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「男子宝石」乙怪編

『世間をあっと言わせてやる。それが男の動機でした。そんなことが許されると思うのか。少年たちが立ち上がります。いくつもの顔を持つ怪盗ははたしてどんな姿で現れるのか』

「ねえその話どうして女子は活躍しないのかしら?」
姉のミコが不満気にたずねます。その怪盗のルールが血を流さないことだとか毎回決まって犯人が彼という子ども騙しを指摘するのは幼い弟にはまだ酷というものでしょう。なのに
「姉さん、奴が狙う宝石とは女子の暗喩なのさ。僕らがそれを守るという物語だよ」
流石本家の旦那様の血を引いているだけのことはあります。ふんだマセガキめ。妾宅とはいえぬくぬく育てられたあんたに何がわかるの。あたしは母さんの指輪を手にあの人のもとに行くんだから。
「姉さん、あの男はやめたほうがいいよ。(やつは十の顔とそれ以上の台座をもっている。そこで石になりたくないのなら)」

 やがて世間を騒がせることになる怪盗の幼き日のエピソードでありました。

406文字

「おつかい編」から何年か経過した後の物語です。宝石を掴もうとする怪人の手。それを見つめる探偵男子というイラストを思い出して書きました。


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