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バンドを組む残像 ①

 ザンゾーには一度目にしたものを決して忘れない特技があった。トイレの鏡に映る姿は野生味溢れ秀でた鼻筋とどっしりした体躯が特徴のイケメンだ。
「キミいいね、ザンがつくのも」
 声をかけてきた新人勧誘役のザンキョーは一度聞いた音を忘れない。
「オレたちのビジュアル系バンドに参加しない? ちょうどボーカルを探してるんだ。これはホットなベースのザンシンでこっちもホットなドラムのザンショだ」
ザンゾーは目を閉じた。
「その人たちが演奏している姿は見たことがあるよ。確かもう一人メンバーがいるはずだ。ギターのザンネンさんとかいう人だよね」
ザンキョーはザンゾーの記憶力に舌を巻いた。彼がキャンパスからトイレまで歩いてきた道の途中に活動場所にしてアルバイト先の飲食店があった。さっきマスターに言われた言葉が耳のなかで残響した。
「うちもさ、そろそろ店名を変えようかと思うんだ。なんかイメージ良くない気がするんだよね、スナックZampanoって」

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たらはかに様のお題に参加しています。

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