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「男子男子男子」手迂闊編

「では採用面接を始めます。君の名前はとりあえずコットくんだ」
 おかしなところに来てしまったようだ。面接官は四人。それが全社員。係長のレードル。課長の猫。部長の紅雀。そして社長の芋。奇妙なあだ名だ(もちろん僕がつけたのでなく彼らが自ら名乗っているのだ)
質問はありますかと問われ、
「係長さんはなぜレードルなんですか」
と聞いてみた。
「俺江戸っ子なんだよ。訛って『ひしゃく』だからさ」
「?」 
その勢いで課長は例の猫男爵、部長の紅雀はかなり無理があるけど『ベニスに死すはヴィスコンティ』、社長はストレートに男爵いも。上から順に、男、子、男、子、というわけだ。
ひねった命名が嫌だというより僕以外の全員が爵位を持っていることにすっかり気後れしてしまった。
「気にするな、コットくん。拒否する(boycott)のも自由だけど君が来れば三つ目の「男子」で綺麗にまとまるんだが。さあどうする?」

知らなみ五人目の男 (株)男子男子男子の秘密より

410文字

「じゃあ、僕本名が内藤なので『ナイト』で」すると、いも社長が「不採用!」と叫んだ。


たらはかに様の企画の裏お題で参加しています。

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