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「1分しまうま」③

 聖書によると、金持ちが天国に行くよりラクダが針の穴を通るほうがずっと簡単なのだとか。でもさ、無理して針の穴なんか通らなくてもすでに天国でしょ金持ちならば? なんてことは言いません、今わたしはシマウマと共に硝子の穴を通過中だ。わが社の主力商品1分砂(じゃない)時計の検品中なのだ。1分ピッタリで通過できればご褒美に四万温泉美味い宿通称「シマウマ」に行ける。だが不合格品となれば、サバンナのシマウマ不動産に飛ばされてしまう。駅1分の好立地ですよと相手を騙し、小さな文字で『ただしシマウマの足(分速1キロ)の場合』とあるあれだ。そもそも駅と言っても鉄道なんてどこにもないし。砂時計の穴をどうにか通り抜けてようやく温泉にたどり着いた。風呂と食事の他にエステも込みだ。だがやっぱりというかそれら三つ合わせて制限時間が1分だった。
「社長ズルいですよ!」
と怒りの声をあげたら、ちょうどラクダと共に針の穴に引っかかっている最中だった。

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サバンナシマウマは時速65キロということで、意外と速いですね。

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