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騙せ林檎パン ケーキ編

 林家の五姉妹といえば一子から五子にいたるまでそろって母似の料理好きだった。たまには集まろうと実家に顔を揃えたが実は記念日を迎える母のためのサプライズパーティだ。母は既に楽しげにパンケーキを焼いて待ち構えていた。
「母さん、その小麦粉私があげたやつ?」
「そうよ」
長女はこっそりと粉に母が飲みたがらない認知症の薬を混ぜていた。同様に次女の薬入りの餌で育てた鶏の卵、三女の薬入りミルクとバター、四女の薬を煮込んだ林檎ジャムが結集して母の手作り林檎パンケーキが完成した。
「みんなありがとう。特に五子」
えっ? 
姉たちは意外そうに顔を見合わせた。
「このフライパンを見て。柄が取れてしまったの。それを五子が林檎の木の枝で修理してくれたのよ」
 してやられた。その木の下で父さんにプロポーズされたとかの耳タコエピソードをここで生かすとは。魔女の手の中でフライパンは見る見る手鏡に変形した。若返ったその目はすべてお見通しだよと語っていた。

409文字

ところでケーキって何よ。まさか還暦?
K紀。1000年記念よ。


※ベーキングパウダーを足したら話がもっとふくらんでいたかもしれません😅


たらはかに様の裏お題に参加しています。

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