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「株式会社の音」

「父さん、東インド会社のことをSSにしてる人がいるよ」
「ふむ。たしか関ヶ原と同じ年のはずだ」
「その当時、東洋は西洋にいいようにされていたの? 今はもう違うよね?」
「勘弁してくれよ。世界史の授業はフランス革命に辿りついたのが終業式の直前の授業だった」
「そんなんでよく社会人つとまるね」
生意気なやつだ。誰に似たのだろう。思い出したぞ。世界史の教師は大量のプリントを配布したのだ。まだあるはずだぞ。発掘! 
1899年、ジョンヘイによる門戸開放宣言。オープンドアポリシーというやつだ。うちの社長がしょっちゅう口にする、扉は開かれている、聞く耳はもっている、というスタンス。あれとは少し違うようだ。要するに自由貿易主義か? 

 だが、こっそりしたためていた『株式会社の闇』というレポートがなぜか社長の目に触れる流れとなり、「門」戸が開放されて『株式会社の音』に変換されていたのだ。あの関ヶ原事件以来家康は虎視眈々と天下を狙っている。

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