのために。彼は操縦桿を手につぶやく。眼下の平原に明滅する灯りは人面自動販売機のそれだ。献辞はこうしよう、かつてヒトだったキミへ。見下ろすと光の粒が闇のなかに友人の肖像画を描き出している。まるで星座のようだ。やはりヒトではなくヒツジの顔にしておこうか。(狗肉の作)

140字

星の王子さまを初めて読んだのは小学生のときだ。確か課題図書だった。つまらなくはないけどもモヤっとしたのを覚えている。終始どんよりとしたトーンで語り手がどこか不機嫌なところが気になって楽しめなかったのだ。大人はいつもなぜか、背景を教えずに訳アリ本を子供に読ませたがり相手がなんじゃこりゃという顔をすると、それこそ文字通り上から目線でお前にはちと早かったなあ、と満足げにうなずくものなのだ。子供はわかる年頃になって、初めてでなくて良かったと思い至るのだが。少年に手づくりジュースを振る舞ったが反応は薄い。
「きみの笑顔のドリンク、その箱にあるよ」

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たらはかに様のお題に参加しています。


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